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朝日岳周辺の登山道の状況について(現時点)
2003-07-14
水平道を点検し、整備作業をする 03.7.13
手前・朝日岳方面遭対協の藤岡救助隊員 奥・朝日小屋の哲也
11日(金)〜14日(月)にかけて行なわれた「夏山事前パトロール」の情報を元にした、現時点での朝日岳周辺の登山道の状況についてご報告します。
1.概ね、どのルートに於いても、全体的に残雪は例年より多目である。
2.白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳〜蓮華温泉のルートでは、数箇所で、雪の量と共に、雪の残る範囲が広範に及ぶ。
3.雪が“ベッタリ”と付いている箇所がある。特に鉢ヶ岳の巻き道や、朝日岳山頂から蓮華温泉側・吹き上げのコル〜八兵衛平など
4.また、同行した山ちゃんが写してきたデジカメ写真を見ると、昨年の同時期・同ルートで哲也や私が確認した雪の量に比べても、かなり雪は多目ではないか。
しかし県警山岳警備隊と朝日岳方面遭対協の皆さんが、各ルートで、ベンガラやペンキによるマーキングを行なったり、雪渓上で歩き易いように雪をカッティングしたり、また倒木の伐採や登山道補修をしながら、登山道の確保に努めてくださいました。
この後19日からの3連休前に、小屋でも再度登山道の状況を点検しますし、19日からは夏山パトロールが始まり、上山した隊員による確認作業も予定していますので、登山者の皆さんも情報収集を行なった上で、万全の計画・装備・体調で朝日岳周辺のコースを歩かれるようお願い致します。
ただし、この情報はあくまでも「現時点」でのものです。この後の天候次第で、各ルートの状況は大きく変化しますので、詳細は朝日小屋までお問い合わせください。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030714a.html
登山道の様子…鉢ヶ岳付近
2003-07-14
鉢ヶ岳の巻き道で 03.7.12
トラバースする箇所にはベンガラでしっかりマーキング
歩いていらっしゃるのは、当日のお客様
昨年の写真と比べても、鉢ヶ岳の巻き道についてはかなり広範囲で雪渓が残っています。
ただし、今回の事前パトロールでは、間違って蓮華温泉側に向かって斜面を下降気味に下りて行かないように、ベンガラでのマーキングをずっと行ないましたので、雪渓上に赤く続くベンガラの跡をたどって頂ければ、間違いはないと思います。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030714b.html
登山道の様子…水平道
2003-07-14
水平道の、雪倉岳側入口付近 「通行禁止」のプレートが下がっている
水平道については、現時点で『通行止め』としています。
例年もこの時期は同じような状況にあるのですが、朝日岳の横腹を巻くようにして歩く水平道の谷や沢筋には、まだまだ雪が残っています。
そして、その雪が水平道をふさいでいたり、崩落の危険がある状態で残っていたりするので、安全が確認できるまで通行は禁止され、現時点では白馬岳方面からのお客様には山頂周りの道を通っていただいています。
数箇所ある危険な箇所については、今回の作業で雪を落としたりもしたのですが、水平道についても昨年より雪が多いので、今の時点で作業をしてもこの後の天候によって雪が融け、また状況が変わって来ますので、最終的には19日に通行出来るようにしたいと考えています。
通行が可能かどうかの判断は、警備隊と救助隊、そして朝日小屋で行います。
連休中に水平道を通行される予定のお客様は、直前に朝日小屋へお問い合わせください。
もし、分岐点に「通行禁止」のプレートが下がっている場合は、必ず山頂周りを利用されるようお願い致します。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030714c.html
登山道の様子…蓮華温泉方面
2003-07-14
朝日岳周辺の事なら、任せてください!!
