北アルプス 朝日小屋

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今シーズン前、最後の山行は「白鳥山」

2002-05-20

白鳥山山頂にて記念写真 Yさん、Uさん、Aさん、私  
                      photo by “siratori reiko(?)”

 6月中旬の小屋開けまでひと月前足らず、そろそろ身辺が慌ただしくなって来ました。オフの間はあっちこっちウロウロと他の山を歩いていましたが、昨日はいよいよシーズン前最後(になるだろう)の山行に出掛けて来ました。
 目指すは、新潟県境の人気の山・白鳥山です。一緒に登ったのはいつもの気の合う仲間、私を入れて4人。
 今年初めて10Kマラソンにも出場し自分自身に飽くなき挑戦をしているYさん、最近少々(幸せ)太り気味で今年初めての山登りにドキドキしているAさん、そしてウロウロそこいらの山を歩き回っている割にはちっとも“山登り用体力”が付かずに、山へ行っては脂肪ばかり付けてしまっている私の3人が、「。。。なんでこのオレが山へ行くはめになったんだ!?」と思っている初心者Uさんを連れて、白鳥山へ登って来ました。
 実は、他の仲間にそそのかされて(笑)7月に朝日岳登山を約束させられてしまった初心者のUさん、彼をぜひ一度「山」という場所へ連れて行って足慣らしをしてもらい、またその実力を確かめ、夏に備えようというのが今回の目的でした(笑)。
 集合場所へ集まったUさんの格好は、どう見てもそこいら辺のハイキングへ出掛ける“シティーボーイ”風(!?)。中学生の娘さんから借りてきたというザックは「お父さん、汚さないでネ」と言われてきたらしいのですが、本人はもちろん、他の3人も不安と期待でいっぱい。。。
 5月の連休が明けてからの富山県地方は、まるで梅雨に入ってしまったかのような不安定なお天気が続き、“晴れ男”を自認するYさんの神通力も?でしたが、何とかくもり空でのスタートとなりました。
 途中“林道山姥線”が通行止めでしたが、行ける所まで車を乗り入れ、坂田峠まで約30分近く歩きました。いきなり「金時坂」の急登はキツイので、ちょうどほど良いウオーミングアップになったようです。
 何しろ「近所の棚山しか登った事がない。それも未だ“征服”しきれていない」と常日頃から口にしているUさん。何のことはない、「棚山」とは近所のゴルフ場のこと(笑)。歩き始めても、どうも後ろから観察していると、一歩一歩の足の置き場にかなり苦労している様子。でも仕方がありません、とにかく全くの初心者なのですから。。。
 いつものゆっくりゆっくりペースながら、予想していた(?)弱音も吐かず、先頭のYさんに一生懸命付いていこうとしている姿は、かなり健気です。しばらく歩いてもそれ程息も切れていないし、自分からは休みたいとも言わないし(言えなかったのかなぁ)…。これなら大丈夫かしら?
 昨年5月20日に登った時は登山道もあまり出ていなくて、山頂直下はもちろん、全体に未だ雪がかなり残っていましたが、昨日の白鳥山はほとんど夏道を歩く事が出来ました。“シキワリの水場”付近の谷筋に少し雪もありましたが、それでも夏道を横切っている残雪はほんの数メートル余りで全く気になりませんでした。
 “シキワリの水場”付近などには「シラネアオイ」が早くも花を咲かせ、ツツジやタムシバも色鮮やかな姿を見せてくれました。また山頂下の登山道や小屋の周りには、紫色のカタクリが一面に咲いていました。
 坂田峠から約3時間で白鳥小屋到着。記念撮影を済ませ、小屋の2階に上ってビールで乾杯し、早速ご馳走の準備に取り掛かりました。「白鳥小屋で、すき焼きを食べよう!」を合言葉に重たい材料を担ぎ上げての山行、賑やかに「宴会」が始まりました。
 この山行を計画するに当たって他の3人は、「初めて連れて行くには、どこの山が適当だろう?彼の地元の負釣山がいいかな、それとも白鳥山?でも、もし連れて行って“もう2度と山は行きたくない”と言われたら困るし、う〜ん。。。」と悩みました。しかし登って来てみると、例のUさんは私達の予想に反して(?)まんざらでもない様子。白鳥山からの眺望は今ひとつで、肝心の朝日岳も見えませんでしたが、それでも「これが雲海か、我等雲の上の人だな」等と余裕の表情!
 ゆっくり3時間も楽しんだ「雲上の宴会」も、そろそろ山を下りる事を考えるとお開きにして、帰り支度を始めました。しかし、ちょうど出発間際になってパラパラと小雨が振り出しました。本降りになる前に下山です。
 ここ数日お天気が悪く、やっとさえ雪融けでぬかるんでいる山道は“ぐにゅぐにゅ・ツルツル”して歩きにくく、またとても滑りやすくなっていました。とにかく無事下山が第一ですから足元に気を付けて、慎重に歩きます。ちょっと初心者には可哀想でしたが、それでもストックを衝きながらUさんは一生懸命歩きます。ちょっと“福山雅治”に似ている(と言われている)シティーボーイも、何度かスッテンコロリンしてお尻は泥んこになりましたが、「登りよりも降りる方が大変だなぁ」と言いながらも「ヨシッ!ヨシッ!」とひとり言のように掛け声を掛けながら、とにかく無事坂田峠を経て車まで帰着する事が出来ました。白鳥小屋から慎重に下りて、坂田峠まで約1時間45分。
 Uさんの感想は?…大丈夫、次の朝日岳登山に向けて「心の準備」はもちろん、決意もしっかり出来たようです。「夏山が、一面のお花畑が待っているよ!今度は小屋で会いましょう!!」