『常歩無限』
2005-09-28
元富山県警山岳警備隊々長の谷口凱夫さんが、著書などに好んで書かれる中に、『常歩無限』という言葉があります。
私も、とても好きな言葉です。
一年に一度必ず、私が白馬岳や蓮華温泉への道、あるいは春の栂海新道を歩くのは、登山道の点検が主な目的です。また、朝日小屋へ通って下さる登山者の皆さんの気持ちを少しでも実感したいという、そんな思いからです。
しかし、他にも私なりの“想い”があります。
雪倉岳山頂付近から眺める、白馬岳や旭岳の雄姿が大好きです。
いつもはお客様からの問い合わせのお電話では、「白馬岳から朝日岳、そして蓮華温泉へと周るコースが一般的だし、そちらの方が少し楽ですよ」とお答えしています。それぞれ実力次第ですが、実際にはそうだと思います。
しかし、「上り」と「下り」では、見えるものや感じ方に少しですが違いがあると思っています。
どっしりと大きな山体の雪倉岳の登りは、結構キツイです。
でも広々としたその山頂に立って、行く手に見える白馬岳の堂々とした山容を眺めると、いつも、憧れにも似た感情とともに溜め息が漏れるのです。
「これから、あの山に登るんだ!」という不思議な感情が湧いてきます。
そして朝日小屋への帰路、所々で振り返ると、白馬岳はどっしりと大きく構えています。
「あぁ、あんな遠くから来たんだ…」という想いと共に、「人間って、素晴らしいなぁ…」と勇気付けられます。
『常歩無限』
… 常に歩く(歩む)、限りが無い
… 小さな歩みでも、限り無く前に進むことができる
その力と勇気を貰いに、私は毎年、白馬岳へ登って来ます。
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