北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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キャー!!。。。(悲鳴)

2002-07-26

朝陽に輝く雪倉岳、白馬岳、旭岳   02.7.25

 キャー!!。。。これは朝日小屋のみんなの悲鳴です。
 シーズンが始まってから、事故が多発しているとつい何日か前に書きましたが、今日もヘリコプターが出動する事故がありました。
 夕食の準備を始めた直後の午後2時過ぎ。今日宿泊の予約をしていらっしゃった団体のメンバーから、病人の発生と救助の要請を知らせる内容で携帯電話から連絡が入りました。白馬岳から朝日小屋に向かう途中、雪倉岳を越えた「燕岩」付近で、小学6年生の男子が吐き気と頭痛、体調不良を訴えて行動不能になったというものでした。
 週末の警備の為入山中で、夕日が原近くまで来ていた県警山岳警備隊の古崎分隊長にすぐさま無線で連絡を取り、指示を仰ぎながら哲也が出動準備をします。そうしているうちに、富山県の防災ヘリコプターが出動する事になり、哲也もヘリに同乗して現場に向かいましたが、濃いガスの為一旦引き返し、その後朝日小屋に到着した古崎分隊長も乗せた防災ヘリは一瞬のガスの晴れ間をついて男子とその父親をヘリに収容し、病院に搬送することができました。
 症状は比較的軽かったのですが、軽い高山病にかかっていたそうです。
 結局、哲也はヘリに同乗して現場に降り立ち、処理をした後水平道を走って小屋に帰って来ました。私は私で、無線の通信と電話での関係機関との応対に追われ、その為受付は再び今日入山してきたばかりの長女の沙知代に任せる事になり、人手をとられた台所は孝太を中心にみんなが頑張ってくれました。病人が無事に救出され、パーティーの最後の方が到着された夕方まで、そして100人以上のお客様で小屋はまたまたドタバタ。。。
 いよいよ明日は、『どういう事態になるかわからない、7月27日・日曜日』。。。
 朝日小屋で唯一携帯電話の繋がるアルバイト部屋も、明日はお客様の為に明け渡しますし、多分「それどころじゃない」状態…何時になったら眠れるのかわからない、そんな日になりそうなので、27日はまた日記はお休みさせて頂きます。
 今シーズンに入ってすでに6件、何だか日記に事故の話しか書いていないようで、本当に複雑な心境。。。事故がありませんように。。。小屋の管理人からの、本当に切実な願いです。

一週間ぶり…

2002-08-03

 平均年齢10代のアルバイトのみんな   02.7.28 
  週末従業員の美枝ママと由起子さん、
   そして、“週末従業員・見習い中?”のひろみさんも交えて

 “毎日書いて皆さんに読んでもらう”のが信条の「ゆかりの管理人日記」。。。
 なるべく時間を工夫して、リアルタイムで朝日岳と朝日小屋の情報を載せていきたいと思っているのですが…、さすがにこの一週間は、凄まじい勢いで流れていく『時間との戦い』の連続で、この日記もお休みさせて戴きました。
 しかし、楽しみに待っていてくださる方がいらっしゃるようで、「ゆかりさん、プレッシャーをかけるわけではないのですが、そろそろ日記を…」というようなお電話も頂いて、やっぱりそれはプレッシャー(笑)。
 27日は、今シーズン最高の人出で大賑わいだった朝日小屋。今までの「朝日小屋記録」を塗り替えたのではないか、と思われるような大勢のお客様がおいでくださいました。心配された大きな事故や遭難騒ぎもなく、朝日小屋をこよなく愛してくれる“週末従業員”の皆さんや、何よりアルバイトのみんなの頑張りで、夜も10時には長かった一日の仕事を終えることができました。
 ホッとする間もなく、お天気に恵まれた28・29日も100名を越えるお客様がいらっしゃいました。そして30日、地元の朝日中学校・2年生の「朝日岳登山」が実施されました。中学生と引率者合わせて約160名が北又から入山、その日は一般のお客様を含めて220名ほどが朝日小屋にお泊りになりました。
 ハッと気付いたらもう8月、山小屋の繁忙期ももう半分過ぎてしまいました。
 今年は忙しいピークがいくつかあり、また前半から事故等が連続して、哲也をはじめアルバイトのみんなもそれはそれは大変だと思います。アルバイト部屋をお客様に明け渡し、荷物を持ったまま行先の定まらない(つまり、寝る場所のない)「放浪の旅」も続いています。(そんな日は、大体シュラフか毛布だけで食堂で寝る事になります)
 小屋が混雑していると、お客様にはもちろんいろいろご迷惑をお掛けすることになり、「ゆっくりした朝日小屋」を期待して来てくださった皆さんには申し訳ない気持ちで一杯なのですが、一方アルバイトのみんなにも朝は3時前から夜は10時過ぎまで働いてもらう日々が続き、管理人の私としては胸の痛む日々が多いのですが、それでもつい先日など「もう少し頑張って。よろしく頼みます」と言いましたら、哲也から「一本締め」の掛け声がかかり、全員が気合を入れてくれました。本当に涙が出るほど嬉しかった…。
 今週末を乗り切れば、後はまた静かな朝日小屋が戻ってくると思います。
 ちょっと小屋を出て、ぐるりとその辺を散歩するなどという事もままならず、そんなこんなしているうちに少し小屋の周りの様子も変わって来ました。8月の声を聞いたと思ったら、マツムシソウやカライトソウ、シモツケソウ、タテヤマウツボグサなどがたくさん咲いて来ました。猛暑の続いている下界と比べて、山の夏は短く秋もすぐそこまで来ているのかしら?。。。
 頑張って日記も書こうと思っています。更新していない日記を、それでも毎日毎日開いて見てくださっている皆さん、本当にごめんなさい。一週間ぶりに書いた日記、取りとめもなく綴りましたが、また頑張りますのでよろしくお願いします。では。

