その想いを、「翼」に載せて
2004-04-01
昨日は、富山空港に隣接して駐機場のある、富山県警察航空隊と富山県消防防災航空隊を訪ねました。
両航空隊の皆さんとは、時々朝日小屋の上空を飛行中のヘリに合図を送るか、また負傷者を搬送する緊急の際にホンの一瞬しかお会いすることがないのですが、シーズン中いつもお世話になっているお礼とご挨拶を兼ねてお邪魔してきました。
両航空隊には、山岳遭難や事故の現場で捜索や救助活動において大変お世話になっています。
3,000m級の北アルプスを抱える富山県において、山岳遭難の現場にあっては従前からの山岳警備隊や民間救助隊の陸からの活動に加えて、現在では空からの広域的かつ機動的なヘリコプターによる捜索・救助活動は不可欠となっています。
山小屋でヘリコプターを要請するのは、登山者の皆さんが負傷されたり病気であったりという緊急を要する場合です。県警山岳警備隊が、「これは一刻も早い救出が必要だ!」と判断した場合にのみ、ヘリコプターが出動します。
2,000mを越える山の上では、予想も出来ない天候の急変があったりして要請通りにヘリが飛ばない場合もあります。そんな時、負傷者を目の前にした小屋の責任者としては「早く!、早く!」と手を合わせて、本当に祈るような気持ちで空を見上げることがしばしばあります。
昨年も、台風の最中にヘリコプターを要請する事態が発生したのですが、要請した時点では下界も見えるような天候でしたが、みるみるうちにガスが舞い上がってきて、しかもあっという間に暗雲が湧いてきて雨まで降り出す始末。「もうダメか。。。」と思った矢先に、それまで小川温泉上空を旋回して待機していた県警ヘリ「つるぎ」が、一瞬のスキをついて小屋の前へ現れ、負傷者を乗せてあっという間に飛び立っていきました。
ホッとしたという安堵の気持ちと同時に、「こんな悪天候の中を…」という感謝の気持ちでいっぱいになりました。
県警ヘリ「つるぎ」と、消防防災ヘリ。いつも緊急の場合に遠くから見るだけの機体を初めて撫でさせてもらい、何だか愛しいというか、お世話になっているという実感からか、何故かジーンとしてしまいました。
隊長や機長をはじめ、隊員の方々には厳しい訓練などそれぞれご苦労があるとは思いますが、現場にあっては本当に頼もしい航空隊の皆さんです。
これからも、困難な現場での様々な出動要請もあると思いますが、その“燃える心意気”と“度胸”、そして『豊富な実戦経験・冷静沈着な判断・巧みな操縦技術・ヘリコプター及び山岳の知識』(「谷口凱夫著・アルプス交番勤務を命ず」より)で、遭難事故の現場に駆けつけて下さいますよう、よろしくお願いいたします。
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