北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

次の記事

 太陽のように・・・

2001-11-22

 深まる秋と冬の気配を感じながら、木立ちの中を歩く 負釣山にて

 山から下りて来てから1ヶ月と10日、いろいろ出歩いている私を周りはどうも呆れている様子。連絡してもいないとか、ゆっくりお茶でも飲みにいらっしゃいとか、皆さんに言われます。

 そんな中、昨日は2人の友人と話す機会がありました。1人は私よりずっと年齢が上で、いつも山にいらっしゃる方、もう1人は同世代で今年私に会う為に経験したことのない山登りに挑戦してくれた人。お昼ごはんを頂きながらいろいろな話に花が咲きましたが、女性同士ということもあって、家庭の事や私の子ども達の話題が中心でした。

 私の周りでは、沢山の方がシーズンが始まる前からもシーズン中も、そしてシーズンが終ってからも、「新米管理人」を心配して下さいます。山小屋の生活や仕事のこと、お金のこと、人間関係のこと、手術をした私の身体のこと、夫のこと、子どものこと、家庭全体のこと、シーズンオフの過ごし方や仕事のこと…、ありとあらゆる事について。本当にそんなに思って頂く事が出来て幸せだと思います。

 昨日もそんな話が出ました。…小屋閉めして下山して来てから、家でおとなしくしているのかと思ったらちょっと山へ行き過ぎではないの、子ども達や家の中は大丈夫??そして、「あまりに山へ行っているので、呆れてしまって、途中から日記を見るの止めたのよ」…。

 正直言って、またか…と思いました。少し悲しい気持ちになりました。半分は冗談としても、ちょっと傷つきました(笑)

 山小屋でも、そして下界に下りて来ても、もちろんいろいろあります。

 でも、私がこの日記の中で書こうとしているのは、山や山小屋でのこと、管理人として感じたことや考えていること。そして読んで下さる皆さんに楽しい想いや雰囲気が少しでも伝われば…、そんな気持ちで綴っているのですから。だから家庭や私生活の中味を事細かく書こうとも思わないし、私が私生活でどんな悩みや心配があるのかそれを分かってもらう為の日記ではないのですから、他人に言うことでもありません。

 山へ行き過ぎという忠告の中味は、「帰って来たら家庭の事を中心に考えたら」という意味を多分に含んでいると思いますし、その言葉には素直に耳を傾けたいと思います。もしかしたら、「母」である自分を少しおろそかにしていたかもしれませんね。

 でも…という反論したい気持ちもあります。私がどんな気持ちでこの1ヶ月と10日の間山を歩いたか、ずっと読んで下さっている皆さんには少し分かって頂けるかな!?

 雪が降ればもう山へは行く事が出来ませんし、来シーズン前になれば忙しくて、とても自分の考えている山や山小屋へは行っている暇もないかもしれません。朝日小屋の管理人として最低限歩いてみなければいけないコースを選んで行ったつもりです。いつかチャンスがあれば登れば良いよ…というのは一般の登山者の皆さんの場合であって、山小屋の管理人が自分の山に続くルートさえ歩いた事がないというのはどうかと思います。だから、どうしても雪が降る前に歩いておくべきだと思ったのです。

 ナンだか今日の日記は、今までにないような内容になってしまいましたネ(笑)

 「お母さんは太陽のように」…私は家庭の中ではいつも太陽のようでありたいとずっと思っていました。最近は思春期の娘たちを前に心配事の方が多くて、その太陽も曇ったり雨降りだったり、時にはカミナリの落ちる日もありますが、いつもキラキラ輝く夏の太陽のようであり続けたい、そしてぽかぽか暖かい冬の陽射しのようでありたいと、気持ちを新たにしているところです。

 昨日の写真・・・

2001-11-22

 こちらは「小川温泉元湯・天然洞窟岩風呂」− 男女混浴です

 昨日の衝撃的な(笑)露天風呂の写真に賛否両論。皆さんを驚かせてしまったようで、本当にごめんなさい!!

 …私としては、朝日町に生まれ育ちながら、一度も入った事のない小川温泉の露天風呂に初めて入って感激しその様子が伝わればと、独身の朋子さんの「大丈夫よ!」の快諾も得られたのでOKと思ったのですが、ちょっと悪ふざけが過ぎたかな??

