北アルプス 朝日小屋

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宇奈月と朝日町の両遭対協が、合同で遭難救助訓練

2003-05-24

遭難者を背負い、岩場をザイルで下降する訓練の様子    03.5.17

 遭難者を背負い、岩場をザイルで下降する訓練の様子    03.5.17

 17・18日の両日、立山町の文部科学省登山研修所において、宇奈月町と朝日町の遭難対策協議会の夏山遭難救助訓練が合同で行なわれ、私も参加して来ました。
 当日は、宇奈月遭対協から山本隊長・野村副隊長・佐々木救助部長他の隊員、そして朝日遭対協からも谷口隊長・廣田副隊長以下のメンバーで、総勢約20名の参加者が、夏山を中心とした登山者の遭難救助を想定して、旧知の間柄を生かした活発な訓練を行ないました。
 県警山岳警備隊からは、黒部署の飛弾分隊長と山田隊員、入善署から古崎分隊長と谷口隊員、そして3月まで黒部署に勤務しておられた横山 隆分隊長も講師に加わって下さいました。
 訓練の内容は、クライミングの確保、支点の取り方、ザイルワーク、クライミング、ハーネスの付け方、引き上げ・引き下げの訓練など、用具の使い方などの基本的動作から、実際の遭難現場での動作の徹底と確認等など。
 私もやりましたよぉ!…ハーネスを付けたり、カラビナをぶら下げたり、実際に救助活動で使うザイルの結び方を教わったり。
 昨年5月の同じく合同訓練の際に、人工壁でぶら下がったことがありましたが、その時は本当に「ただ、ぶら下がっていただけ(笑)」。足場の確保にモタモタしていたりすると、ザイルで“猿回し”の如くひょいっ・すっと引っ張られるようにして引っ張り上げられていました(爆笑)。
 でも、今回はそういうわけにはいきません。かなり真剣にやったつもり(!?)。というか、いろいろやってみると、分からない中にもだんだんと興味が湧いてきます。もちろん、実際現場での救助活動を想定しているわけですから、面白いなんてことは言っていられませんが、いつかクライミングにも挑戦して(やり始めて)みようかという気持ちにもなって来ました。
 古崎分隊長がトップになってくれて、その後から私も難易度の低い壁も登りました。懸垂下降にも挑戦しました。“背負われ役”となって壁の下降もしました。
 私は山小屋の管理人として、少しでも登山者の皆さんの快適で楽しい山行のお世話を出来ればと、いろいろ考えているつもりです。がしかし、ひとたび緊急の事態が発生し、事故や遭難ということになれば、それはもう『厳しい山の世界』の話に一転してしまうわけです。
 私に出来ることは、小屋からの人的応援、小屋での無線連絡、そして食料の調達や物資の提供、負傷者や病人の一時的看護くらいしかありません。そんな中で、時には自分の命さえ覚悟して救助に飛び出す県警山岳警備隊の皆さんをはじめ、ボランティアでそれに加わる遭対協の救助隊員の皆さんの仕事には、常々本当に頭が下がります。
 宇奈月遭対協と朝日遭対協関係者には、「遭難救助や、その現場に境はない」…そんな思いから始まった合同訓練ですが、回を重ねるごとにお互い顔見知りにもなり懇親も深まり、いずれ同じザイルを組む時が来るはずですので、今回の訓練がまた必ず役に立つと思います。