私の仕事は…『朝日小屋を、開けること』
2007-05-22
6月に入れば、どの山域でも本格的夏山シーズンがやって来る。
そしてこの時期、登山者の皆さんは今シーズンの山行計画に思いを馳せ、またそれぞれの山小屋のオーナーや従業員の皆さんは、各々必要かつ多忙な雑務に追われているはずだ。
オフシーズンは、半ば“冬眠”のような生活を余儀なくされている私たちも、小屋開け直前1ヶ月ともなれば、毎日何をしていても、ただただ慌ただしい。
しかし、今シーズンの始まりは、例年とは違った様相で推移している。(朝日小屋に関して言えば)
小屋開けの日が、未だはっきり決まらない。
4月上旬に起こった、水晶岳でのヘリコプター墜落事故の影響だ。
この日記では、これまでなかなかそのことについて触れられなかったし、書けなかった。
実は朝日小屋も、小屋の物資輸送はAヘリコプター社で行なって来た。亡父の時代から。
こんなことを書いていくと、またぞろ皆さんにご心配をお掛けすることになることも懸念したが、さすがに今日辺りは、少々精神的に“キツく”になりかけてきて、「これではいけない…」と気合を入れ直している。
当初予定(小屋開けは、6月10日に予定していた)が変更になることは、かなりの確率であると思っている。後ろにズレルのではないかと考えている。
例年、天候不順等での順延は覚悟の上で仕事(小屋開け)の予定を組んでいるので、少々の余裕は持たせてある。
しかし、この時期になって未だはっきりした日が設定されないことによる、諸々の弊害や大幅な予定変更、加えて例年以上の関連作業が出てきそうだ。
焦ってもしようがないし、決して小屋が開かないわけではない。
だけど、気持ちが萎えてしまいそうになるのを、今はかなり我慢している。4月9日の事故以来、ずっと隠してきたはずの私の偽らざる心境でもある。
私の仕事は、『朝日小屋を、開けること』。
どうあっても、小屋を開けて、準備を整え、夏山シーズンに備えなくてはいけない。
きっと過ぎてしまえば、夏山が始まってしまえば、終わってしまえば、何という事のない話になるはず。
ガンバレ、ガンバレ!!!
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2007/05/d20070522a.html