北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
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『前を向いて歩いていきたい』…講演会で

2002-03-17

 私の拙い話を、とても熱心に聞いて下さいました。

 16日(土)、JA入善町女性部の通常総会で講演をさせて頂きました。初めての経験に、もっとドキドキしてあがるかナと思っていましたが、自分ながら驚くほど落ち着いていた!?(笑)
演題は

 『前を向いて歩いていきたい −北アルプス朝日小屋の管理人になって−』

 自己紹介や管理人になるまでの生活の話しから始まって、朝日岳・朝日小屋そして山小屋での生活の紹介、初めて朝日岳に登った小学3年生の時のこと、父について、父の遺してくれたもの、自分が管理人になる決断をするまでの眠れない日々と現実問題の解決へ、「泣き虫」の私が段々と強くなっていった姿、「好きだから頑張れる」自分、朝日小屋の「ウリ」食前酒のサービスやホームページ、…そして「どうして山が人を惹き付けるのか」、あるがままの自然の姿と、山と同じように懐の深い自分になりたいという私の想い…など等。

 「前を向いて歩いていきたい」という演題は、いくつかの候補の中から考えて、自分のモットーとして今までもそしてこれからも大切にしていきたい、私の想いとして選びました。

 ところがつい先日(演題を決めた後)、知り合いの方が亡き父に関しての文章を寄せて下さったのですが、その中で紹介されていた父の言葉にビックリしました。…『挫折して転んでも起き上がること、そして起き上がって前を向いて進んでいくということが大切なんだ』

 父は28年間に亘って朝日小屋の管理人を続けて来ましたが、昭和55年に林道で登山客を乗せたトラックが転落、多数の死傷者を出すという事故が起こりました。父が管理人になる以前から続いていた、トラックで登山客の輸送の便宜を図るという善意の行為がアダになって、多くの方々に大変なご迷惑をお掛けしたのですが、父はトラックの所有者であり、運転手を頼んでいた当事者という立場で、本当に辛い思いをしました。

 「挫折して転んでも…」という言葉は、その事故後しばらく経ってから父が知り合いに漏らした言葉だそうです。当時私はまだ大学生、父がその後どんな苦労をしたかは判っていたようで、実は知らなかったのだと思います。でも、事故があった日のこと、事故の翌日に事情聴取の為にすぐ山を降りるように警察から連絡があり、ガックリと肩を落として私に小屋を頼むといって下山していった父の姿は今も忘れることが出来ません。

 でもそんな父の想いも、『前を向いて』だったのかと知ると、とてもとても不思議な気がします。

 そんな話も交えての1時間15分、自己採点は75点かしら?…減点分は、気をつけようと思いつつやっぱり涙が出てしまった分がマイナス15点、大体時間通りでしたが最後に少々早くなってしまった分がマイナス10点。まあ初めてにしては及第点??

女性の皆さんに

2002-03-17

聴衆の皆さんは殆どが女性、30代から60代の方々でした。

農業を取り巻く情勢も大変厳しい時代ですが、「こんな時代だからこそ力を発揮するのが女性。女性は本当は強いんです。一緒に頑張りましょう。」…生意気にも、そんなメッセージとエールを送りました。

今年度も…宜しくお願いします、古崎隊員!!

2002-03-19

 頼りにしています、県警山岳警備隊・古崎隊員
「南保富士」での雪上訓練の様子 01.1.26

 1月の南保富士での訓練の後、小川温泉元湯での打ち上げ会の席上、古崎隊員から「ゆかりさん、実は昇任試験に合格しまして…」という話をお聞きしました。「それはおめでとうございます、じゃあ早速にぜひお祝いの飲み会を…」と言いましたら、古崎さん「いや、ところが、昇任したお陰で春に異動があるかもしれなくて、ちょっと気懸かりなんです」。

 古崎隊員、今まで延ばし延ばしにして来た「昇任試験」を受けて見事合格したのはとても良かったのだけど、巡査部長になるという事は山岳警備隊の中では「分隊長」という役付きになる事で、「分隊長」になると決まって殆どが異動になるという前例があるらしい。

