北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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“リピーター”の皆さん

2002-10-02

 コケモモの実    鉢ヶ岳付近    02.9.26

 昨日、台風21号が接近中にも関らずご予約のお客様がお2人、予定通り蓮華温泉からおいでになりました。まさかキャンセルだろうと思っていたのでビックリしていると「実は、7月末にもお邪魔しました。その時は栂海新道へぬけたんですが」と話しておられました。
 「毎週のように、いろんな山へ行っていらっしゃるんでしょう?」
 「いいえ、今シーズンは北アルプスは2回目ですよ!」
 まあ、1シーズンにそう幾度も行けない数少ない山行に、夏も秋も朝日岳を選んでくださったというのですから、本当に有り難く嬉しいことです。
 そういえば、今シーズンは夏においでになった方で、また秋に来てくださるお客様が何組かいらっしゃいました。今週末にも、九州の福岡県から今シーズン2回目のお客様がおいでになる予定です。
 深田久弥の百名山、誰でも知っている有名な山、見どころの違う山、ひとりで行きたい山、誘われて行く山…、いろいろな山がありますが、「好きな山」「そっと大切にしたい山」「また行きたい山」のひとつに、ぜひ朝日岳を加えていただきたいですね。

“ストッカー”が。。。

2002-10-03

 今日の朝日岳と朝日小屋   photo by kouta

 「えっ、ゆかりが“ストーカー”に…!?」
 
 いえいえ、とんだ間違い、一字違いです。お騒がせしてしまい、すみません!(笑)…最近、私を悩ませているのは“ストーカー”ではなく、“冷凍ストッカー”の中身なんです。
 営業終了まであと10日余り、そして小屋閉めまで2週間となって、今私が一番気にしているのは『食料』です。2週間の間に延べどれだけの人数分の食料が必要なのか、毎日毎日冷凍ストッカーの中を覗いては、「あれとこれを使ってこんな料理ができるナ、もし○人位のお客様がいらしたら今晩はこれを作って、これは最後まで残しておきたいし。。。う〜ん。。。」
 夏でもお客様の数はなかなか読めませんが、今の時期、12日からの連休にお天気が良ければもしかしたら朝日小屋も少し賑わうかもしれませんが、もし冷たい雨が霙(みぞれ)に変わるような日になれば今ご予約いただいているお客様も多分キャンセルになるでしょう。特に白馬岳からの“縦走組”でしたら白馬岳山頂で吹雪に遭うかもしれないという心配もあり、天候の悪化・急変には皆さんとても敏感です。
 ギリギリの食料しか持たないというのはやはり不安ですし、そうかといってあれもこれも残しておけば最後にはボッカで下ろすか、「ゴメンなさい!」と目をつぶるか、という選択を迫られることになります。
 ここしばらくは「朝日小屋定番メニュー」の肉ジャガ・天ぷら・豚カラ・マカロニサラダ等などは作っていません。お客様も少人数ですし、数が確定しないとなかなか調理を始められないからです。
 しかし、もちろん工夫して“手料理”でおもてなししようと頑張っています。今日の「朝日小屋日替わりメニュー」は、小アジの南蛮漬け・かぼちゃのバター煮・鶏肉と赤ピーマンのニンニクバター醤油風味炒め・お漬物各種(自家製)・オレンジ、そして皆さんに喜ばれたのは具だくさんの豚汁!
 それでも去年の今頃は、「食料の残り具合」よりも何よりも、「山を下りたくな〜い!」と言いつつ、頭と心が、小屋閉めまでの期間を目的も手段も定まらないまま何をどうしていいのかわからない毎日を過ごしていた事を思えば、1シーズンを経験して2シーズン目は少し進歩したかなぁと、自分で自分を観察する余裕も少し出てきたようです。
 小屋閉めのその日まで、“冷凍ストッカー”の中身は私を悩ませることと思いますが(笑)、山行の疲れを癒していただき、翌日の活力源になるような美味しいお食事をお出しするよう、あとしばらく頑張ります!!

追記
 もしこの後、朝日小屋にお泊りのご予定がありましたら、ぜひ『ご予約』をお願いいたします。天候その他でのやむを得ないキャンセルは、もちろん構いません。
 特にグループでおいでになられるお客様、どうぞ『要・ご予約』でお願いいたします。

