「幻の大桂」を見に・・・
2001-10-17
亡き父が、大きな大きな樹の前で両手を広げている写真があります。その樹が「幻の大桂」…私も同じ樹の前で、父と同じポーズを取ってみました。
14日、大蓮華山保勝会の行事として「幻の大桂」の探勝会が行われ、新米管理人も参加して来ました。
富山県内最大級といわれる桂の巨木は、黒部川支流の黒薙川上流部にあります。北又小屋から水量も多い黒薙川を何度も徒渉し、歩くこと約3時間。それも道無き道を、ルートを判った保勝会のメンバーに案内され最短距離を通っての事で、ひとつ沢や尾根を間違えれば一晩帰れないという奥深い場所にありました。
…「幻の大桂」は、幹廻りが約14.1M、樹高は約35Mあり、樹齢は500年から800年と推定されているそうです。江戸時代には、黒部一帯を領地にしていた加賀藩が「奥山廻り」により、盗伐や密猟者を監視していたとされていますが、その様子を記した文久3年(1863年)の「下奥山日記」には、「杉谷大桂の木の下で昼食をとり」というくだりがあり、当時からこの巨木が見回りルートの重要な目印だったらしい事が伺えます。(以上、H6.12.5付け・朝日新聞よりの抜粋を含む)
他の方々と一緒に私の父がその巨木を見つけたのは、かなり以前だったようです。父は、山菜採りやきのこ採りに長けており、結構他の人が行かない(行けない)場所へもよく足を運び、春にはゼンマイや秋にはなめこを採って山を歩くのが大好きでした。そんな父がこの樹を見つけた時の気持ちはどんなだったのでしょうか。
「ゆかり、お前、オヤジと親子2代でこの大桂を見たなあ…」とは、小さい頃から私を知っている保勝会のメンバーの方の言葉。
なかなか人の踏み込めない奥山で、何百年も静かに息づいて来た「幻の大桂」。朝日岳周辺の自然の豊かさと奥深さに、またも魅せられた新米管理人でした。
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