北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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突然ですが…また「出張」に行って来ます!!

2001-10-18

下山の日、夕暮れ近くに8合目から見た富山平野と富山湾

         「帰るんだ…」という気持ちで眺めていました

 突然ですが、「出張」に行って来ます(笑)。といっても、もちろん遊び心が旺盛で、急に思い立ったのです。…太郎平小屋まで。もし天候と時間が許せば、薬師岳の頂上も往復したいなとは思っていますが。

 なかなかこの時期になると営業している山小屋が少なくなってきています。11月には立山の妹の小屋に行ってくるつもりでいますが、雪が降る前にまだもう少し歩いてみたいなぁと考えていました。今週末と来週末もどこかへ行く予定でいますが、でも平日に一人で行くとなるとどこにしようかと迷いましたが、高校生か大学生の時に一度知合いの方に太郎平小屋へ連れて行ってもらった事があって、折立からの道は記憶にあるので、もう一度登ってみようと思いました。

 あの時は子ども心にも、高天ヶ原の静けさとなんともいえない素敵な雰囲気がとても印象に残っています。

 そろそろ小屋閉めが近づいた太郎平小屋で、またまた登山者の皆さんの気持ちになって来ます。…平日に急に思い立って山を歩くなんて、かなり贅沢だと思いますが、これも仕事(!?)、許してください(笑)また帰ってからの報告をお楽しみに。では。

チューリップテレビで・・・

2001-10-18

  小屋閉めの12日、最後に発電機室の板をはめ込む梅さん

 チューリップテレビの皆さんが、今シーズンの小屋閉めの様子を取材に来ていらっしゃいましたが、その模様が「とりあえず(?)」放送されるそうです。…「とりあえず(?)」というのは、この後も何か考えていらっしゃるそうなので、ということらしい。

 放送日は、19日(金)夕方6:20〜の「ニュースの森 とやま」の中で。約5分間程の放送予定だそうです。地元富山県の方しか見る事が出来ませんが、もしお時間が許せばチャンネルを合わせて下さい。

 ナンだかまたまた朝日小屋のドタバタした様子が放映されると思うと、かなり戦々恐々の私です(笑)。

最高の山行!…太郎平小屋・太郎山・北ノ俣岳

2001-10-20

   太郎平小屋のスタッフの皆さんと   photo by yosiyasu

 素晴らしいお天気に恵まれ、本当に最高の山行(「出張」?)になりました。

 18日〜19日と、一泊で折立から太郎平小屋まで行って来ました。残念ながら、ぜひゆっくりお話したかったオーナーの五十嶋さんにはお会い出来ませんでしたが(5月にご挨拶には行って来ましたが)、ゆっくり流れる時間の中に自分を置いていろいろなことを想い、考えてきました。

 折立から三角点までの道は、深まる秋に樹木の葉が落ち、少し曇った空が明るく感じられるほどでした。急坂とはいえ、樹林帯の中の階段状の登山道は、やはり北又からの恵振山の急登の方がはるかにきつく、ゆっくり歩く私にはとてもやさしい登りでした。

 三角点を過ぎると視界も開け、石畳の道を珍しく感じながらとにかくゆっくりゆっくり。左手に剣岳や立山の山並み、そして薬師岳をずっと見ながら。朝日岳からははるか遠くにしか見えない白山が、右手に大きく望む事が出来ます。途中行き交う登山者の方は一人もいない。

 相変わらずゆっくりそこここで立ち止まってデジカメで写真を撮りながら、そして昼食とお昼寝付きでしたが、それでも約4時間半で太郎平小屋に到着。ただ、残念ながら午後1時近くだったので無理をして薬師岳の山頂を目指すことは諦め、小屋でゴロゴロしてしまいました。(何しろ前日の睡眠が2時間だったので。「登山者失格」ですね…笑)

 夕陽と雲海も最高! …朝日岳とはまた一味違うスケールの大きさ、そして夕陽に輝く薬師岳の勇姿も堪能しました。

 ナンと、平日だった為か、とびきりのいいお天気だったのにお客様は他に誰もいらっしゃらなくて、私一人!…淋しいというか、もったいないというか、贅沢というか…(笑)。スタッフの皆さんとお喋りしながらの夕食、そしてトランプゲーム大会。最高の待遇でした。皆さん有り難う!!