寒いよぅ。。。

2002-10-04

 ウラシマツツジ   雪倉岳    02.9.26

 台風21号が通過した後、ここ数日富山県地方は日中の気温が30℃近い日が続いているとか。秋も深まって、身体が涼しい気候に慣れてきたところですから、「山が恋しいヨ」とかなり堪えているのは下界からの電話の主。
 ところが山の上は、寒い寒い。。。毎日ストーブのお世話にならない日はありません。日中の気温は6〜8℃くらいでそれ程ではなさそうですが、吹く風が本当に冷たいのです。今日の夕方など、朝日岳山頂では体感温度が氷点下だったのではないかと、蓮華温泉からお着きになったお客様が話しておられました。水が冷たくなって、早くも「手荒れの季節」がやって来たようです(笑)。
 先週の土曜日辺りには夕日が原の紅葉が見頃だったと、哲也や孝太が話していましたが、今日はもう恵振山(1,791m)山頂付近がきれいだということです。「ゆかりさんも見に行って来れば良いのに」とさんざん哲也と孝太に言われていたのに、何だかモタモタしていたら夕日が原の紅葉の盛りはちょっと過ぎてしまいました。
 急用で下界へ下りていた哲也も、今日のお昼頃4日振りに戻って来ました。
 明日の土曜日は、紅葉目当てのお客様で朝日小屋も少し賑やかになりそうです。

小屋閉めまであと9日…元気です!

2002-10-07

 賑わった週末、お客様も交えての団欒   02.10.5

 2日間日記を書きませんでしたので、「ゆかりは、またどうしているんだろう」と皆さん心配してくださっているでしょうか(笑)。
 紅葉も見頃だった週末は、常連さんや顔見知りの方たちをはじめ25名ほどのお客様。お天気もまずまずで、白馬岳からの縦走路、蓮華温泉への下山路、そして北又からのコースの恵振山付近と、どのルートも紅葉・黄葉を楽しんでいただけたようです。
 5日には、以前この日記の中でも紹介した、岳人6月号に栂海新道の記事を書いていらっしゃる平石武仁さん、山渓7月号に掲載された「山のマ・ダンナ」に選ばれた吉村由美子さんご夫妻(3月に負釣山でお会いした)、そして復活を果たした“週末従業員の由紀子さん等などが集まり大いに賑わいました。
 そして昨晩は、写真家で名ガイド(!?)の森下 恭さんと一緒に薪ストーブのそばでお鍋をつつきながら、またまた哲也・孝太と4人で夜遅くまでおしゃべりが続きました。
 営業終了まであと1週間、小屋閉めまであと9日となりました。小屋閉め準備も順調に進んでいます。今年は哲也と孝太が揃っているので、昨日はお天気の良い間に出来る外仕事もやってくれました。
 昨年より4日遅い下山ですが、まさかその日に雪が降りませんように。。。一面の“白銀の世界”も見てみたいような気がしますが、もしかなり積もるようなことがあれば大変だなぁ…と心配しています。

一段と寒くなって

2002-10-07

 恵振山山頂付近の見事な紅葉  photo by kouta

 昨日は、夜遅くなってから強い雨と風が吹き荒れました。
 先日の台風21号の時よりもずっと激しく、夜中には、テントを張っていたお客様が小屋に逃げ込んで来られるほどでした。
 さすがに、恐くはありませんでしたが、まさかそんな荒れ模様になるとは思っていませんでしたので、外回りが心配で「もし何かあったら哲也と孝太を起こさなくては」と思うと、なかなか眠れませんでした。

小屋閉めは『お祭り』だぁ!!

2002-10-09

 オヤマソバも、もっと枯れて。。。   鉢ヶ岳付近   02.9.26

 昨日は少し風邪気味で、一日中ゴロゴロしました。鼻がグスグスして寒気がしたので、小屋閉めに向けて用心しなくてはと、哲也と孝太には申し訳なく思いつつ何もしないで布団の中に潜っていました。お陰で、今日は少々後遺症を残しつつも、朝からゴソゴソと動けるまでに回復。
 今日で3日連続、お客様はゼロ。平日に加えて、お天気も悪かったので仕方ないですね。 
 今日の午前中、ガスと雨の晴れ間に少し姿を見せてくれた雪倉岳は、山頂付近が白くなっていましたから、きっと白馬岳も昨夜は雪が降ったことでしょう。白馬岳山頂と朝日小屋では標高差が約800m近くありますので、今日の朝日岳は冷たい雨が降っただけでした。
 今日から哲也と孝太は、小屋閉めに向けて一日一日スケジュールを立てて、寒い中でも外仕事を中心に予定をこなしてくれています。
 今日は、じっきーが入山して来てくれました。小屋閉めにどうしても参加できないので、都合をつけてやって来てくれました。夕食は4人で、冷蔵庫の残り物でホットプレートで「焼き焼きパーティー」。
 
 12日からの連休に入山して来たいという一般のお客様はもちろんのこと、身内・半身内・“自称”身内・“押しかけ”身内…(笑)等などの皆さんからの連絡も次々に入ってきています。どうやら連休はお天気も良さそうで、朝日小屋今シーズン最後の大賑わいになりそう…。
 その昔私の父が、「小屋のビールが余っているから、オイ、飲みに来いよ!」と誘ったとか誘わなかったとか(笑)…それを今でも正直に実行しようとしている奇特な輩も、大勢いらっしゃるようです(笑)。
 「山開き」と「小屋閉め」は、朝日小屋にとって『お祭り』みたいなものです。今年最後のお祭りがお天気に恵まれて、最高に盛り上がりますように。管理人も体調を整えて、お待ちしています!!

