徳本峠小屋
2002-11-03
管理人の今川剛之さんと 02.10.31 photo by morishita
〈その3〉…行きたかった、徳本峠小屋
徳本峠小屋では、管理人の今川剛之さんが雪掻きの手を休めて温かく迎えて下さいました。
今回の徳本峠行き、実は朝日小屋の小屋閉め前から必ず行こうと計画していました。管理人の今川さんとは、昨年私が小屋番になってから3県山小屋協会の総会等で何度かお会いし、その度に「清水さん、ぜひ徳本へ遊びに来てくださいヨ!」と声を掛けて頂いていました。徳本峠小屋は11月4日まで営業していると聞いていましたし、標高も朝日小屋と同じ程で何とか私独りでも行けるかもしれないと考えていました。
今回も一緒に歩いて頂いた写真家の森下 恭さん、実は30年程前に1シーズン徳本峠小屋の小屋番をしたことがあるとか。何とか独りで行けないかと地図を広げながらいろいろ考えている私を、朝日小屋に居る時から横目で静かに眺めていらっしゃったのですが、さすがに10月20日過ぎから北アルプス一帯で降り始めた雪では私独りでは行けないということでお願いしたところ、同行を決めて下さいました。
お陰で深雪の中でも無事辿り着くことが出来て、念願叶って2泊も出来た徳本峠小屋。今川さんはじめ男性陣は思いがけない降雪と小屋閉め準備で外仕事に忙しく、私は食事の準備など少し台所のお手伝いなどをさせて頂きました。そして夜は、今川さんやアルバイトの小野田君、サッちゃん、そして常連さんたちと、炬燵を囲んで美味しいお酒とご馳走で遅くまでお話をしました。「今川さん、安曇節を聞かせてください!」とお願いしたら、自慢のノドも披露してくださいました。
徳本峠小屋は、電気がなくランプの灯かりを燈し、また水も充分ではありません。収容人員も30人で溢れるほどの、昔ながらの姿を残す素朴な小屋です。
…私はそんな小屋へ行ってみたかった。
発電機を回し、溢れるほど充分な水を毎日使っている朝日小屋ですが、まだまだ管理人として未熟な私自身の抱える命題 −山小屋とは、山小屋のあるべき姿、どんな朝日小屋にしたいか、登山者の皆さんの気持ちは− そんなことをいつも考えています。だから徳本峠小屋へもぜひ行ってみたかったのです。
本当はお天気が良かったら涸沢へも行きたかったし、出来れば徳本峠へも島々からの道を歩いてみたかったのですが、それはこの次の楽しみに残しておくことに(笑)。
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