 そんなわけで、古崎さんの人事が決まるまで暫くの間、何とも気が気でなかった朝日小屋管理人。ここ数日その知らせを、まるで子どもの試験の合格発表を待つ親のような気持ちで待っていましたが、昨日内示があり「大丈夫でした、もう1年お願いします」という古崎さんからの連絡に、「良かった〜!!」と受話器を持ちながら、誰に向かってお辞儀をしたのか(!?)思わず頭を下げていた私でした。

 昨年、管理人になって一番の心配事・懸念は、やはり遭難対策と事故防止、救助活動に関する事でした。私自身が実際現場へ出動するケースはあまり無いとしても、小屋でやらなければいけない分担・役割はかなり大きく重要なウエートを占めています。

 古崎隊員は、本当に親身になっていろいろと教えて下さいました。訓練にも「ゆかりさん、一緒に参加してみますか?」と新米管理人を誘って下さいました。お陰様で、足手まといになりながらも、現場の緊張感を実感できたり、救助用具や山道具を使用する勉強をさせてもらったりと、自分自身管理人としての自覚を高める為にも、大いに参考になりました。

 古崎隊員の「朝日岳方面」勤務も、この春からは4年目に入ります。

 まだまだ頼りない私ですが、今年度も哲也共々、どうぞ宜しくお願いします。

「山渓」の原稿書き、終了

2002-03-19

 朝日岳遠望 朝日町山崎地内から 02.3.13

 講演会とほぼ同時進行で「山渓」の原稿を頼まれていたのですが、さすがに両方一緒にという訳にはいかず、講演会を終えてホッとする間もなく、またまた机に向かってパソコンとにらめっこ。

 遅筆の私としては、引き受けた段階から少々気懸かりだったのですが、今回に限り(?)〆切り前に出来上がってしまいました。ホ〜ッ…。

 今日メールで原稿を送りましたら、編集部のMさんから無事届いた旨の返信があり、ちょこっとお褒めの言葉も添えられていたりして…、内心やっぱり嬉しかったです。

 上の部署で×が出ない限り(!)、多分5月号の掲載になる予定です。どのページに載るかって??…またその時にお知らせします。だって、ボツになったら恥ずかしいので、出てからご案内しますネ(笑)。

 今回は約3,000字弱。講演会の約14,000字の原稿書き(打ち)もあったりして、パソコンのマウスを触る右手首が少々「腱鞘炎」気味です。

 でも終ってホントに良かった〜〜!!

気になるニュース、「30年に一度の異常気象」

2002-03-22

 昨シーズン 01.7.7の朝日小屋・前朝日岳周辺
朝日岳への登山道から望む

 昨日の地元新聞には、観測史上例のない早さで桜の開花が相次ぐなど、このところの異常気象についての記事が載っていました。

 気象庁の発表によると、1月以降、偏西風が蛇行しなかった影響などで北極圏上空の寒気が南下しにくくなった為に、アジア、ヨーロッパの広い範囲で30年に一度程度しか見られない異常な高温現象を観測しているらしい。 (北日本新聞より抜粋)

 今朝早く、朝日町の桜の名所・舟川べりを訪れてみると、いつも他の地区の桜よりやや開花が遅めの舟川べりでも(冷たい川風が吹き付ける為?)、 桜並木全体が何となく昨日までと違う様子。昨日の富山県内は20℃を超え5月並みのお天気だったというから、無理もないかも知れません。近づいてよく見ると、蕾のホンの先端がうっすら薄ピンク色に色付いていました。もしかして、このまま暖かい日が続くような事があると、今までにない位信じられないような早い開花があるかもしれませんネ。

 そうなると、気になってくるのはやはり山の残雪の様子。

 立山のアルペンルートでは、すでに4月の開通に向けて除雪が始まっているのですが、今年の積雪量は平年並み、と発表されています。しかし、低山、里山などではやはり例年に比べて積雪量はかなり少ないという情報もあります。但し、尾根、谷、沢などによっても毎年状況が違うのは、昨年の経験からも言えるのですが。