 日中あまりにゆっくりしたからか、なかなか寝付けず、真夜中に起き出すと満天の星空…、本当に素晴らしかった!!朝日小屋からの星空もそれは素敵なのですが、太郎平からのあの星空は、う〜ん、ナンとも言えず、ひとり占めするのが申し訳ないくらいでした。

 翌朝は、5時半に小屋を出て北ノ俣岳まで往復。本当は薬師岳へ登りたかったのですが、午後から二女と富山市内で待ち合わせをしていた為、どうしてもお昼過ぎには折立へ下山する必要があり、やっぱり薬師岳登頂は断念。まぁ、山は逃げていかないので、また来年かな…。

 霜柱がザクザク音を立てる朝の道。寒かったのですが、景色も気分もスッキリと最高。朝焼けの山々、淡いピンク色の白山…。北ノ俣岳は360°の眺望が素晴らしく、朝陽に輝く山並みに一人感嘆の声を上げつつ、寒さを堪えてずっと佇んでいました。

 「帰りたくな〜い!」をここでも連発。「もう一泊いかがですか?」のスタッフの皆さんのお誘いに、後ろ髪をいっぱい引かれつつも、時間ギリギリになってやっと下山開始。

 前日には雲海の下で見えなかった有峰湖が湖面をキラキラ輝かせていましたし、紅葉の山々も素晴らしく、私の大好きな樹林帯の道を一人で楽しみながら下りて来ました。

 実は、薬師岳の山開きにぜひ来ませんか?と、夏山シーズンが始まる前に薬師岳山荘の堀井よし子さんからお誘いを受けていたのですが、朝日岳の山開きの一週間前で、もう私も山へ入らなくてはいけなかったので、残念ながら諦めていたのです。でも来年からは、朝日小屋を閉めて下りてきたら必ず「太郎へ行こう」と思いました。出来たら、足を伸ばして他の山も訪ねてみたいな…。

 遊んでいるように見えるでしょ!?…遊んでいるんですよ、本当に(笑)。でも、私なりにいっぱいいっぱい考えていたりして…。新米管理人は身体はもちろん、気持ちも心も頭の中も整理しているんです。来年のエネルギーをたくさん蓄えて、頑張れるように。

 この後もいろいろ予定を立てています。あまりここで書くと羨望の的になるから止めておきます(笑)。でも、山に雪が降るまで…もう少しだけ、ほんの少しの時間、山の中に居たいので。

白山遠望

2001-10-20

朝焼けの中、淡くピンク色に染まる空、そしてだんだんと明るく輝いていく白山の姿に、胸がドキドキしました。

中俣新道から、晩秋の雰囲気漂う黒岩平へ…

2001-10-22

中俣新道入り口で、案内役の平石武仁さんと  以下photo by yonetaka

 21日(日)、新潟県糸魚川市小滝のヒスイ峡奥にある中俣新道から、栂海新道の黒岩山・黒岩平を訪ねました。早朝から出掛けた日帰り山行です。

 以前より前管理人・下澤三郎と懇意にして頂いていた糸魚川・いりやま岳友会の中村光信さんから、「ゆかりさん、ぜひ中俣へいらっしゃいませんか」と再三のお誘いを頂いていました。 

 また山好きの私の主治医・Y先生からは、昨年よりずっと「どうしても中俣新道を登ってみたいんだ!」との熱いラブコール。

 そして私はといえば、「やっぱり管理人としては、お客様が利用される登山道は、絶対に自分で歩いてみるべき」と考えていました。実は10月10日の遭難(騒ぎ)のお客様は、蓮華温泉へ下山するはずでしたのに、「吹き上げのコル」から間違って栂海新道へ入り、ナンと中俣新道を下りて翌朝「高浪の池」から連絡があったという顛末だったのです。その事もあってどうしても今年行けるうちに「中俣新道〜黒岩平」へ登ってみたいと強く思ったわけです。

 そんなわけで、今回の同行者は主治医のY先生、いりやま岳友会からわざわざ案内役として平石武仁さん(平石さんは小屋閉め直前に朝日小屋でお会いしていました)。深まる秋を思い切り感じた、楽しい山行となりました。

