北アルプス 朝日小屋

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山本季生君とさとみさんからの、メッセージ

2010-10-17

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雨の中、「栂海新道」登山道整備工事の際の、山本季生君  07.10.1

 カトマンズのすずちゃんから、メールが届きました。

 皆さんに向けて、山本さとみの気持ちを書きたいという彼女の声がありましたので、ここにメール全文を掲載いたします。

 以下、すずちゃんからのメール

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Subject: カトマンズより

 ご支援くださった皆様へ

 現地家族会の山本です。
 今日は、山本季生の妻・さとみとして、今の思いを聞いていただけたらと思います。

 今回の捜索では、本当に多大なるご支援をいただきまして、ありがとうございました。本当に力になりました。
 そして、正直なところ、季生は好きに勝手に山に行き、皆様にご心配をおかけし、助けていただくなんて、身にあまる思いで、恥ずかしくも思いました。

 事故の一報のあとは、もう生きて帰ってくることはないだろうと思いましたが、生前、季生より「山で死んでしまったら、荼毘にふしてほしい」と言われていましたので、遺体はみつけてあげたいと、心の中で思っていました。私と家族の力だけでは、こんな大掛かりな捜索は、まずできませんでした。

 今回は現場の状況が厳しすぎて、季生の最後は見つけられませんでしたが、この捜索隊は、日本の山岳界をリードしていく強い男達の、そして彼らを信頼してついていってくれたシェルパ達の、見事なまでの連携プレー、知恵と力の集結でした。圧巻でした。感動しました。
 私の気持ちのうえでも、皆様からの支援に対しましても、やり残したことは何もありません。

 ベースキャンプから戻った季生の荷物をほどいていて、驚きました。
 8000m峰に向かう男の荷物とは思えないほど、いつもと変わらないものばかりでした。
 彼は本当にいつもつつましく、自分のことにはお金をかけず、自分の持っているだけのものを持って、山に向かって続いている彼の道を歩んで行っただけなんだなと思いました。
 こんな生き方もあるんですね。

 私も、また今ここから、彼の残していってくれたものの中に、いろんなことを乗り越えていくヒントをさがしつつ、彼の生きた証と共に、いっそう力強く、大切に、感謝しながら生きていきたいです。

 長くなりましたが、本当に本当にありがとうございました。

 カトマンズからの報告はこれで最後とさせていただきます。

 皆様に、一瞬でも長く、幸せを感じていられるときがありますように。
 そしてそれを、大切な人と共有できますように。

 合掌   山本さとみ

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 以上、山本季生君の妻・さとみさんからのメールです。

 皆様には、いろいろご支援頂き、本当に有難うございました。
 「山本季生君を救援する会」からも、深く深くお礼申し上げます。

 私たち世話人一同は、10月末までのカンパ活動を続けながら、ネパールから帰国する山本季生君のご両親やさとみさんたちご家族を待ち、今後の対応を決めたいと考えております。

 諸々のご報告が、もう少し後になるかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 本当に、有難うございました。

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「栂海新道」で、彼が携わった登山道整備と、一緒に頑張った仲間たち  07.10.1