北アルプス 朝日小屋

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写真家・水越 武さん

2002-01-25

  信州安曇野・豊科 「田淵行男記念館」

 自然写真家の水越 武さんをご存知でしょうか?

 水越 武さんは…1938年、愛知県生まれ。1956年に東京農業大学入学、林学を学びのち中退。1964年、自然写真家の田淵行男氏に師事し、写真家を志す。1971年に個展「穂高」を開き、これを契機に独立。山を中心とした自然写真を撮り続けている。北海道在住。おもな著書は「槍・穂高」「白馬岳」「森林限界」「日本の原生林」「ブナ」など多数。(著書「ブナ」より抜粋)

 その水越さんが昨年、まだ夏山シーズンが始まったばかりの7月中旬、ひょっこり朝日小屋に顔を見せて2泊しておいでになりました。白馬岳に登られて、足を伸ばして下さったそうです。水越さんには今から20年以上前、まだ新しくなる前の旧い朝日小屋の時に何度かお会いしています。

 その日、偶然受付の席を外していた私は、水越さんがいらしたことを知りませんでした。後から宿泊者名簿で「水越 武」の名前を見つけた私は、お部屋へ行って、昔と少しも変わらない水越さんにお会いする事が出来ました。

 「写真家の水越です、と言って下さればよろしかったのに」という私に、「管理人さんも代わって、きっと僕のことは覚えていらっしゃらないと思いました」と水越さん。

 自然写真家・山岳写真家として第一線を歩み続けていらっしゃる水越さん、でも小屋にいらした時のその姿勢や雰囲気がごくごく普通で、お人柄そのものを表しているようでした。

 年末のメールに、『…久しぶりの夏の北アルプスはとても新鮮に感じられ、たくさんの収穫がありました。朝日小屋もとても気持ちの良い小屋になっていて嬉しく思いました。』と書いて来て下さいました。

 10年来手がけていらっしゃったお仕事が写真集『熱帯雨林』となり、天然の蘭の写真集も出版の予定とか。また現在お住まいの北海道の自然も本格的に撮り始められたそうです。なかなか朝日岳に通っていらっしゃる時間もないかもしれませんが、またいつか朝日小屋でお会いしたいと思います。

水越 武さんの写真展

2002-01-25

  「田淵行男記念館」にて開催中  02.2.10まで

 昨年11月某日、信州豊科町にある「田淵行男記念館」で開かれている企画展を見に行って来ました。

 科学者・詩人・そしてナチュラリストだった写真家・田淵行男氏が半世紀にわたる高山蝶の集大成として取り組んだ「ウスバキチョウ」と、自然写真家の第一線を歩み続ける水越 武氏の原点とも言うべき「穂高」のシリーズを展示してあります。

 館内に一歩足を踏み入れた瞬間、ちょっと言葉に表現出来ないような雰囲気を感じました。

 ぜひ訪ねて見られたらいかがでしょう。

朝日岳方面山岳遭難対策協議会・救助隊の訓練

2002-01-25

  栂海新道「照葉の池」から  01.7.22  photo by nisiyama

 明日・明後日の両日、救助隊の訓練が行なわれます。当初はテント泊での白鳥山を予定していたのですが変更になり、26日(土)は「南保富士」へ、そして27日(日)は朝日町側から「負釣山」へ登る予定です。今回の主な目的は「救助訓練」で、(1)冬山における救助訓練 (2)遭難者搬送訓練 です。

 そして…1日目の「南保富士」に、私も一緒に連れて行ってもらう事になりました。(そんな、他人に頼るような態度ではダメ!ですよねぇ)

 冬の山は初めてなので、いくら標高の低い「南保富士」とはいえ、「かんじき」を履いて歩くのはずい分不安もありますが、何しろ救助隊員の皆さんと一緒ですから、とにかく足手まといにならないように、頑張って登ります。

 娘たちに話したら、「お母さんは、救助訓練ではないでしょ!?…救助される訓練…でしょ!!」と言われました。

 とにかくデジカメを持参して、バッチリ「訓練」の様子を撮って来ますから、乞うご期待!?