 ヒスイ峡から奥の林道入り口には施錠がしてありますが、中村さんのご配慮で鍵を開けて頂く事が出来ました。

 取り付きから中俣小屋はすぐですが、そこを過ぎるといきなりの急登。恵振山の坂に慣れているとはいえ、振り返ると「こんな所を登ったんだ!」とビックリする位の急斜面です。しかし、それも少し我慢して登ればすぐにホッとするようななだらかな登山道が連続します。ここでもいつものように、同行のお二人には「私、ゆっくりしか歩けませんから」とお願いしました。平石さんは「いつも雨飾山の山行で、沢山の方を案内したりしていますから、ゆっくりには慣れています。大丈夫!」と、私の歩きやすいようにペースメーカー役を引き受けて下さいました。

 一面が黄色い世界と勘違いする程、ずっとブナの林の中を歩きます。時に急登もありましたがそれ程長くは続かないし、最初からゆっくりのペースで歩きましたので、息切れもなし。いつも登りを苦手としている私を心配したY先生がビックリされる位、余裕の歩き。「これはもしかしたら、最近山を遊び歩いているせい(…成果!?)かしら」とひとり言(笑)

 「いい道ですねぇ、いい山。私こんな道が大好き!!」…そんな言葉を繰り返しながら行くと、尾根道の途中からは視界が開けてきて、五輪山や犬ヶ岳の稜線が左右に見え始めました。そうなると、ブナ林の中をゆっくり歩いていた私の様子も、ナンだかうきうきした感じに変わり足の速さも調子付いて来ました。

 歩き始めの取り付きから黒岩山直下の分岐点までは約4時間半。毎回の事ですがデジカメで写真を沢山撮り、ゆっくりおしゃべりもしながら歩いたのですが、コースタイムの5時間より早く到着しました。

 黒岩山の頂上に立ちサワガニ山や犬ヶ岳の山並みを眺めた後は、晩秋の雰囲気を漂わせる黒岩平へ。ここでも告白しますが、黒岩平へももう20数年遊びに行った覚えがないのです。昨秋父の遺影と共に長栂山までは来ているのですが、朝日小屋からの「散歩コース」として黒岩平はちょっと遠いのでなかなか来るチャンスがなかったのです。

 少し寒かったのですが、それでも3人でビールで乾杯!! 流れる湧き水を汲んでお湯を沸かし熱いラーメンを食べたりコーヒーを飲んだり、とても幸せな時間…。

 ところで、絶対に登山者の方には会わないと思っていたのに、黒岩平で栂海新道を登って来たという単独行の若者にバッタリ。「今日は朝日平でテントを張ります」という彼に「頑張って!」とエールを送りましたが、そのまま付いて行きたいような複雑な管理人の気持ち…。

 ここまで来たら朝日小屋まで行きたいなぁ…という後髪引かれる思いを残して、下山開始。下りは結構得意な私、心配するY先生をよそに軽快なピッチで下りていくと、平石さん曰く「清水さん調子いいですね。ナンだか後ろからストックで突かれそう(笑)」。

 そして「ここは僕達の庭みたいなもの」とおっしゃる平石さんは、右を見たり左を探したりしながらキョロキョロ。どうやらキノコを物色していらっしゃるようでしたが、ちょっとまだ早いようでなめこが少し見つかっただけでしたが、それでも秋を思い切り感じながらの下山は、分岐点から約2時間半。結局コースタイムの4時間はかからず、余裕をもっての日帰り山行でした。

 本当にいい道、そしていい山でした。思い切りブナの葉が落ちて、空がよく見えました。夏はきっと鬱蒼とした樹林帯でまた違った感じがするのだと思いますが、登山道もきちんと整備され、いりやま岳友会の中村さんや平石さん他地元の皆さんが注がれる愛情が山の中に満ちているのを充分感じられ、本当に行って良かったと思います。

 そして黒岩平。なかなか行く事のなかった場所ですが、ここも亡き父が大好きでした。今度は来年のシーズン中に、ぜひ小屋から遊びに行きたいものです。皆さんにもぜひお奨めしたいコース、中俣新道〜黒岩平。

 最後まで私の右足を心配しつつお付き合い頂いたY先生と、いろいろ教えて頂いた名ガイド役の平石さん。楽しい山行をどうも有り難うございました!!