北アルプス 朝日小屋

オヤマソバ　　朝日岳山頂の下で

　９月になったら、哲也、孝太、そして私の３人が１週間づつ交代で休みを取ることになりました。考えてみれば６月16日の小屋開けから２ヶ月半、ずっと毎日同じ顔ぶれで小屋の中で働いています。
　哲也は、朝日岳方面山岳救助隊の夏山反省会が９月１日夜に予定されているので、１日に下山してそのまま何処かへ（！？）行くことにしているようです。小屋に戻るのは７日の予定。
　孝太は９月９日に下山して14日までお休みです。彼は、先日他のアルバイトのみんなと白馬岳まで１泊で遊びに行って来ましたが、６月の入山から未だ一度も下界に下りていないので、今回は北又に置いてある愛用のバイクでツーリングにでも出かけるのかな？？
　そして私は、６日午後から下山の予定。私も約２ヶ月振りの下山になります。しかし家でゆっくりすることなく、『山』へ行くつもりでいます…山へ行くのなら、何故山を下りるの？？と言われそうですが（笑）。
　７日・８日にいつものメンバー（？）で、称名滝から大日岳を登って大日小屋に１泊して来ることにしています。立山室堂山荘の妹の所へも立ち寄るかもしれません。またまた他の山小屋を見て廻りたいという願いを叶えるべく、昨年同様「秋の山小屋行脚」（笑）をしてきます。
　翌９日からは、蓮華温泉から鉱山道を通って雪倉岳に登り、11日に朝日小屋に戻って来る予定にしています。鉱山道は、朝日小屋に続く登山道の中で昨年行けなかったルートです。今回は、私が高校生の時に亡父と一緒に登って以来になりますが、ここ最近「掲示板」の中でも賑わっていたのでやはり自分の足で確かめたく、今から楽しみにしています。
　
　今日のお客様？？…27日（火）からは、連日１ケタです。でも、お客様は皆さん、それぞれ“静かな朝日岳”を楽しんでいらっしゃるようです。
　下界では、台風15号の影響があったり、まだまだ残暑も厳しいようですね。今日の朝日岳も日中は少し陽射しがきつかったのですが、風が出てガスが流れ太陽が陰ってくるとやはり残暑より秋の気配です。
　今晩は、それ程寒さは感じません。午後８時の気温は16℃。

朝陽がまぶしい中で、今日のラジオ体操
　…左から孝太、哲也、拓郎。３人とも、見事にバラバラ（笑）

　今日は、拓郎が帰って行きました。昨年夏のＧパトで初めて朝日小屋に来てからの付き合いですが、純情というか、素直というか、本当にいい子です。
　私たちを驚かせようと、連絡もせずに蓮華温泉から１人で登ってきたのですが、昨日は哲也と孝太の草刈りにも付き合ってくれました。「楽しかったです！」と言い残して今日は山を下りて行きました。
　山での別れは、どうしてこんなに胸がキューンとなるんでしょう。。。
　１人で山頂を越えて蓮華温泉へ帰る彼のうしろ姿を哲也・孝太と一緒に見えなくなるまで見送っていると、拓郎には９月末にまたあえるはずなのに、それでもわけもなく“せつなく”なってきました。
　もの想う秋。。。かナ？

　これは、私と板さんが照葉の池までお散歩に出掛けている間に、孝太が作ってくれました。スポンジケーキを焼いて、生クリームでコーティング。上にのっているのは、。。。イチゴのジャム。。。ムムム？？
　今年の夏は、アルバイトのみんながいろいろお菓子を作ってくれました。製菓学校に通っている鮎美ちゃんは、杏仁豆腐や葛饅頭など本格的なお菓子、それから由衣ちゃんはヨーグルトケーキなどなど。
　常連さんから頂くお菓子も楽しみですが、若い子たちの力作もとても美味しかったです！！