 下界での水不足も、もちろん今から心配されているようですが、山小屋の水の確保はそれぞれその年の雪の量にも左右されるのですが、朝日小屋は7月の「海の日」頃までは雪渓から、それ以降は沢からの取水となりますので、今からとても気懸かりです。

 朝日小屋でも、滅多に枯れない沢の水がとうとうピンチになって、水のある谷を降りて大きなポリタンクで背負子に担いで小屋まで何往復もしたという事が、過去にもあったと聞いています。

 やっぱり『水』。「水の確保」はどの山小屋でも、とても重要な仕事です。朝日小屋では、いつもの年なら水に不自由する事はあまりないのですが、「30年に一度」という事であればいったいどうなるのか、ちょっぴり心配…。

 それから、『花の開花時期』。今まででしたら、朝日岳での花の見頃は大体「7月20日頃〜8月お盆頃まで」とお答えしていたのですが、昨年など7月「海の日」の前にかなり一斉にチングルマなどが咲き始めました。もちろん朝日岳周辺は花の種類も個体数も多く、それが次々に咲くのでいつおいでになられても花は楽しめるのですが、それにしても昨年は、花の咲き始めがいつもより早いなぁというのが正直な感想でした。

 昨シーズンの日記を読み返してみると、すでに7月5日には小屋の周りでハクサンコザクラやチングルマが見頃・満開と載せています。

 この後3ヶ月間の天候の具合と、その影響が気になるところです。

卒業・入学、そして社会へ巣立つ君へ…

2002-03-24

昨シーズンのアルバイト勢揃い、高校生・大学生の若いメンバーが中心でした

 桜の便りも聞こえて来て、本当に春爛漫の今日この頃です。春といえば、卒業や入学のシーズンですネ。朝日小屋昨年のアルバイトのメンバーの中にも、この春新しい生活を始める仲間がいます。

 一人は鮎美ちゃん。彼女は伝統ある地元U高校山岳部のメンバーで、我が家の三女の先輩という縁で夏の間来てくれました。いつも黙々と仕事をこなし仕事の呑みこみも早かった彼女は、休憩時間にはいつも食堂の片隅で勉強を続けていました。ふきん等の洗濯も、気が付くとサッサとやってくれて、みんなの洗濯物を黙って取り込んで畳んでくれたりしました。高校卒業後は大阪の専門学校へ進学するようですが、今年の夏もぜひ来て欲しいですネ。

 グリーンパトの拓郎は、N大学の農学部4年生で、「三郎杉」の平教授のゼミの学生でした。夏のパトロールの期間中は、他の小屋アルバイトと同じように朝と夜の仕事を手伝ってくれて、本当に助かりました。2月には無事卒論も書き上げましたが、もう1年大学に残ると聞いています。今年も多分何らかの形で朝日小屋に来てくれるのではないかと、密かに願っています。

 そして、てらちゃん。彼は広島県の出身ですが、東京のW大学の5年生でした。電話でアルバイトを申し込んできた時に、1年しか朝日小屋に来られないと分かっていながら、7月中旬から入山できるという理由だけで(!?)採用した彼、どんな縁があったのでしょうネ(笑)。最初からドジもあったり(失礼)、 もしかしたら途中で逃げ出すのではないかという心配もしましたが、最後は『重症の朝日小屋ショック』に…。そして泣き虫の私以上に、とっても泣き虫の彼でした。でも、てらちゃんにとって朝日小屋での毎日、朝日小屋での出逢いは、一生の宝物になったようです。明日25日が卒業式のてらちゃん、今は社会人になる期待と不安でいっぱいのようですが、朝日小屋で管理人のゆかりに「も〜、てらちゃん」と怒られた時の事を思えば、きっとどんな困難も乗り越えられるんじゃないかしら。頑張って、てらちゃん!

 朝日小屋はいつでもみんなが来てくれるのを待っていますから。

 おめでとう、そして頑張れ、フレッシュマン!!

