北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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事故が続いて…今日もドタバタした朝日小屋

2002-07-22

山頂までの登山道で

 今年の朝日小屋は、繁忙期突入と同時に「事故」が連続しています。そのいずれもが「蓮華温泉方面の木道」に関係していますが、今日はついに今シーズン初めてヘリコプターで救助しなければならないケースが発生してしまいました。
 今日はさやか・じっきー・そして娘の沙知代が一旦下山するので、みんなで一服のお茶の時間に「人間ピラミッド」を作ったり、スイカ割りをしたりして久し振りに楽しいひとときを過ごしました。
 午前11時ごろ、「そろそろお昼ご飯の用意でも」と思っていた矢先に、電話がかかって来ました。…『事故が発生しました!』
 朝日岳山頂直下の“吹き上げのコル”から蓮華温泉側へ、五輪の尾根を少し下った木道で、昨日朝日平でテント泊された女性の登山者の方が転倒し、足を骨折し救助を要請しているという内容でした。
 通りがかりの登山者が負傷者を発見し、携帯電話の通じる地点まで移動して第一報を朝日小屋に入れてくださったのです。その通報を受けてすぐ県警の古崎分隊長に連絡して指示を仰ぎ、哲也・孝太・慎ちゃんの3人が現場に急ぎ、またその状況から県警ヘリ“つるぎ”が現場に出動する事になりました。
 哲也たちは、走る走る。。。「あんた達がケガしないで!!」という背後からの私の声も聞こえないくらいに山頂までの登山道を急ぐ姿が見えました。
 そして、哲也たちが現場に到着してとりあえずの応急処置を施して間もなく、県警ヘリも到着し無事ケガ人をピックアップし病院に収容しました。後から聞いた報告によると、ケガ人は52歳・女性、下腿骨骨折(2ヶ所)の重傷だったそうです。
 お昼前に出動した哲也たちが小屋に戻ったのは午後2時、それからお昼ご飯を食べさせて少し休んでもらいましたが、残ったメンバーもそれをカバーするのに一生懸命。私はといえば、やっぱりお昼を食べ損ねそうになり次々に到着されるお客様の応対をしながらお行儀の悪い“立ち食い”。。。
 
 哲也・孝太・慎ちゃんはもちろんの事、朝日小屋全体が「全力疾走」の毎日です。。。
 実は、18日(1件)、20日(2件)、そして今日と、連続して『蓮華温泉方面の木道での事故』が発生しています。そして、連日遅くご到着のお客様。。。20日は午後10時半、昨日も今日も一番最後のお客様は夜の7時を過ぎていました。それから夕食を温め直して、お弁当の追加を作って…。もう眠り始めていらっしゃるお客様もいらっしゃる時間なのに、到着された方の部屋を確保するのにまたまた右往左往する私。
 「遅い出発を平気だと考えているパーティー」
 「お花があまりにきれいで写真を撮り過ぎて、の言い訳」
 「元々の無理な計画(特にコース選びと、所要時間に対する甘さ)」
 「自分の体力・脚力などに対する過信…10年前はもっと早く着いたはずなのに、のひと言」
 「馴れ合い所帯・下界でのお友達感覚での判断の甘さ」
 「的確な指示と判断が出来るリーダーの不在」
 。。。いろいろ理由はあるでしょうが、小屋の受付に座っていると、それぞれのパーティーの方々から様々な姿が手に取るように見えてきます。
 
 いろいろ続いて、少々“ボヤキ”に聞こえるかもしれませんが(苦笑…)、山小屋管理人からの実態報告と警告と思って参考にしていただければと思います。