無事小屋閉めを完了し、下山して来ました!!

2002-10-20

 発電室の扉に、最後の板をはめる哲也と孝太    02.10.16

 皆さん、大変ご心配をお掛けしました!!
 
 10月16日、朝日小屋は今シーズンの営業を終了し、最後まで残って小屋閉め作業を手伝ってくださった写真家・森下さん、助っ人・板さん、そして哲也・孝太・私の5名は、夕方無事北又へ下山して来ました。
 
 いつも日記を楽しみにしてくださる皆さんから、「最後の日記からもう10日も経っているのに、一体どうしたのですか?」「もう小屋閉めは終ったのですか?」「体調を崩して入院したのでは?」。。。等など、たくさんのメールを頂きました。
 ご心配頂き、本当にすみませんでした。
 
 10日間も日記が書けなかった理由はいろいろあるのですが。。。
 実は、管理人1年目の昨年の小屋閉めはいろいろあって、各方面の方々に本当にご迷惑をお掛けしました。その失敗を絶対に今年は繰り返すまいという思いが強くあったので、今年の小屋閉め直前は、私なりにかなり緊張していました。
 (そうでなくても、昨年のみんなの辛かった様子をよく知っている森下さんにチクチクと、そして散々に、毎日言われていましたから・笑)
 その為に、小屋閉めの直前は全くパソコンに向かうことが出来ませんでした。
 NYAMAさん曰く、「ゆかりちゃん、せめて“今から下山します”くらい書いて出て来なくっちゃ…」
 
 そして下山して来た16日は、お世話になった皆さんと夕食を共にして、シーズンの無事終了を喜び合いました。重い荷物を背負って下山して来たので、相当疲れていたはずですので、哲也をはじめすぐダウンするかと思いきや、2次会では夜な夜なカラオケに興じてしまい、私が寝たのは真夜中の3時近く…でも翌朝はまた4時起きで用事を済ませ…あっという間に17日も過ぎて行きました。
 18日は、『母』をしました。末娘の用事で一日金沢へ。
 19日も、朝から救助隊のメンバーと一緒に訓練に参加する哲也と孝太にお弁当を作ったり、山関係の用事を済ませ、またまた一日は瞬く間に過ぎてしまいました。
 そして今日20日、いよいよ『日記』が気になり出しました。
 実は…明日21日から薬師岳へ行って来ます。行く前に絶対日記を更新しなくては、楽しみにしてくださる皆さんに本当に申し訳ないと思い、何だかとっても言い訳じみた文章を書いています(笑)。

 山を下りて来てからも、我が家はちょっとした『合宿所』状態が続いています(笑)。今晩は、森下さん・哲也・孝太・拓郎の4人が泊まっています。
 明日からの薬師岳行きは「他の山へも行ってみたい。他の山小屋へも泊まってみたい」という哲也たちの希望で、小屋閉め前からみんなで相談していた『朝日小屋・研修登山会』(笑)。
 明朝には、じっきー、めっけちゃん(昨年Gパト)の2人も合流し、森下さんのガイドで賑やかに太郎平小屋まで登ります。その後、天候の様子を見ながら、哲也たちは可能ならば黒部五郎岳まで行く予定にしています。(私は、太郎平小屋に2泊して下山のつもり)
 この時期の2,000m以上の北アルプスは、もちろん“雪”が予想されますので、油断は出来ません。夕方にはみんなで買出しに行き、森下さんの指示の下、つい先ほどまでみんなでいろいろ準備しました。でも、楽しそうな様子を見ていた我が娘のかなえが「楽しそうでいいなぁ、何だか“遠足”みたいだネ!!」
 
 そんな訳で…また数日留守にします。小屋番日記もまたまたお休みさせて頂きます。申し訳ありません。しばらく、雪が降るまで登れるうちは、まだもう少しいろいろ山を歩きたいと思っています。
 
 『涙・涙…感動の、小屋閉めの様子』は、また順次書いて行きたいと思います。
 
 では、行って来ます!!

雪の残る中…

2002-10-20

 山を下りる直前、屋根の上には前夜の雪   photo by morisita

 15日の夜半からは、激しい雨風が吹き荒れ、朝起きたら霙・雪が小屋の周りに残っていました。
 それでもみんなの力で、順調に小屋閉めを終え最後の記念写真です。
 左から電話機を背負った助っ人・板さん、深々と小屋に向かって最敬礼していた哲也、昨年の倍以上・18キロの下山荷物を担いだ私、そしてシーズンを通して頑張ってくれた孝太。森下さんは、昨年と同じくパソコンを担いでくださいました。
 皆さん、頼りない管理人を小屋閉めまで支えてくれて、また最後に重い荷物を担いでもらって、本当に有り難うございました!!