北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

前の記事 次の記事

心マッサージ

2002-05-18

 阿曾原温泉小屋の佐々木 泉さん。
 C・心マッサージ(Circulation)
 第一線の県警山岳警備隊員時代も、そして小屋主になっても、何度も遭難現場に立会い、実際に生死の境をさまよう登山者の様子を見てきている佐々木さん。やはりその視線は真剣そのものでした。

 先日は、「冬眠から覚めたばかりのクマさん」と形容してしまい、大変失礼しました(笑)。これから、身体を絞っていくのだとか。…でもそれではやっぱり○○だ!?

支点の確保について

2002-05-18

しっかり押さえるポイントについて、繰り返し説明がある。
赤いベスト姿は、黒部警察署の横山分隊長
白いTシャツは、入善警察署の谷口隊員

負傷者を背負って

2002-05-18

古崎分隊長が負傷者役になって、垂直面を担ぎ上げる訓練をしました。
ザイルを救助バンドの代わりに使用する方法も習いました。
背負っているのは、祖母谷温泉の峰村利数さん。
彼は宇奈月方面遭対協の若きホープでもあり、佐々木 泉さんにかなり鍛えられている様子で、頼もしいですね。

必死に…

2002-05-18

左が私です。
一応「3点確保」の基本を教えてもらいましたが、生まれて初めての経験でやり方が全く分からず、ただ必死にガンバルだけという感じ(笑)

今シーズン前、最後の山行は「白鳥山」

2002-05-20

白鳥山山頂にて記念写真 Yさん、Uさん、Aさん、私  
                      photo by “siratori reiko(?)”

