雪に埋もれた剱沢小屋で
2004-05-07

剱沢小屋は、未だたっぷりの雪の中 04.4.30
4月末の剱沢小屋は、雪の中から掘り出されたばかりでした。
私たちがお邪魔した日も、そして連休中もずっと、友邦さんはじめ皆さんで小屋の周りを除雪し、雪を解かして水を作り、お湯を沸かす作業が続きました。
昨秋に初めて訪ねた剱沢小屋。今回、私の中には再訪の目的がありました。
朝日小屋の小屋開けは6月中旬です。
お陰様で、朝日小屋が小屋開けする頃には小屋の周りにはそれ程の雪は無く、「小屋を掘り出す」「雪を解かして水を作る」といった作業はありません。また建っている場所的に、たとえ小屋閉めの時でも、豪雪地帯にありながら沢山の「斜交い」をして雪の害から小屋の倒壊を防ぐといったこともしないで済んでいます。
以前に徳本峠小屋でも経験しましたが、私は小屋開け直後の剱沢小屋で、そんな「雪の中の山小屋の苦労」を体験し実感したいと思いました。「自然の厳しさ」をもっと知りたいと思いました。
雪崩で崩壊してしまった苦い経験のある剱沢小屋では、小屋を開けてお客様をお泊めするようになっている中でも、まだいくつかの「斜交い」が残っていました。しばらくの間、除雪の様子を見ながら徐々に外していくそうです。また厨房の窓も、雪の壁に閉じ込められて厳重な雨戸が閉められたままでした。
男たちは、ブルト−ザーで、そしてチェーンソーやスコップを使いながら、朝早くから夕方遅くまで小屋周りの除雪に明け暮れていました。
そして女たちは、小屋の中に雪を持ち込み、それを解かし、厨房やトイレなどに必要な水を次から次へと段取り良く作っていきます。
小屋を閉めてから数ヶ月、厳しい自然の中にひっそりと埋もれた山小屋の姿を思いながら、いつもは何気なく使っている「水」の有り難さと自然の恵みに思いを馳せ、夏の山々と樹々の緑が瞼に浮かんだ剱沢の春でした。
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