北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

2021年シーズン、朝日小屋の営業について

前の記事 次の記事

下山君遭難、経過報告など

2013-06-04

写真
雪倉岳・赤男山・朝日岳の眺め 蓮華温泉付近、ヒワ平ゲート前より  2013.5.25

 ご報告が遅くなり、申し訳ありません。 

 今回の下山 隆君の遭難にあたり、全国から大勢の皆様方より、本当に温かい励ましを頂きましたこと、ご家族の皆様共々、心より深く感謝申し上げます。

 ここに、今回の遭難について、簡単ではありますが経過報告をさせて頂きます。

 

下山 隆 52歳 横浜市在住 富山県朝日町出身 元朝日小屋アルバイト

2013.4.16

 栂池高原スキー場より、単独で入山
 家族には「遅くとも、21日には帰る」と伝える。
 登山届では、小蓮華・雪倉岳・朝日岳などを廻り、蓮華温泉へ下山予定
 当日の天候は、曇り晴れ、ただしかなり風が強かった
 雪は、「ストップ雪」

4.21

 下山予定日となったので、奥様が朝のうち蓮華温泉へ連絡するも、立ち寄った形跡なし
 ご家族が、長野県大町警察署へ、遭難届・捜索願を出す

4.23 および 25

 長野・新潟・富山の3県警よりヘリコプター出動し、空からの捜索を行なうが、手掛かりなし
 入山より日数が経っていること、またその間にかなりの降雪があったことなどから、警察による下山君の為だけの捜索は打ち切りとなる。
 この後は、通常のパトロールの中での捜索は続け、遺留品などが見つかれば捜索を再開することもあるという方針が出される。

4.27~5.5

 栂池ロープウエイ終点駅にて、手掛かりを求めてビラ撒き(ご家族・友人)

5.5

 民間ヘリにて、空からの捜索
 大町警察署・小谷村遭対協より隊員に搭乗してもらい、本人が計画していたルート上を飛んでもらうが、手掛かりなし。
 家族および関係者もヘリに搭乗し、空から様子を確認する。  

5.7~

 高校山岳部恩師や、同級生、会社の同僚、そして朝日小屋清水などが中心となり、『下山君救援のためのカンパ活動』を始める。

5.15 am11:30頃

 蓮華温泉近くの沢で、蓮華温泉ロッジの女性従業員により発見され、新潟県警へりにて収容される。
 発見された場所は、蓮華温泉から徒歩30分ほどの場所。夏道上でない、「天狗の庭」下部の沢の中。
 死因は、外傷性ショック死。骨盤を骨折していた。
 スキー靴は履いており、斜面の上部にスキー板は残されていた。

検 証

糸魚川警察署の見解

 下山君は、滑落や雪崩などの事故に遭ったのではないか、とみている。
 残された食料などから考えると、事故に遭ったのは入山当日と考えられる。

ルート変更について

 入山当日の天候は、曇り晴れ。天狗原付近では、視界も良好だったことが確認されている。
 しかし、風はかなり強かったということで白馬大池まで登った下山君は、単独でもあることから、先に進むことを変更し、日程にも余裕があったことなどから「安全策」として、一旦蓮華温泉へ滑り込むことを選択したのではないか。

 今回下山君は、結果的には登山届とは違ったルートを歩いたことになった。

滑落・雪崩について

 本人が発見されたのは、デブリの末端。
 本人が転倒して雪崩を起こしたのか、足元から崩れたのかは不明だが、ビンディングがスキーから剥がれて、スキー側でなく、靴側に付いていたことなどから、かなり強い抵抗や衝撃があったものと考えられる。
 どの地点で、どのような雪崩に遭遇したかは、全く不明。
 しかし、本人が発見された沢でいえば、4月時点では雪崩の危険性がある沢だということである。

 以上、ごく簡単ではありますが、本人入山から発見までを経過報告させて頂きました。

追記として

 ご家族の皆様や友人・知人で、関係機関への挨拶回りやお願いにも何度も出掛けました。
 カンパ活動をするにあたり、関係者での打ち合わせなども、数回行いました。

 そして発見前日の5月14日には、糸魚川市内において、蓮華温泉の田原オーナーや白馬村のガイドさん、その他関係者が集まり、今後の捜索方針について話し合いを持ちました。
 以降の空からの捜索や地上からの捜索について確認をし、民間ヘリでの捜索日時を決定したところでした。

 できれば生きて帰ってきてほしかったことは、もちろんです。

 しかし、見つけてもらって、見つかってくれて、本当に良かったと思います。

 励まして下さった皆様、見守って下さった皆様、そして尽力くださった関係者の皆様には、言い尽くせぬくらいの感謝を、重ねて申し上げます。