今宵は、とても賑やか！！

　実は、今年も夏の間アルバイトに来てくれていた慎ちゃんと祥滋の２人が、またまた私たちに黙って蓮華温泉から登って来てくれました。富山県内に住む２人ですが、何でも朝一番の急行“きたぐに”で糸魚川まで出て、それから大糸線の平岩まで来て朝早く蓮華温泉へ向かう車をヒッチハイクしたそうです。なかなかやりますネ！！
　それから、県警山岳警備隊の古崎分隊長と谷口隊員、そして朝日岳方面山岳救助隊の谷隊員と水口隊員、それから黒檜山岳会前会長の木本さんの計５人が、２日間かけて相又谷〜吹沢谷〜黒岩谷〜黒岩平を抜けて今日朝日小屋に到着されました。訓練ではなく個人山行だったとはいえ、昨日今日と藪こぎや遊びを含めて各12時間を要してかなりハードな道のりだったとか。
　また、朝日小屋の発電機はじめいろいろ外回り仕事の大事な“監視役”ヨモじいも、北又から入山して来てくれました。今日は、珍しく厨房で赤いエプロン姿で“天ぷら職人”に変身してくれました（笑）。
　そして名前は言えませんが（笑）、特別ゲストがもうお１人…。ＨＰに写真を載せてもらったら困るとのことなので、あえて登場はありませんが、久し振りの再会に哲也も大喜びでした。
　そんなこんなで…今宵、夏の終わりの夜は賑やかに、そして静かに更けていきます。

　今朝のご来光です。
　
　実は、今日は早朝3：45に小屋を出発して山頂へ向かいました。
　お客様の朝食などを哲也と孝太に任せて、今日は１人きりで暗がりの登山道をご来光を見るために山頂へと急ぎました。
　今年初めてのご来光、いつ見ても、何度見てもやっぱり清々しいものです。
　元気になりました…。

　朝焼けの様子

　雪倉岳や白馬岳、旭岳の上空の雲も焼けて。。。

　９月１日、今日の夕焼け　

　久し振りに、夕陽が沈む様子を見ることが出来ました。能登半島のその奥に落ちる夕陽と、いろいろな色に染まる雲や空をずっと眺めていました。
　今日から９月。哲也は今日下山しました。今頃は、救助隊の夏山反省会の○次会でおおいに盛り上がっていることでしょう。残った孝太と私、今日は日曜日なのでそこそこのお客様があり、それなりに忙しい一日でした。
　今日は、夜景がとてもきれいです。街の灯かりがキラキラといつになく輝いています。遠く能登半島の街の灯かりも見えるんですよ…。下界では感じることの出来ないこの想い、朝日小屋ならではでしょうか。下界は残暑が厳しいようですね、登っていらっしゃいませんか？？

今日のご来光　　　photo by kouta

　一昨日は私がご来光を見に行って来ましたが、今日は孝太が山頂へ。彼も今シーズン初めてだったのですが、最高のご来光に出会えたそうです。
　
　さて今日の夕方、蓮華温泉から20代の若者４人のグループが登って来ました。が、到着は午後５時を過ぎていました。ご予約もなく、しかももうお客様の夕食をお出しした後で何も残っておらず、孝太も私も内心「。。。」
　だって、今日のご予約は３名様。一体、何人分の食事の用意をすればいいのか迷いに迷って午後３時半をまわってから最初は８人分で用意し始めたのですが、そのうち10人分に変更し、またまた４人分の追加…。お１人分くらいなら何とかなるのですが、さてどうしよう。。。
　「みんな、夕食にするような食料は持って来ていないの？」と聞くと、「ハイ…」
　「う〜ん、何とかするよ！！」と、それから準備に取り掛かりました。あり合せの材料で“シャケ鍋”を作り、最後は雑炊で仕上げです。
　正直言って、出発時間も遅く、カンカン照りの今日の暑さにすでに出発からかなり参った様子もあり、管理人としてはひと言注意もしました。しかし最近は50〜60代の中高年登山が主流で、20代の若者の登山グループには滅多にお目にかかれないこともあり、管理人もいつになく（？）わりと優しく（笑）応対しました。
　素直に私の注意を聞く若者４人、いろいろ聞いていくと白馬尻小屋のアルバイトをしていたのですがそれも終わり、そのうちの女の子が「朝日小屋のゆかりさんにどうしても会いたい！」というので、４人で蓮華温泉から登って来てくれたとのこと。
　可愛いじゃありませんか、すぐその気になった管理人は、若い子たちに缶ビールをサービスしてしまいました（笑）。
　明日は白馬山荘まで。「暑いから、５時からの朝食を食べて涼しいうちに早く出発した方がいいよ」という私の忠告にも素直に頷いてくれました。こんな若い登山者がもっと増えてくれたら、嬉しいですよネ。