 6月中旬の小屋開けまでひと月前足らず、そろそろ身辺が慌ただしくなって来ました。オフの間はあっちこっちウロウロと他の山を歩いていましたが、昨日はいよいよシーズン前最後(になるだろう)の山行に出掛けて来ました。
 目指すは、新潟県境の人気の山・白鳥山です。一緒に登ったのはいつもの気の合う仲間、私を入れて4人。
 今年初めて10Kマラソンにも出場し自分自身に飽くなき挑戦をしているYさん、最近少々(幸せ)太り気味で今年初めての山登りにドキドキしているAさん、そしてウロウロそこいらの山を歩き回っている割にはちっとも“山登り用体力”が付かずに、山へ行っては脂肪ばかり付けてしまっている私の3人が、「。。。なんでこのオレが山へ行くはめになったんだ!?」と思っている初心者Uさんを連れて、白鳥山へ登って来ました。
 実は、他の仲間にそそのかされて(笑)7月に朝日岳登山を約束させられてしまった初心者のUさん、彼をぜひ一度「山」という場所へ連れて行って足慣らしをしてもらい、またその実力を確かめ、夏に備えようというのが今回の目的でした(笑)。
 集合場所へ集まったUさんの格好は、どう見てもそこいら辺のハイキングへ出掛ける“シティーボーイ”風(!?)。中学生の娘さんから借りてきたというザックは「お父さん、汚さないでネ」と言われてきたらしいのですが、本人はもちろん、他の3人も不安と期待でいっぱい。。。
 5月の連休が明けてからの富山県地方は、まるで梅雨に入ってしまったかのような不安定なお天気が続き、“晴れ男”を自認するYさんの神通力も?でしたが、何とかくもり空でのスタートとなりました。
 途中“林道山姥線”が通行止めでしたが、行ける所まで車を乗り入れ、坂田峠まで約30分近く歩きました。いきなり「金時坂」の急登はキツイので、ちょうどほど良いウオーミングアップになったようです。
 何しろ「近所の棚山しか登った事がない。それも未だ“征服”しきれていない」と常日頃から口にしているUさん。何のことはない、「棚山」とは近所のゴルフ場のこと(笑)。歩き始めても、どうも後ろから観察していると、一歩一歩の足の置き場にかなり苦労している様子。でも仕方がありません、とにかく全くの初心者なのですから。。。
 いつものゆっくりゆっくりペースながら、予想していた(?)弱音も吐かず、先頭のYさんに一生懸命付いていこうとしている姿は、かなり健気です。しばらく歩いてもそれ程息も切れていないし、自分からは休みたいとも言わないし(言えなかったのかなぁ)…。これなら大丈夫かしら?
 昨年5月20日に登った時は登山道もあまり出ていなくて、山頂直下はもちろん、全体に未だ雪がかなり残っていましたが、昨日の白鳥山はほとんど夏道を歩く事が出来ました。“シキワリの水場”付近の谷筋に少し雪もありましたが、それでも夏道を横切っている残雪はほんの数メートル余りで全く気になりませんでした。
 “シキワリの水場”付近などには「シラネアオイ」が早くも花を咲かせ、ツツジやタムシバも色鮮やかな姿を見せてくれました。また山頂下の登山道や小屋の周りには、紫色のカタクリが一面に咲いていました。
 坂田峠から約3時間で白鳥小屋到着。記念撮影を済ませ、小屋の2階に上ってビールで乾杯し、早速ご馳走の準備に取り掛かりました。「白鳥小屋で、すき焼きを食べよう!」を合言葉に重たい材料を担ぎ上げての山行、賑やかに「宴会」が始まりました。
 この山行を計画するに当たって他の3人は、「初めて連れて行くには、どこの山が適当だろう?彼の地元の負釣山がいいかな、それとも白鳥山?でも、もし連れて行って“もう2度と山は行きたくない”と言われたら困るし、う〜ん。。。」と悩みました。しかし登って来てみると、例のUさんは私達の予想に反して(?)まんざらでもない様子。白鳥山からの眺望は今ひとつで、肝心の朝日岳も見えませんでしたが、それでも「これが雲海か、我等雲の上の人だな」等と余裕の表情!
 ゆっくり3時間も楽しんだ「雲上の宴会」も、そろそろ山を下りる事を考えるとお開きにして、帰り支度を始めました。しかし、ちょうど出発間際になってパラパラと小雨が振り出しました。本降りになる前に下山です。
 ここ数日お天気が悪く、やっとさえ雪融けでぬかるんでいる山道は“ぐにゅぐにゅ・ツルツル”して歩きにくく、またとても滑りやすくなっていました。とにかく無事下山が第一ですから足元に気を付けて、慎重に歩きます。ちょっと初心者には可哀想でしたが、それでもストックを衝きながらUさんは一生懸命歩きます。ちょっと“福山雅治”に似ている(と言われている)シティーボーイも、何度かスッテンコロリンしてお尻は泥んこになりましたが、「登りよりも降りる方が大変だなぁ」と言いながらも「ヨシッ!ヨシッ!」とひとり言のように掛け声を掛けながら、とにかく無事坂田峠を経て車まで帰着する事が出来ました。白鳥小屋から慎重に下りて、坂田峠まで約1時間45分。
 Uさんの感想は?…大丈夫、次の朝日岳登山に向けて「心の準備」はもちろん、決意もしっかり出来たようです。「夏山が、一面のお花畑が待っているよ!今度は小屋で会いましょう!!」

今年の小屋開けは、6月16日(日)の予定

2002-05-20

白鳥小屋2階から眺める、犬ヶ岳方面

 昨年小屋を閉めて下りて来てから、私なりのペースでいろいろな山を歩きました。
 黒薙川上流部にある「幻の大桂」、薬師岳太郎平小屋・北ノ俣岳、中俣新道を黒岩平まで、黒部峡谷・下の廊下、白鳥山〜犬ヶ岳、負釣山、南保富士、初雪山、白鳥山〜犬ヶ岳〜黒岩平、剣御前…。白鳥山や負釣山へは何度も登って来ました。
 その全てをこの日記に載せて来ましたが、如何でしたか?
 シーズンオフは他の山小屋も閉まっている関係で、ほとんどは低山が中心でしたが、いろいろな山に登って、山を歩く登山者の皆さんの気持ちに少しでも触れたり近付く事も出来て、本当に素晴らしい経験をする事が出来ました。私なりに、実りの多かったシーズンオフになったと思います。
 今まで登った事のなかった「春山」や、先日は人工壁のクライミングなども経験したりして、山小屋管理人としての気構えや心構え、知識等を吸収する事も出来ました。また、他の山小屋に泊った事により、自分の小屋をどんな山小屋にしたいか、どんなサービスが喜ばれるだろうか…いろいろ考える参考にもなりました。
 今シーズンの朝日小屋は、6月16日に荷上げとスタッフの上山でスタートする予定です。あとひと月足らずになりましたが、ウロウロしていた分(笑)ダッシュで頑張る予定ですので、これからも応援していて下さい。では。