2001年は、2002年は、そして2003年は…
2003-01-14

オオサクラソウ 昨年山開きの頃、8合目付近 02.6.30
昨日の会合は、大蓮華山保勝会の新年初めの役員顔合わせ会でした。昨晩の会合では簡単な2002年シーズンの反省や下半期の会務報告などがあり、この後3月の役員会、4月の総会へと続いて2003年度の行事や会計の予定が決まるわけです。
今までにも書いて来ましたのでご承知かと思いますが、朝日小屋は大蓮華山保勝会という自然保護団体が所有するもので、管理人には4年毎に行なわれる入札で権利を落札した会員が保勝会と契約を結んでなれるわけです。
お陰さまで私の亡父は、7期28年間に亘り管理人を続けることができましたが、これは父だけの力ではなく、影でいろいろ支えて下さった大蓮華山保勝会の会員の皆さんをはじめ多くの皆様のお力添えがあったからこそと思っています。
2001年から始まった私の管理人・第1期ですが、2シーズンを終えて折り返し点に立ち、いろいろ反省もありまた残り2シーズンへ向けての抱負もあります。
管理人になってから変わらずに、より一層強くなる私の気持ちとしては「もう一度行きたくなるような山小屋」づくりを目指し、「山歩きの後に山小屋に着いた時に、どんなおもてなしが一番嬉しいか」を考えて、「登山者の皆さんに喜んでもらえる朝日小屋」にしたいと思っています。
ソフト面に関しては諸々ありますが、特に私自身が『〈山〉のような管理人になりたい』(!?)と思っています。ン??(笑)
そしてアルバイトのみんなも含めた朝日小屋全体が、いつも「元気で明るく、居心地の良いステキな山小屋」にしていきたいと思います。
設備や施設面等のハード面に関しては、下界の建物のように増改築が自由にならない(国・環境省・森林管理署絡みの制約がある)、営利を目的としない自然保護団体が運営している、私自身の山小屋でない、4年毎の入札があるので次も自分がやれるという確約がない…等などの制約があり、大掛かりな設備投資はなかなか思うようにならないのが実際のところです。
しかしそんな中でも2年間は、いろいろと小さな工夫とアイディアを重ねながら「新米管理人」の私なりに居心地の良い空間を作ろうと努力してきたつもりです。
2001年は、食堂のコーナーを見直しました。スポットライトを照らして明るくし山関係の本を並べて、到着後の皆さんが少しでもくつろぎの時間を過ごせるようにしました。
そして管理人1年目の“目玉”は、なんと言ってもワインや日本酒・ウイスキー・焼酎などの中から選べる「食前酒」と、朝の出発前にも気軽に飲めるセルフサービスの「100円コーヒー」。この2つは「朝日小屋らしいおもてなし」としてお客様に大好評で、もちろん今後も続けていく予定です。
それから、より美味しい食事を提供したくて炊飯器を圧力釜に替えました。実はそれまでも朝日小屋の食事の評判はまずまずだったのですが、普通の5升炊き炊飯器で炊いたご飯はどうも。。。私も若い頃はちっとも気にならなかったのですが、やはりこれくらいの年齢になると(笑)美味しいご飯がどうしても食べたくなります。お陰さまで、圧力釜で炊いた清水家自慢のコシヒカリ(朝日小屋のお米は、100%自家製米です)で、ご飯も進みます。
2002年は、食事の際の配膳を見直しました。お気付きになりましたか?
それまでは、お茶は14人掛けテーブルに1つの大きなやかんで端から端まで配っていました。また、ご飯のお櫃やお汁の鍋や調味料類は6人に1つの割合で出していました。
しかし20年前と比べると、登山者の皆さんの層は完全に中高年に変わり、テーブルの端から重たいやかんを「すみませ〜ん、やかんをこっちに廻して下さい!」というのはかなり大変だということに気付きました。
そこで、お茶はやかんを止めて小さめのポットに入れ、またご飯のお櫃やお汁の鍋や調味料類をコンパクトにして4人に1つの割合で配膳し、狭くて混雑したシーズン中にも少しでも気楽に食事をして頂けるように工夫しました。
では、2003年のシーズンは!?
例えば、朝日小屋自慢の夕食…肉ジャガ・季節野菜(殆ど自家製)の天ぷら・豚バラ肉の唐揚げ・野菜サラダ・漬け物(これも殆ど自家製)
「疲れた身体にも食べやすくて、美味しい」この朝日小屋の食事を、「もっと美味しく、もっと楽しんで」食べていただく為の工夫をするつもりです。
何で私がそんなに食事に気を使うかって?
だって…山歩きというハードな日々を過ごした身体と心は、何より美味しい食事と快適な睡眠で少しでも復活させてあげて、無事に下山してもらいたいというのが私の願いです。そうすれば、朝日岳と朝日小屋が「楽しく、また歩きたい山。そしてもう一度行きたい山小屋」として皆さんの想い出に残るのではないかと思うからです。
それから今年は、朝日小屋の限られたスペースの中でどうしたら「乾燥室」と「談話室」の空間を少しでも確保できるか、模索してみたいと思います。
今の朝日小屋は1985年夏に完成しました。今夏で築18年になります。限られた借上げ面積の中でできるだけ客室を確保したいという設計上、今なら多分どこの山小屋でも当たり前になっている乾燥室や談話室が作られていません。“今どきのお客様”から要望の多い「乾燥室」と「談話室」をどうするか、あれこれ工夫し考える年にしたいと思います。
また、『山小屋らしさ』にも少しこだわりたいと思っています。具体的には…まだヒ・ミ・ツです(笑)。
「ゆったりとした時間の流れを感じる」「自然を感じる」…そんな奥深い高山にある山小屋にだけ許される空間。新しさや快適さを追求しつつも、どこか昔の山小屋の面影を求める想いが私の中にもあります。そんなこだわりも大切にしたいなぁ。
書き始めたら、とっても長くなってしまいました。読みづらくてゴメンなさい!(笑)
今シーズンの予定がボチボチ決まり始め、何だかとってもワクワクして来ました。早く春になあれ!!
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/01/d20030114b.html