ひと月、ひと月、ひと月…そして、ひと月
2004-10-05
朝日小屋の小屋開けは例年6月中旬、そして小屋閉めはちょうど4ヵ月後の10月中旬。
私の管理人生活も、今年で4年目。
あともう少しで、小屋閉め・下山です。
小屋開けからのひと月は、8ヶ月間の長い雪の中の眠りから小屋を起こしてやって、お客様をお迎えする準備に追われます。
北アルプスの最北端、雪深い朝日岳周辺では、7月中旬にならないとお客様はなかなかおいでになれません。
私たち小屋のスタッフは、ただただ毎日、掃除や片付け、そして登山道の整備などに明け暮れます。
そして7月第2週を過ぎた頃、ようやく待ちかねた登山者の皆さんが、雪解け直後の可憐な花たちに逢いにいらっしゃいます。
7月中旬から8月旧盆の頃までの約ひと月、朝日岳周辺は一番賑やかで華やかな季節を迎えるのです。
旧盆を過ぎて、秋の風が顕著に感じられる時季になると、お客様の姿は極端に少なくなります。
夏休みも終わりに近づくから余計なのでしょうが、時には、だあれもおいでにならない平日があったりして…。
8月中旬過ぎから9月半ばまでの約ひと月、夏の花が終わって紅葉のシーズンを迎えるまで、朝日小屋は本当に静かです。
寒くなれば、少ないお客様には温かい「お鍋」などでのおもてなし。ゆっくりして頂ける時季です。
そしてそんな時間(とき)、私も含めた小屋のスタッフは、つい目の前を通り過ぎた短い夏の間の喧騒から離れて、静かに思い思いの時間と空間を楽しみながら、少し疲れた心と身体を休めるのです。
小屋開けからほとんど一日も休まずに、暗がりから夜遅くまで働いた毎日を懐かしんだりもします。
そして小屋閉めまでの、約ひと月。少しばかりの淋しさを感じながら、8ヶ月の間空けていく小屋の整理や掃除に取り掛かります。
来年、小屋開けに来た時のことも考えながら、毎日毎日下山日に向けての準備が始まると、紅葉や初霜、初氷、初雪といった、山小屋のスタッフしか味わうことの出来ない「感激」を感じながら作業は着々と進められます。
ひと月、ひと月、ひと月…そして、ひと月。
その時季時季に、いろいろな想いを感じながら、山小屋の生活は、淡々と流れていきます。
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