「栂海新道」
2002-05-24
黒岩山直下、「栂海新道」と「中俣新道」の分岐点に建つ標識 01.10.21
「岳人」6月号に「尾根、沢から花物語の旅」という特集記事が載っています。その中で平石武仁氏が『北アルプス・栂海新道 花きらめく池溏から波きらめく日本海を目指して』と題して文と写真を載せておられます。
平石さんには、昨秋私が主治医のY先生と一緒に中俣新道から黒岩平までを案内していただきましたし、3月には白鳥山へも連れて行っていただきました。糸魚川のいりやま岳友会に所属し、またさわがに山岳会会友として活躍しておられる岳人で、栂海新道の登山道整備にも携わっていらっしゃいます。
栂海新道についての詳しい紹介はぜひ平石さんの文章を読んでいただきたいのですが、やはりこのルートが愛され続ける魅力は、何といっても「3,000mのアルプスの頂から海抜0mの日本海へ」抜けるコースであるという事と、何よりも照葉の池やアヤメ平、そして黒岩平へと続く高山植物の咲き乱れるまさに「雲上の楽園」であるという点だと思います。
4月末のGW中に私も犬ヶ岳〜黒岩平を歩きましたので、あとは坂田峠〜日本海までを繋げれば「栂海新道」を貫通させる事が出来ます。
今年の予約状況をみていると、栂海新道を歩くコースを選んでいらっしゃるお客様が結構増えているように感じます。
前からも書いていますが、20年前は大学や社会人山岳部の夏山合宿で栂海新道を歩くという方が多かったのですが、最近はガイド付きのツアーもありますし、また大きな荷物を担いだテント泊ではなく朝日小屋までは2食プラスお弁当付きの小屋泊まり、真夏なら栂海山荘で毛布を借りるのでシュラフも持たずにというケースもみられます。多くの登山者の皆さんが、そんな魅力溢れるコースを楽しんでいらっしゃるのは、それに繋がる山小屋の管理人としても嬉しい事に違いありません。
しかし、一度栂海新道を歩いた方、あるいはこれから歩いてみようと思う登山者の皆さんには、多くの人たちのボランティアと「さわがに山岳会」の小野 健さんの私財を注ぎ込んだ永年に亘る努力のお陰で、あの歩き難い細尾根やアップダウンの激しい登山道がキチンと整備されているのだという事をぜひ知っておいてもらいたいと思います。
栂海新道は昨年、開拓から30周年を迎えました。その開拓の歴史には多くの困難やいろいろなご苦労もあっただろうと、関係者の皆様にはただ頭が下がる思いです。
平石さんも「岳人」の文章の中で書いていらっしゃいますが、栂海新道を歩かれる方々には、ぜひこの道を長く大切にしていただきたいと強く願います。
いつまでも『雲上の楽園』をそのままに…私からもお願いします。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2002/05/d20020524a.html