この秋、「栂海新道」を計画される皆様へ
2008-10-01
アルプスと日本海を繋ぐルート、「栂海新道」。今、静かなブームとなっているようです。
栂海新道は、特別な技術を必要とする難しいコースではないと思われますが、とにかく『時間のかかる長いコースを、しっかり歩ける』ということが、最重要課題になると思います。
「誰でも歩ける」には違いありませんが、そうそう「誰でも行ける」というわけにもいかない。
だからこそ、『アルプスと日本海を繋ぐ』記念のルートとして、価値あるコースなのではないでしょうか。
盛夏の間にも訪れる登山者の方は多いのですが、この秋、この後朝日小屋の小屋閉めまでの2週間程の期間で、このコースを計画・思案中の方もお出でになることと思います。
秋にこのコースを選ぶのは、夏と違って「暑さ!!」が気にならないのが一番のメリットでしょうか。
何しろ、海抜0mまで下りて行くのですから(逆も、もちろん大変!)、夏の間は最後は脱水症状のようになって下山という方も中にはおいでのようです。
さて、暑さから開放された秋の栂海新道ですが、もちろん黒岩平周辺などは、筆舌に尽くしがたい美しさで登山者を迎えてくれるはずです。何しろ、「雲上の楽園」「最後に残された楽園」と絶賛されるほどの紅葉です。
夏もそうなのですが、秋のこのコース、どなたも『荷物の重さ』がカギを握りそうです。
今の「中高年の方たちの、標準タイム」は、
朝日小屋から栂海山荘まで、約8〜10時間。
栂海山荘から親不知までも、約8〜10時間。
疲れてヘロヘロになって下りて行く方なら、12時間掛かる場合も。
そうなると最後は、『荷物の重さ』が勝負(!?)でしょうか。
朝日小屋の受付で見ていると、とてもコンパクトにきちんとパッキングが出来ている方もいれば、「上高地から縦走していらっしゃったんですか?」というような嵩高のザックの方も。
歩ける方なら、もちろん問題はありません。
気になるのは、どうみても「余計なものが入っているのでは…」という方たち。
おせっかいかもしれませんが「そのご様子では、体力に見合っていないのでは。歩けますか…」という方たち。
暑い夏と違って、10月ともなれば、今度は寒さ対策が必要となってきます。
夏ならTシャツだけで済むものが、今度はフリースやらダウンジャケットやら。
夏なら栂海山荘で毛布を借りて済ませようと考えられても、これだけ寒くなると、標高1,600mほどの栂海山荘で何を着て寝ようかと思案することになります。
暖を取るのに、ガスも余計持たなくちゃいけないかしら、とか。ニット帽も厚手の手袋も、と荷物は増えますね。
でも秋の栂海新道は、やっぱり魅力(!)です。
楽しく歩くには、『必要・最低限』の荷物を考えて。
この秋にこのコースを計画される皆様、とにかく充分な計画と装備でお出で下さい。
そして体調を整えて、余裕のある行動をお願いします。
なお今日現在、水場は大丈夫です。(今日、栂海山荘からお出での登山者からの情報です)
詳しいことは、朝日小屋にお電話でお確かめ下さい。お待ちしております。
上の写真は、8月13日。栂海新道の草刈りに、朝日小屋から若いメンバーが出掛けていった時のものです。
黒岩平付近の池塘が、紅葉で見事に彩られるのは、この後もう少しあとになりますかしら。
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