あなた達の事は、忘れない!!

2002-03-24

こんな顔でゴメンなさい!
“ホワイトニングマスク”をつけて、「美白」に挑戦中。。。

 本当にとんでもない姿でゴメンなさい、です(笑)。実は、一度このマスク姿をお見せしなくてはと思っていました。(皆さんは見たくなかった、やっぱり!?)

 …この「美白マスク」は、昨年の小屋閉いに大勢集まってくれたアルバイトのみんなが、「ゆかりさんに今一番必要なものを」と相談し、ワインや寄せ書きと一緒にプレゼントしてくれたものです。山を降りたら、そんな真っ黒な顔では下界で大変だろうという温かい心遣いだったようです。

 昨シーズン、新米管理人を支えてくれたのは沢山の周りの皆さんの力、中でも何よりアルバイトのみんなの抜群のチームワークでした。朝早くから夜遅くまでのキツイ仕事に加えて、管理人の様々な要求に応えて、本当に良く頑張ってくれました。

 どの子も、私の娘たちと同じような年齢の若者たちでした。おとなしい子、元気な子、今どきのいろいろな子どもがいました。でもとっても嬉しかったのは、誰一人として自分だけ楽をしようとか自分さえ良ければとか抜け駆けしようとか、そんな思いで他のメンバーの足を引っ張るような子がいなかったこと。哲也を中心として、それぞれがカバーし合って仕事をやり遂げてくれたこと。

 1年経って、それぞれの新しい春が巡って来ました。今年もまた、暑〜い夏に朝日小屋で会いましょう!!

里山は、春!!

2002-03-26

城山で
もうすっかり元気になった隼(ハヤト)と、朋子さん・二女のはるか

 今度の日曜日に白鳥山への日帰り山行を計画していながら、最近ずっと同じ姿勢でのデスクワークが続いたので、春の陽気に誘われて足慣らしに出掛けました。

 今日のお散歩コースは、「城山」。2月5日に朋子さんと歩いた時はまだ寒くて頂上付近には雪も残っていたのですが、あれから50日、標高200m余りの城山でも「春」はもう始まっていたんですネ。

 歩き初めから、もう花たちが咲いていました。いつもの事ながら、「わぁ〜、もう咲いてるよ」とか「可愛いね」とか、はしゃぎながら登りました。

 一番たくさん咲いていて、私たちをビックリさせたのは「キクザキイチリンソウ」(キンポウゲ科・別名キクザキイチゲ)。雪解け後の春の林床でいち早く咲く花だそうですが、恥ずかしながら、実は私はこの花を知りませんでした。もしかしたら今までもどこかで見ていたのかもしれませんが、今日は思いがけず道端に群生していて、その可憐な淡い紫色と清楚な雰囲気には本当に驚かされました。

 それから、名前も知らない「スミレ」。今年初めて見たスミレです。「ヤブツバキ」もそろそろ散り初めながら、まだまだ色鮮やかな姿で私たちを迎えてくれました。杉林の間にもイチゴの花に似た白い花が咲き始めていましたし、また山頂近くでは見事な「キブシ」が咲き揃っていました。いろいろな里山の花は、朋子さんが花の名前を教えてくれました。

 城山には何本もの桜が植えられていますが、中でも八重桜はそれは見事に咲くそうです。「今度は桜のお花見に来ようネ」とは朋子さんとの約束。

 今日は、1月1日の交通事故からすっかり元気になった我が家の愛犬・隼も一緒でした。そして“隼のお散歩係り”として二女のはるかも連れて行ったのですが、「少年犬」の隼の運動量はさすがで、城山の広場では走る走る…、普段のストレス解消といった風でした。

 白鳥山への準備は、こんなお散歩くらいではダメですね。メンバーの中では、やっぱり私が一人足を引っ張りそう。今週は、意識してもっと運動するようにしないと。。。

 それにしても…、やっぱり春は陽射しも空気も気持ちがいい〜、でもお陰でせっかくの“ホワイトニングマスク”の効果が台無しかも!?(笑)