行って来ました!!…「南保富士」

2002-01-28

 「南保富士」山頂にて 後方には黒部川扇状地、遠く能登半島

           途中から合流した地元のお2人もご一緒に  

                  photo by itagawa     02.1.26

 26日(土)、朝から久し振りの好天に恵まれ、予定通り「朝日岳方面遭対協」の冬山訓練が行なわれました。目的地は「南保富士」(727.1M)。

 「南保富士」への冬期ルートとしては、笹川地区あるいは南保地区から伸びる林道を行き止まりまで車で行き、そこから「三峯(みつぼ)グリーンランド」を経て、登山口から登山道を行くのが一般的だと思いますが、今回は、登りは南保地区の「岩井谷」を詰めて登山口付近の林道まで上がり、下りは登山道の途中から「奥石谷」から「石谷」を降りて来るというコースを辿りました。

 今回の参加者は私を含めて6名。リーダーは、県警山岳警備隊の古崎隊員。 

 生まれて初めての雪山、そして「かんじき」。

 「冬の山へ登れる」というワクワク感と、「果たして救助隊の皆さんの後について、足手まといにならずに最後まで登れるだろうか」という不安…。

 県道沿いの民家の庭先に車を置かせてもらって、歩き始めたのは午前9時20分。建設中の堰堤脇を通り、時に雑木や藪の中をくぐりながら歩きます。前日まで2〜3日雪が降り続いていたわりには雪の量は少なめ、やはり気温が高いので少々降っても早く融けるのでしょうか。

 古崎さんと私は「かんじき」、山スキーを履いた谷隊員、「フリートレック」という短い山スキーを履いた広田隊員、そして「つぼ足」の清水隊員と板川さん。

 アルミ製の「かんじき」は軽く、また思ったより歩き易く結構快適でしたが、それでも1時間も2時間も歩き続けていると、やはり日頃の運動不足・体力不足と足の筋力の無さが露呈して来ます。

 登山道に取り付いてからは、植林された杉の林を抜けて歩く辺りはまだ余裕もありましたが、途中直登気味に登る斜面でステップが上手く切れず「ズルッ、ズルッ…」となってしまい、古崎さんから指導を受ける場面もありましたが、なかなか思うようにいきません。

 急斜面に恐怖心があるわけでもないのですが、一度ステップを崩してしまってモタモタしていると、新雪の下からは凍った雪面が現れてしまい、ますます雪の中でもがいてしまう始末です。しかしそんな雪との格闘も、頂上に近付いて眺望が利くようになると、また元気になれるから不思議です。

 歩き初めから約4時間20分、登山口付近の林道から取り付いて約1時間半余り、とうとう頂上に到着しました。頂上での積雪は、おそらく1m30cm程でしょうか。例年と比べてもかなり少なめだそうです。

 そこから見える360°の展望は、冬の絵の具に彩られた「青と白の世界」…。お天気にも恵まれましたので、本当に素晴らしい景色です。

 黒部川扇状地が目の前にどーんと大きく広がり、遠く能登半島は先端まではっきり見えます。どこまでも続く日本海と海岸線、そして目をやると剣岳から毛勝山に続いて山々が連なり、朝日岳もその姿を確認する事が出来ました。

 大勢でワイワイと雪の山頂で食べる昼食は、楽しくて美味しくて最高です。

 もちろん、今回の山行の最大の目的である訓練も行ないました。

 下山は「かんじき」を外して「つぼ足」。踵できちんとステップを切りながら、でも時に滑るように転がるように(笑)、無事に下りて来ました。下山の所要時間は約2時間、民家に近い林道に帰り着いたのは夕方、今回は登山道の取り付きまでのルートを変えてみたので、思ったより時間が掛かったとの事でした。

 生まれて初めての雪山の感想は?…う〜ん、最高です!!

 また行きたい??…もちろん!、私の体力実力に相応の山へ、ぜひまた行きたいです!!

 お陰様で、ラッセルと言うほどの雪でもありませんでしたが、しかし充分に楽しい冬の山でした。救助隊の皆さんの足を引っ張らなくて、ホッ…、救助される場面もなくて、ホッ…(笑)。

 去年の今頃には、雪の山を登る自分なんて想像も出来ませんでした。「変われば、変わる」…そんな自分に驚いているのは私自身です(笑)。

救助訓練の様子

2002-01-28

   指導する県警山岳警備隊・古崎隊員

   真剣に聞き入る救助隊の広田隊員

 ハーネス、カラビナ、ザイル、スノーバー、ピッケル等などを使っての訓練の様子

これも救助隊訓練!?…「夜の部」

2002-01-28

 右、いつも陽気な県警山岳警備隊・古崎隊員

 左、宇奈月方面山岳遭難対策協議会・救助隊員の中山さん

 日中の訓練に引き続き、小川温泉元湯・不老館にて「夜の部」が行なわれました。

 「いざ出動!」という時に備えての隊員同士の意思の疎通や連帯感も、ある時には非常に重要になって来るからでしょうか!?(笑)救助隊の谷口邦夫隊長と青島隊員も参加されました。

 写真左の宇奈月方面遭対協の中山さん、どこかでお見掛けしたような?…そうです、「阿曾原温泉小屋の大仏さん」、佐々木 泉さんの「大事な片腕=番頭さん」です。

 ※ 残念ながら、翌27日(日)の朝日町側から負釣山を詰める計画は、悪天候と雪崩の危険の為中止になりました。