10月27日・白鳥小屋〜下駒ヶ岳〜菊石山〜黄蓮山〜栂海山荘
2001-11-05
(今回は自動シャッターに活躍してもらいました)
白鳥小屋から居ながらにして見える御来光。久し振りに出逢うその素晴らしさに感動した後は、朝食も慌ただしく今日の目的地・栂海山荘へと出発です。
アップダウンの激しい稜線を歩く覚悟をしつつも、かなり不安…。今でこそ、それこそ沢山の皆さんが栂海新道を歩くようになられたとはいえ、20年前には大学や社会人山岳部の「猛者」のような人しか行けない道だったというイメージが私の中にはまだ残っています。大丈夫かしら。
歩くしかない…(笑)。
白鳥小屋を出てすぐ、急な下り。前日からもひとみさんに「ゆかりさん、下りになるとまるで別人みたいに足が早くなるのね(笑)」と言われていた私、得意の下りとあって軽快な足取り。しかし内心では、「帰りには、最後にまたこの道を登らなくちゃいけないんだ…」とちょっと憂鬱に。
せっかく下ったと思ったのにまた登る、そしてやっとの思いで登ったと思ったのに、また下る…。ひとみさんは「登ったり下ったり、変化があって面白いのよ(笑)」なんておっしゃるけれど、そうかなぁ…。登りはもちろん、その下りだって半端じゃないんですから。
白鳥小屋を出発してから、(載ってない地図もありますが)下駒ヶ岳、菊石山、黄蓮山、といくつものピークを越えなければいけません。確実にロープに掴まりながらの上り下りもあります。
前にも書きましたが、登ったその山が大変な山だったかどうか、私の中の判断の基準の全てはやっぱり「北又からの恵振山の急坂」と比べてどうだったかです。斜度ももちろんですが、一歩の階段の高低差、足の置き場がどうなっているか、急登が長時間続くかどうかetc…、その意味では「笠新道」も「中俣新道」もそれ程ではないかなぁ、というのが正直な気持ちでした。
それでは、「栂海新道」は…。未だ「朝日岳〜吹き上げのコル〜日本海」を貫通させていない私としてはナントも言えないのですが…。皆さん、よくこの道を歩き通して頑張るなぁ。来シーズンからは栂海新道を歩かれるお客様には、もっと敬意を表してエールを送らなくっちゃ!!(笑)…というのが正直な感想です。
白鳥小屋を出発してから約5時間。コースタイムの3時間半にはかなり遅れましたが、相変わらずデジカメを撮り、菊石山では小野さんからアンモナイトや化石の説明を聞いたり、ブナ林を楽しみながらのゆっくりした足取りで、無事に栂海山荘到着です。
初めて入る栂海山荘は、本当に立派な小屋でした。小野さん初め、栂海新道と栂海山荘を維持管理してくださっている方々に大いに感謝し、これからも登山者の皆さんにはくれぐれも大切に使っていただきたいと思いました。
お天気がとても良かったので、小屋の毛布や布団を全部干し、後発隊の到着を待って小屋の中を少し整理した後は、全員で犬ヶ岳の山頂へ。
この栂海新道の長い道のりには、その苦しさを越えてなお、岳人たちに夢とロマンを与えてくれる「何か」がありそうです。そしてその「何か」が、犬ヶ岳の山頂に立った私にも少しわかったような気がしました。
犬ヶ岳の山頂からは、サワガニ山、黒岩山、黒岩平、長栂山と続く稜線がはっきり辿ることが出来、そしてその奥には朝日岳を望むことが出来ます。「あそこまで行くと北アルプスと繋がるんだ!!」…この頂で、小野 健さんはさわがに山岳会の皆さんに壮大なロマンを語ったと話して下さいました。
そして振り返れば、今来た険しい道のその向こうに、ぽつんと、でも堂々と白鳥小屋が建っているのが見え、その背後にはもちろん日本海が広がります。
犬ヶ岳の山頂からは、朝日小屋も白鳥小屋もはっきり見える。アルプスと日本海を繋ぐ道のりがずっと見える…この光景は私にとっては何ともいえず胸に迫るものがありました。
もちろん夜は大宴会!! 大鍋には後発隊の採って来たなめこで、何とも美味しそうな「なめこ汁」が出来上がりました。深山の秋を沢山頂き、夜は更けていきました。
28日は白鳥小屋で待つ「日帰り部隊」の皆さんと合流し、坂田峠まで下山です。
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