県警山岳警備隊の古崎分隊長と谷口隊員
そして、朝日岳方面遭対協の救助隊メンバー
朝日小屋からは、孝太・山ちゃん・哲也
6月15日に小屋開けしてから、約ひと月。その間、朝日小屋にいらっしゃったお客様は昨シーズンの同じ時期に比べるとかなり少ない状況です。
それは、梅雨がなかなか明けずに曇りやガスそして雨や風の日が多いといった、天候が不安定な状態がずっと続いている事と無関係ではないように思います。
下界では「冷夏」の様子もあるようですが、山の上でも日照が少なく気温が低く、その為か、当初予想していたより雪融けの速度がなかなか進まないように思います。
さて、蓮華温泉方面の残雪及び登山道の状況ですが、先程も書いたように、朝日岳山頂から蓮華温泉側にかけては未だかなりの雪が残っています。
特に、朝日岳山頂直下の雪渓は未だ例年以上の雪の量です。
そして、千代の吹き上げ(吹き上げのコル)から蓮華温泉方面にかけて八兵衛平までは、かなり急な斜度で雪が付いています。
実は先日来、数組のお客様が蓮華温泉からのルートを登って来ていらっしゃいますが、どのパーティも同じような箇所でかなり苦労しているようです。各パーティとも、蓮華温泉から10〜11時間の行動時間を要しており、雪渓のトラバースに時間が掛かっているということを聞いています。
昨日は、救助隊の大和隊員が蓮華温泉方面のルート確認に出掛けましたが、その報告からも雪渓のトラバースについては、上り下りともくれぐれも注意が必要だということです。
それぞれの登山者の皆さんの技量次第とは思いますが、(現時点で)ここ数日のこの方面の行動に関しては、ピッケル(なければストック等)やアイゼンといった装備の携行を考えてみたら良いでしょう。
夏山シーズンとはいえ、この時期の北陸地方・日本海側の高山の残雪については、くれぐれも慎重な計画と行動で臨まれる事をお願いします。
なお、蓮華温泉方面の登山道に関しても、明日以降連休前に、様子を見ながら小屋からも確認に出る事にしております。
また、各パーティー・登山者の皆さんにおかれては、どんな状況にも対処できるように『早立ち、早着き』といった登山の原則を厳守していただくよう、山小屋からもお願いいたします。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030714d.html
雲上から
2003-07-14
今日の雲海 photo by hiro
今日の夕方は、ホントに久し振りに何処までもずっと続く雲海が広がり、「ココは、雲上なんだなぁ…」という思いでした。
下界から見ると、山は厚い雲に覆われ、「ゆかりの居る山の上も、きっとお天気が悪いんだろう」と皆さん思っていらっしゃるようですが、案外上はすっぽり抜けている時もあるんですョ。
早く梅雨が明けて、まぶしい太陽が待遠しい今日この頃です。
朝日岳周辺の最新情報が、『朝日岳方面遭対協』のホームページにもUPされました。
リンク集から、どうぞ!
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030714e.html
梅雨の晴れ間に
2003-07-15
雲海の上に 遠く剱岳、そして手前は清水岳の尾根 photo by mari
昨夜のお泊りは、女性お一人様のみ。かなり山慣れていらっしゃる方にお見受けしましたが、蓮華温泉から「思ったより、時間が掛かりました」と登っておいでになりました。
そして今朝は、私が“朝当番”でお客様のお食事を用意するために4時起きを。
「早起きは三文の得」とは、よく言ったものです。
昨日の夕方は何処までも続く雲海が広がり、夜半には満月の月明かりが白馬連山の山並みを煌煌と照らしていました。
そして今朝は、綿帽子のような雲海がうっすらピンク色に。
当番ではなかった真理ちゃんが早々と起き出して来ました。「当番じゃないから、仕事はイイよ。外の散歩にでも行って来たら?」…今日の写真は、デジカメを持って行った彼女が撮って来てくれた朝の写真です。
寒いくらいの気温でしたが、朝のひんやりとした空気がいつも以上に気持ちの良い朝でした。早く梅雨が明けて欲しいと、願うばかりです。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030715a.html
アルバイト紹介…ひろクンと真理ちゃん
2003-07-15
“お茶タイム”に、小屋の前のベンチで
左側が、ひろクンです。孝太とは、学校の同級生で友達だということで、去年の8月に2泊3日で遊びに来てくれました。その時に、「来年、気が向いたらアルバイトに来る?」と誘っていたのですが、この春先に連絡があって、7月1日に入山して来てくれました。
九州熊本生まれ、私の長女と一緒の歳なので、私にしたら息子みたいですね。
なかなか憎めない可愛いところがあって、人気者です。
右側は、真理ちゃん。神奈川県出身の20代。大学時代にはワンゲル部に所属していたということで、「自然が大好きで、自然の中でお客様と関っていくことがしたい」と応募して来てくれました。6月28日の山開きに入山して以来、男性軍の中の紅一点(明日まで)で頑張ってくれています。
とてもチャーミングなお嬢さんです。ひろクンは「真理姉(まりねえ)」と呼んでいて、まるでホントの姉弟みたいョ。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030715b.html
まさこさんへ…
2003-07-16
ハクサンフウロ photo by yama
まさこさん、先日は朝日小屋にご宿泊頂き、本当に有り難うございました。
多分間違っていなければ、あの暴風雨の最中に白馬岳からのコースを辿られたお二人連れだったのではないでしょうか。
そして、昨日は掲示板にも書き込みをして戴きました。正直言って、前日の深夜に書き込みの文章を拝見した私はかなり落ち込み、今日は午前中ずっとそのことばかりを考えていました。
そして、私の応対の仕方の拙さが、まさこさんを不愉快にし、せっかく楽しいはずの山行を台無しにしてしまったことを深く反省しました。
私の至らなさや細かい配慮の無さで、ご迷惑をお掛けしたことについて、本当に申し訳ありませんでした。
ただ、少し言い訳じみてしまうかもしれませんが、私の不手際は深く反省しつつ、今回のことについてもう少しお話しさせて頂けませんか?
