中俣新道入り口で、案内役の平石武仁さんと 以下photo by yonetaka
21日(日)、新潟県糸魚川市小滝のヒスイ峡奥にある中俣新道から、栂海新道の黒岩山・黒岩平を訪ねました。早朝から出掛けた日帰り山行です。
以前より前管理人・下澤三郎と懇意にして頂いていた糸魚川・いりやま岳友会の中村光信さんから、「ゆかりさん、ぜひ中俣へいらっしゃいませんか」と再三のお誘いを頂いていました。
また山好きの私の主治医・Y先生からは、昨年よりずっと「どうしても中俣新道を登ってみたいんだ!」との熱いラブコール。
そして私はといえば、「やっぱり管理人としては、お客様が利用される登山道は、絶対に自分で歩いてみるべき」と考えていました。実は10月10日の遭難(騒ぎ)のお客様は、蓮華温泉へ下山するはずでしたのに、「吹き上げのコル」から間違って栂海新道へ入り、ナンと中俣新道を下りて翌朝「高浪の池」から連絡があったという顛末だったのです。その事もあってどうしても今年行けるうちに「中俣新道〜黒岩平」へ登ってみたいと強く思ったわけです。
そんなわけで、今回の同行者は主治医のY先生、いりやま岳友会からわざわざ案内役として平石武仁さん(平石さんは小屋閉め直前に朝日小屋でお会いしていました)。深まる秋を思い切り感じた、楽しい山行となりました。
ヒスイ峡から奥の林道入り口には施錠がしてありますが、中村さんのご配慮で鍵を開けて頂く事が出来ました。
取り付きから中俣小屋はすぐですが、そこを過ぎるといきなりの急登。恵振山の坂に慣れているとはいえ、振り返ると「こんな所を登ったんだ!」とビックリする位の急斜面です。しかし、それも少し我慢して登ればすぐにホッとするようななだらかな登山道が連続します。ここでもいつものように、同行のお二人には「私、ゆっくりしか歩けませんから」とお願いしました。平石さんは「いつも雨飾山の山行で、沢山の方を案内したりしていますから、ゆっくりには慣れています。大丈夫!」と、私の歩きやすいようにペースメーカー役を引き受けて下さいました。
一面が黄色い世界と勘違いする程、ずっとブナの林の中を歩きます。時に急登もありましたがそれ程長くは続かないし、最初からゆっくりのペースで歩きましたので、息切れもなし。いつも登りを苦手としている私を心配したY先生がビックリされる位、余裕の歩き。「これはもしかしたら、最近山を遊び歩いているせい(…成果!?)かしら」とひとり言(笑)
「いい道ですねぇ、いい山。私こんな道が大好き!!」…そんな言葉を繰り返しながら行くと、尾根道の途中からは視界が開けてきて、五輪山や犬ヶ岳の稜線が左右に見え始めました。そうなると、ブナ林の中をゆっくり歩いていた私の様子も、ナンだかうきうきした感じに変わり足の速さも調子付いて来ました。
歩き始めの取り付きから黒岩山直下の分岐点までは約4時間半。毎回の事ですがデジカメで写真を沢山撮り、ゆっくりおしゃべりもしながら歩いたのですが、コースタイムの5時間より早く到着しました。
黒岩山の頂上に立ちサワガニ山や犬ヶ岳の山並みを眺めた後は、晩秋の雰囲気を漂わせる黒岩平へ。ここでも告白しますが、黒岩平へももう20数年遊びに行った覚えがないのです。昨秋父の遺影と共に長栂山までは来ているのですが、朝日小屋からの「散歩コース」として黒岩平はちょっと遠いのでなかなか来るチャンスがなかったのです。
少し寒かったのですが、それでも3人でビールで乾杯!! 流れる湧き水を汲んでお湯を沸かし熱いラーメンを食べたりコーヒーを飲んだり、とても幸せな時間…。
ところで、絶対に登山者の方には会わないと思っていたのに、黒岩平で栂海新道を登って来たという単独行の若者にバッタリ。「今日は朝日平でテントを張ります」という彼に「頑張って!」とエールを送りましたが、そのまま付いて行きたいような複雑な管理人の気持ち…。
ここまで来たら朝日小屋まで行きたいなぁ…という後髪引かれる思いを残して、下山開始。下りは結構得意な私、心配するY先生をよそに軽快なピッチで下りていくと、平石さん曰く「清水さん調子いいですね。ナンだか後ろからストックで突かれそう(笑)」。
そして「ここは僕達の庭みたいなもの」とおっしゃる平石さんは、右を見たり左を探したりしながらキョロキョロ。どうやらキノコを物色していらっしゃるようでしたが、ちょっとまだ早いようでなめこが少し見つかっただけでしたが、それでも秋を思い切り感じながらの下山は、分岐点から約2時間半。結局コースタイムの4時間はかからず、余裕をもっての日帰り山行でした。
本当にいい道、そしていい山でした。思い切りブナの葉が落ちて、空がよく見えました。夏はきっと鬱蒼とした樹林帯でまた違った感じがするのだと思いますが、登山道もきちんと整備され、いりやま岳友会の中村さんや平石さん他地元の皆さんが注がれる愛情が山の中に満ちているのを充分感じられ、本当に行って良かったと思います。
そして黒岩平。なかなか行く事のなかった場所ですが、ここも亡き父が大好きでした。今度は来年のシーズン中に、ぜひ小屋から遊びに行きたいものです。皆さんにもぜひお奨めしたいコース、中俣新道〜黒岩平。
最後まで私の右足を心配しつつお付き合い頂いたY先生と、いろいろ教えて頂いた名ガイド役の平石さん。楽しい山行をどうも有り難うございました!!