安曇野にて
2001-04-05
3日、長野県大町市へ出掛けました。写真家の増村征夫さんにお会いする為に。4月だというのに安曇野の春はまだ遠く、しきりに雪が舞っていました。
…次から次へとおしゃべりしてしまいました。そういえば朝日小屋で、そして何かの折に増村さんにお会いすることはあっても、いつも私はドタバタしていて、もしかしたらゆっくりお話したのは初めてかもしれません。
亡くなった父・下澤三郎のこと、朝日岳と朝日小屋のこと、安曇野とその自然へ寄せる想い、もちろん写真のお話‥‥。
お昼ご飯をご一緒したお洒落でちいさなレストランからは、残念ながら北アルプス後立山の主峰は見えませんでした。
それでも安曇野の景色は、なんだかすーっと私の中に飛び込んできました。
いつも2000m級の山々を身近に感じているはずなのに、もしかしたら「安曇野」は何か特別なのかもしれません。
以前から、ぜひ一度訪ねたいと思っていた松川村の「いわさきちひろ美術館」も案内していただきました。最近少しゆとりを無くしているかな…と感じていた私には、ちひろの絵とゆっくりした時がとても大切に思えました。
増村さんは、山に関する写真も数多く撮っていらっしゃいますが、ご本人は「山は自然の一部であって、僕は'山岳写真家'ではなく、'自然に魅せられた写真家'なんです」と。だから晴れた日はもちろん、どんよりと雲が垂れ込めた日でも風の中にも、心ときめく自然を大いに感じると話してくださいました。
それから、写真集などを見ていただくとおわかりかと思いますが、増村さんの写真に添えられている文章は本当にステキですし、ご本人もそのさり気ない言葉のひとつひとつをとても大切にされています。写真ではどうしても表現が足りないと思われる部分も、そこに添えられた文章で感じて欲しいとおっしゃっていました。
いろいろな写真を目にする時、「実際に映し出される自然の姿だけでなく、そのもっと奥深くにあるものを感じて欲しい」とは、増村さんの言葉です。青い空だけでなく、可憐な花達だけでなく、もっと奥にあるもの…。
新米管理人・清水ゆかりは、'自然の奥深さを感じられる'ようなそんな「心」を持ちたい…、そう思いました。そして、できれば私なりの方法でそれを誰かに伝えられたらいいと思います。
最後に。
増村さんが数年前に朝日小屋で父・下澤三郎を撮られた写真。…ビックリしました。思わず、声が出ませんでした。生意気な表現になるかもしれませんが、「写真」というのはこういうものか、と思いました。
そして「安曇野」、私も好きになりました。
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