 「仙人池のかあちゃん」

2001-11-23

 こちらは「朝日小屋のお○さん」  三国境にて    01.9.18 

       奥に見えるのは、鉢ヶ岳と雪倉岳    photo by morisita

 …○の中に、「ば」が入るか「母」が入るか「姉」が入るかは、皆さんにお任せ(笑)

 昨晩、NHKの全国放送「にんげんドキュメント」という番組で、「仙人池のかあちゃん・北アルプスの山小屋」という番組を私も見ました。(豊田ママが掲示板に書込みしておられましたが) うっかり見逃すところでしたが、三女が出先から「お母さん、NHK見てる?」と連絡を入れてくれました。

 話には聞いていましたが、ご本人の志鷹静代さんには一度もお会いした事がなく、私の想像していたちょっとゴツイ感じのお母さんには程遠い、とても細身の華奢な方でビックリしました。

 何しろ、着ていらっしゃるお洒落な服やバンダナを巻いたその格好の、ナント素敵なこと!!…私なんて、後ろから見ると中学生と言われる位いつも青っぽいトレーナーばかり着ているから、来年からは仙人池のお母さんに見習って、もうちょっと明るい感じにしてみようかなぁ。。。(笑)。

 とても70歳とは思えない若さ、清々しさ、可愛らしさ、明るさ、元気さ、そして穏やかさ、優しさ、それから時折伺える厳しさ…う〜ん!! 50年も山小屋で暮らしてきた人の、懐の深さや温かさも充分に感じさせてくれる番組でした。

 私も、…そう、私も頑張らなくっちゃ!!

 番組を見ていたら、またまた早く来シーズンが始まらないかなぁと思ってしまいました(笑)

 立山行きは、中止

2001-11-23

  ダイモンジソウ  01.9.10

 11月中に立山室堂山荘へ行って来るつもりで、23日からの3連休を予定していましたが、25日(日)に「第5回富山県保勝会会議」が黒部市で開催され、そのパネルディスカッションにパネラーとして出席するように、大蓮華山保勝会からお話がありましたので、今回の立山行きは断念しました。残念ですが、山は逃げていきませんので、また来年。

 立山室堂山荘を含めて、立山周辺の山小屋は25日で殆ど営業を終了しますが、この連休には初滑りを楽しむスキーヤーやボーダーでどこの山小屋も満員のようです。

 第5回 富山県保勝会会議

2001-11-26

 第5回大会は、黒部市東布施生活改善センターにて開催

        (デジカメを持っていくのを忘れ、

             会議の様子が撮れませんでした)

 25日(日)は、第5回富山県保勝会会議・黒部大会が開催され、新米管理人も出席しました。

 この会議は、『富山湾をめぐる山・川・海を守る団体が、それぞれの活動紹介や意見交換を通じて交流を深め、今後の自然保護思想の高揚と各会の発展に資する』という趣旨で、「富山県保勝会連絡協議会」が主催し2年に一度開催されるものです。

 参加しているのは、大蓮華山保勝会・僧ヶ岳保勝会・五箇山保勝会・三千坊保勝会・鴨川にもサケを呼ぶ会・魚津漁業協同組合・東布施食生活改善推進委員の、県内各団体です。

 今回は、基調講演で「自然の循環と共生」という演題で元富山大学教育学部教授の長井真隆先生が講演され、その後「自然にやさしい登山道について」のテーマで各会代表によるパネルディスカッションが行われました。

 参加している会は、対象となる山や海、会の規模、活動内容等も大きく異なりますが、『今、山、川、海の自然を考える』という点で一致し、それぞれの情報を持ち寄り自分達ができる事を考えようとしています。

 長井先生の講演、そしてパネルディスカッションを通して、いろいろな課題が見えてきたように思います。

 例えば私達営業している山小屋では、登山道の整備や草刈りは大切な仕事となっていますが、登山者のニーズにどこまでも応えていくという姿勢をとろうとすれば、昨今の「中高年登山ブーム」で増え続ける中高年登山者向けに、<道幅が広くて、絶対つまずく事のないような、草刈りの行き届いた登山道>作りをしなければいけないでしょう。

 しかし、元来登山とはそれぞれの力量に応じた各人の責任の元において行われると考え、<山は厳しいものである>という認識であるならば、当然登山道は自然との共生を考えた『自然にやさしい』作り方をするべきでしょう。

 そんな議論を交わしながら、最後に長井先生は、「かけがえのない自然」をどう保護しまたどのように利用していくか、「自然と人間」の折り合いをどうつけていくのか…どれも性急に結論が出る命題ではないが時間をかけて議論していかなければいけない、現状維持をいかに図っていくかを話し合う事が大切だと話しておられました。

 会議の中で、今年開通した「(越中)駒ヶ岳」の登山道の話題も出ました。2002年の来年に向けて、標高2002Mの駒ヶ岳に登山道をという事で整備されたのですが、「ここまでしなくてはいけないかと思うほど、とても立派な登山道が出来ていた」という報告もあり、僧ヶ岳登山者が年間3,000人という数字とあわせて、僧ヶ岳の仏ヶ平の貴重な高山植物や自然がこれ以上荒らされる事が懸念されるという事でした。

 タカネトウウチソウ  

2001-11-26

9月中旬、小屋のすぐ近くで。

 すっと伸びた白い花の群生が、初秋の山の中で何とも言えず見事でした。