あの日は、蓮華温泉から登って来る予定のグループが1組だけご予約されており、大変な悪天候になったこともあり、「まさか、こんな日に白馬からのお客様はないだろう。ご予約も入っていないし」というのが小屋の予想でした。
蓮華温泉グループについては、朝日小屋にも何度もお泊りになっているベテランがリーダーでしたのでそう心配はしていませんでしたが、それでも夕方5時になっても到着されないので蓮華温泉に電話を入れて出発時間を確認し、そろそろ着くだろうと話していました。
当日は朝から雨も風も大変激しく止み間無しに続いていました。この時期の2,000mを越える山岳地帯での悪天候は、ベテランでもたじろいでしまう位ですから、あの日の白馬岳からの遮るもののない稜線歩き、ホワイトアウト状態の中での雪渓のトラバース、雪倉岳山頂付近での突風、そしてロングコースでの体力と気力の消耗は相当だったと察します。
私が当日の受付で、開口一番どんな言葉をまさこ達に投げかけたかは、申し訳ありませんがはっきり覚えてはいません。
しかし、確か夕方5時半近くに、予想もしていなかったお客様が到着された事で、実際には私自身ビックリすると同時に少々慌ててしまったのかもしれません。
実は、私は「時間がかかりすぎ」と言った覚えはないんですょ。夏のシーズン中でも、白馬岳〜朝日小屋のコースで、10時間以上かかっていらっしゃるお客様は珍しくはありませんから。
ただ、お顔を見てすぐ、「到着時間が遅い」というような意味の事を言ったのではないでしょうか。確か「白馬岳を何時に出発されたのですか?」と聞いて、多分(はっきり覚えていないのですが)「それは、出発時間が遅すぎる。もっと早く出なくては」というような事を喋ったのではないかと記憶しています。
でもまさこさん達にすれば、やっと辿り着いた楽しみにしていた朝日小屋で、開口一番注意をされたということが、疲れた身体と心に相当堪えられたのだと思い、私自身の物言いの拙さ、そして自分自身の未熟さ、管理人としての配慮の足りなさをつくづく思い知らされ、今回は率直に反省させられました。
でも、まさこさん。『この時期のこのコース、やはりもう少し考えて行動されたほうが良いですよ』というのが、この朝日岳周辺の山域を預かる私からの願いだったという風に受け取っては頂けないでしょうか。
当日は、「夏山事前パトロール」の直前だった為に、雪渓上のマーキングもなく登山道が不案内だったこと、シーズンに入ってからまさこさん達が『白馬岳から2パーティー目』(例年より、少ない)で踏み跡もなく、行き交う登山者も無かったこと、等など、天候以外にもこの梅雨時の山歩きの難しさを痛感させられた場面がありました。
ご予約がなかったので、事前の登山道や残雪の情報をどこまで正確に知り得ていらっしゃったかも疑問です。
ピッケルやアイゼンの必要性も、確かにホームページには載せていませんでしたが、小屋としても悪天候が続く中で登山道の確認にも出られない毎日が続いていたのも確かでしたので、情報の発信が後手後手になってしまった点もあります。
あの日のあの暴風雨の中、10時間も行動されて、体感温度も下がり疲労も極限に達するほどになる場合も考えられます。お二人とも無事に小屋に到着されたから良かったものの、もしどちらかが歩行不能の状態に陥ったとしたら、あるいは道迷いや事故が発生していたら…考えただけでもゾッとします。
もし夕方から夜にかけてのあの時間帯に、遭難や事故が発覚したとして、それ以降のことは当然この朝日小屋が対処に当たるわけですが、それも早い時間帯であるのと、夜にかけてのことであるのと、状況は全く大きく変わってくるのです。
高校生の頃から父と一緒に山小屋で生活し、登山者の皆さんの様々な出来事に現場で対応し、いろいろな場面を見て来ている山小屋管理人だからこその苦言だと思って頂くわけにはいかないでしょうか。
確かに、まだ雨具を着けたまま疲れた様子のまさこさんの顔を思い出すと、受付でいきなり「注意」「苦言」を吐いてしまった自分が、今更ながら悔やまれます。
でも私は、いつまでもブツブツと文句を言っていたわけではないと思っているのですが、如何だったでしょう。
あの日は、蓮華温泉からのお客様もずぶ濡れになって来られるはずだから、「今晩は、夕食に温かい鍋でもしよう!」とみんなと相談し、魚の入った具沢山の鍋を用意していました。当然、まさこさん達が到着されてからは、厨房に指示してすぐに2人分の鍋の用意を追加しました。
2階の廊下にもストーブを焚いたり、部屋もお二人だけに入ってもらうなど、小屋としてできるだけのことはしたつもりでした。
また翌朝は、確か蓮華温泉へ下山されるというお二人に「吹き上げのコルから下は未だかなりの雪渓が残っていて、トラバースも危険だから、もし危ないと判断したら小屋に戻って来て下さい」と送り出したと記憶しています。
今回のことを反省点として、私もまだまだ様々な勉強を重ねて、山小屋管理人として大きく成長していきたいと決意した次第です。
今更、何をどう言い訳しても取り返しはつかないのかもしれませんが、「もう10年以上行かなくていい」などとおっしゃらないで、今度はぜひ余裕を持った行動をされて、お天気の良い時期に楽しい山行をされることを切に切に願います。
朝日岳は素晴らしい山です。
そこに建つ朝日小屋は、いつも笑顔で、温かくお客様を迎える山小屋であり続けたいと、そう思っている私です。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/07/d20030716a.html