夕焼けと、雲海に浮かぶ山々

2002-08-03

 小屋の裏手から    02.7.28
 今シーズンは、なかなか素敵な夕焼けに巡り逢えないのが残念ですが、この日は素晴らしかった…

荷揚げもありました!

2002-08-03

 管理人の不手際で、あれもこれも足らなくなってきて、30日にはヘリコプターで物資の輸送もしました。

この山を越えれば。。。

2002-08-04

 シモツケソウ   小屋の横で  02.8.3

 夏山最盛期と事故等が重なり、ナンダカンダと7月20日の「海の日」辺りから続いていた朝日小屋のドタバタした毎日も、どうやら今晩と明朝の『山』を乗り越えればひと段落しそうな雰囲気です。
 長かったようで短かった毎日。たまの週末が混むだけでなく、繁忙期の前半に集中した事故の影響(アルバイトのみんなの休み時間の返上と、それによる疲労の蓄積)を引きずりつつ、今年は地元の中学生の集団登山が実施されたりして、平日でも心身ともにゆっくりした時間がなくいつも追われているように感じていたのは私だけではないはず。
 しかし、それもこれも秋の気配をフッと感じるようになって、もうすぐ終わり。。。
 「今年は、受付からゆかりちゃんの掛け声が飛ぶような場面があまりなかったネ!」と週末従業員の皆さんにも言われました。それ程厨房の中のまとまりはバツグンで、本当に哲也を中心に“全員のチームワーク”で乗り切った7月後半からの半月でした。
 今食堂では、みんながいつも以上に和やかな雰囲気で夕食の時間、私は食事を終えて抜け出して来てパソコンの前に座っています。
 明日は、晴れたらみんなは待ちに待った「ピクニック」に行く計画を立てています。お客様に朝食をお出しして、小屋中の掃除が終わったら出掛けます。私は??…もちろん今回はお留守番です。電話番をしながら、とにかく「ボケーッッ…」としたいなぁ。。。
 去年は、眠たくても疲れていても、それでも毎日書いていた管理人日記。今年はサボっているわけではないのですが、忙しくてなかなか毎日のペースが掴めず、「日記を書く、ゆかりモード」に乗れずにいました(笑)。
 でも、毎日必ず受付で何人ものお客様から「インターネットで見ましたよ!」「この山へ来る前に毎日日記を見ていましたから、とても参考になりました!」と声を掛けていただいて、本当に嬉しく思いますし、またそんな皆さんの声が励みになっています。
 これからは、もう少し気持ちにも時間にもゆとりが持てるはず。朝日岳と朝日小屋の様子を、ぜひまたお伝えしていきますので、お楽しみに!!

久し振りに、“ゆっくり・のんびり”の予定が…

2002-08-05

 ヒオウギアヤメ   照葉の池付近   photo by kouta

 哲也や長女の沙知代はじめアルバイトのみんなは、今日はピクニックに出掛けました。行先は、みんなの大好きな“照葉の池”方面。沙知代は、ちゃんと忘れずに「じいちゃんの写真」を持参してくれました。
 私も久し振りに、小屋の周りをウロウロする時間を少し作りましたが、どうしても電話が気になります。一眼レフカメラも久しく触っていないので(笑)、ちょっと持ち出してみましたが。。。
 ホンの30分程だったので、ゆったりとした気持ちで余裕を持って花や景色を眺められたわけでもなかったのですが、白馬岳から縦走して来た7月13日以来20日間近くほとんど外を歩いていなかったので、私にとっては貴重な休息でした。まだまだ一面に咲いているチングルマやハクサンイチゲ、そしてウサギギクやアズマギク。
 しかし。。。
 30分後に小屋の中に戻った私は、やっぱり電話の応対と到着されたお客様の受付に追われました(苦笑)。その上、飛び入りでお食事を頼まれたテントのお客様があり、今日の夕食予定人数をかなりオーバーしてしまいました。“お散歩組み”は、午前中からハリキッテ夕食の仕込みをしてから出掛けたのですが、ちょっと予定が狂ってしまい帰って来てから休む間もなく働くことに…。
 でも、今日は久し振りに自分達の寝床でゆっくり眠れると思うと、何だかウキウキします(笑)。アルバイト部屋を明け渡す日々が続いたみんなは、今日は一体どの部屋で寝ることが出来るか、もしかしたら食堂か、最後のお客様が入ってみないと分からないという毎日。そして私は、管理人室を具合の悪いお客様に貸したり、疲れているアルバイトの子に寝てもらったりしながら、受付に長座布団を敷いた上でシュラフの中にもぐりこむ生活をしばらく続けていました。
 やっと自分の部屋で眠れる…これでまた明日から、心機一転、頑張れそうです。