北アルプス 朝日小屋

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いろいろなご意見、有り難うございます!!

2003-09-02

“蓮華鉱山道”に架かる橋 (昨年の様子)  02.9.10

“蓮華鉱山道”に架かる橋 (昨年の様子)  02.9.10

 「白高地沢の橋」云々について、掲示板に様々なご意見を頂戴しています。

 現時点では、皆様のご意見に対して、私の未熟な意見をこれまた未熟な筆でこれ以上載せるについては、かなり反響も大きいことと思い、それに付いては暫く差し控えさせて頂きたいと思います。
 
 皆様各人各様、立場も違えば、「山」や「自然」に対する様々な思いや信条も十人十色おありだと思いますが、それぞれのご意見については私なりに真摯に耳を傾け、今後の参考にさせて頂くつもりでおります。

 多分、「白高地沢の仮橋」の様々な事実についてご存じない方々からの、一般論・総論だけを集めた議論では、少し話が大きくなり過ぎるような気がします。

 ただ、白高地沢についてだけに限定して述べさせて頂くなら…
 「県」が違い(朝日小屋は富山県・白高地沢は新潟県)、蓮華温泉からの方が道のりとしても断然近いはずのその地に、何故朝日小屋が関わり、今のように仮橋について全責任を負ったようなことになったかについては、いろいろな経緯があるようです。

 亡父が永年、何故損得を全く抜きにして白高地沢の橋架けに心血を注いだかといえば、それは『登山者の皆さんの安全の為』であったかと思います。
 
 実は、昨日蓮華温泉ロッジに「橋流出」の一報を届けた登山者(2人組と聞いている)は、雪倉岳避難小屋に泊まった後朝日岳山頂経由で、9月1日に蓮華温泉へ下山中白高地沢を通過。しかし、橋はすでに流されてしまった後。
 白高地沢は徒渉も出来ないあまりの激流に様相を一変していた為に、ずっとまんじりともせずに水嵩の引くのを待っていて、蓮華温泉に辿り着いたのは深夜の0時だったと聞きました。
 一歩間違えば、確実に「遭難」です。

 私が、「白高地沢仮橋の設置及び撤去」に関して、所轄の行政担当係から金額にして一体いくら貰っていると思われますか?当該の人夫賃や材料費を、はるかに下回る額しか支払われていないのが現状なのです。

 前掲の“蓮華鉱山道”の瀬戸川には、相当の予算を付けて、昨年立派な橋が架かりました。
 
 今年のシーズン前、行政の担当者に「年間100人程しか通らない“蓮華鉱山道”の瀬戸川にあんな立派な橋が架かったじゃないですか!?それだったら、その10倍以上の登山者が通る白高地沢に、何故もう少しお金を掛けようと考えて下さらないのですか!?」と詰め寄りました。
 そうしたら、その担当者は「あそこは、以前に事故がありまして…」と答えました。
 
 「事故がなければ、改善がなされない」というのは、全く情けない話です。
 
 それだったら、山小屋として出来る限りのことをして登山者の安全を確保していこう、というのが私達の責務だと思っています。
 その為に仕事をしているのが、私たち山小屋なのではないでしょうか。
 
 事故が起こってしまってからでは遅いのです。

 私は、「自然」を壊そうと思ったことはありません。
 「安易」に、「金銭」のことだけを思って、橋の在り方について議論しようと思ったこともありません。

 先日の流出の時も、山ちゃんとひろクンは8月27日に橋の状況を偵察に行き、29日には早朝から朝日小屋を出て白高地沢まで行き、橋架け作業を終えて夕方5時過ぎに小屋へ戻って来ました。
 そして今日は、孝太とひろクンがまたまた状況を把握する為、五輪尾根を下り、カモシカ坂を走り下りて現場へ行っています。
 誰も文句は言いません。愚痴も言いません。それが自分達の仕事だと思っていますから。
 
 でも、「山小屋管理人」の私にとって、登山者の皆さんの安全の確保は第一に大切なのはもちろんですが、アルバイトのみんなが事故なく怪我なく一日の仕事を終えて戻るまでも、この日中は何だか落ち着かないのです。昨シーズンの橋架け作業中の、哲也の怪我のこともありますから…。

 …そういえば、昨年も「木道」についての議論がいろいろありましたね。
 …またまた議論を呼びそうな内容の話しを、取り留めもなく書いてしまいました。
 …でも、やっぱり少し書かずに居られませんでした(苦笑)。