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雨の中で沈殿、そして雨の中の下山
2003-04-24
穂高連峰、明神岳の岩峰 03.4.22
徳本峠小屋は25日にヘリコプターでの荷揚げを予定しているので、管理人の今川さんは私が上って来た翌日の23日にその荷物を集める為下山。そしてその23日は、朝からドシャ降りの雨。。。
アルバイトの小野田君とマノさんは、今川さんが居なくてもそれぞれの持ち場で黙々と仕事をしています。自分の小屋でないので余り手出しも出来ない私は、ランプのホヤを洗ったりしてウロウロ(微笑)。
結局何となくモタモタしたような、“マッタリ”した一日が過ぎて行きました。なんだか、雨の中「沈殿する」お客さんになったようなゆっくりした雰囲気を味わうことが出来ました(再び、微笑)。
そして今日24日は、雨の中の下山。小屋を出るまでは「イヤだなぁ、雨止まないかなぁ」と思っていましたが、雨具を着て雨の中を歩き始めてしまうと、元々雨の中の行動もキライなわけじゃないので、ダッダッダッと沢を下ってしまいました。明神館まで約1時間。登りはあんなに苦労したのに、下りてしまうのが勿体ないくらい(笑)。
快晴の入山日にはあんなに澄んだ雪融け水を集めていた梓川は、今日は濁流となって凄まじい勢いで、猛り狂うようにその姿を変えていました。…それもまた自然、ですね。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/04/d20030424c.html
不思議に思うこと…
2003-04-25
春陽の下、カラマツの林を抜けて 上高地にて 03.4.22
『下界で生活していたら』。。。
それ程“キレイ好き”でなくても、毎日お風呂に入りたい。髪も毎日洗いたい。
洗顔はもちろん、食後の歯磨きは欠かせない。歯磨き粉をつけて一生懸命ブラッシング。だって、口の中が気持ち悪いし虫歯はイヤだから。
服や下着は、毎日着替えて当たり前。汗臭いのなんて、サイテイョ!(笑)
雨の中、濡れて歩くなんて考えられない。ちょっと家の前まで行くにも、傘が要ります。
家の中で、すきま風?…とんでもない!…少しでも戸が開いていたら「ちゃんと閉めてょ!」と娘に命令する(笑)。
戸や畳の隙間に“目張り”をするなんて、現代社会では考えられない!?
誰が使ったか判らない布団で寝るなんて(笑)、トンデモナイ話です。絶対にイヤ!
そんなことの全てが、『山』ではどうでもいいことに思えるから、本当に不思議。。。
そんな不思議な気分に浸りたくて、そんなどうでもいいことから抜け出したくて、山を歩いて、山と話してみるのも良いのかもしれません。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/04/d20030425a.html
カモシカが出迎えてくれた、徳本峠
2003-04-25
じっと見つめる、カモシカ 私を歓迎してくれた!? 03.4.22
最高のお天気に恵まれ、気分良く登り始めた上高地・徳本峠への道で、ばったりカモシカに出遭いました。
最初は座っていたのですが、近付いていくとゆっくり立ち上がりました。「迎えてくれたの?」と話し掛けましたが、ただじーっと私を見続けています。
「襲われることはないだろうけど、それにしてもこんな近くで…」と思いつつ、休まずに歩いていくとホンの1メートル位の至近距離まで近付きました。
余り近付き過ぎて驚かせては、デジカメ写真にちゃんと収まるか心配でしたが、さり気なく撮ってみました。
もちろんカモシカには何度も遭っていますが、さすがにこんな近くは初めてです。
やっぱり私を歓迎して、待っていてくれたのでしょうか!?
それとも頼りなさそうに一人で歩いていたので、心配してくれたのでしょうか!?…(微笑)
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/04/d20030425b.html
今年の春山は、かなりの積雪
2003-04-25
分岐の標識 03.4.22
今朝、北又小屋の管理をお願いしている長津さんから電話がありました。今シーズン初めて北又小屋まで偵察に行ってきたとのこと。それによると、越道峠では建っているはずの石碑や公衆トイレも全く雪の中で見えないので、雪は3メートル以上はあるだろうとの情報です。また北又小屋の前の広場、此処は例年早く雪が融けるようですが、未だ1メートル以上の積雪が残っているとのことでした。
24日には富山県警が春山情報第2号を出しましたが、それによると昨日現在の積雪量は、立山室堂平で8.4m、早月尾根6m、弥陀ヶ原6mなどと、例年より1〜2mも多くなっており、雪庇が大きく張り出しているようです。
谷や沢筋では、気温の上昇や降雨などで雪庇の崩壊や雪崩、落石等などに注意が必要になっています。
楽しい春山も、天候の急変により瞬く間に「冬山の様相」に激変します。ゴールデンウイーク中の登山にはくれぐれも慎重な行動をお願いします。常に、体力や技術などの実力に見合った山行を心掛け、特に難しいとされる山域への入山には経験者との同行が良いでしょう。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/04/d20030425c.html
明日からは、栂海新道
2003-04-25
上高地ビジターセンターにて 03.4.24
昨晩自宅に戻ったばかりですが、明日は早朝から3泊4日の予定で栂海新道へ行って来ます。
昨年も「さわがに山岳会」の小野 健さん達の“除雪山行”に連れて行ってもらったのですが、今年も同行させて頂くことになりました。
しかし、お昼から出発して1日目は白鳥小屋に泊まった昨年と違って、今回は初日に犬ヶ岳の栂海山荘まで一気に行ってしまおうという計画なので、正直言って私は内心穏やかではありません。
皆さんには「実力に合った山行を」と言っておきながら、4日分の食料その他諸々を背負って登るのは、かなりハードだと承知しているからこそ、小野さん達と歩けるだろうか不安で一杯です。
しかし、今の時期に自分の心にも肉体にも少々の負荷をかけなくてはいけないという思いで、行って来ます。
また、朝日岳に続く道のりの様子を自分の目で確かめたくて…頑張って来ます!
また数日間、日記が書けませんがよろしくお願いします。
皆さんの山行情報も、ぜひ掲示板に載せて下さいネ。
では、行って来ます!!
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/04/d20030425d.html
今年も、春の犬ヶ岳へ!!
2003-05-01
犬ヶ岳から眺める朝日岳方面 遠く剱岳も望める 03.4.28
行って来ました!今年も、春の犬ヶ岳へ!!
4月26日〜29日までの3泊4日で、栂海新道を開拓し整備を続けていらっしゃる「さわがに山岳会」の小野 健さん他、関係者の皆さんの“栂海山荘除雪山行”に同行させて頂きました。
今回のメンバーは、初日から参加が小野 健さん、相澤さん、シゲノブさん。一日遅れで伊藤さん、ひとみさん。そして写真家の森下 恭さんと私。計7名。
車は、坂田峠下で通行不能(大きな立ち木が根こそぎ道路に横たわっていた)でしたので旧道の入口付近に止めて歩き出し、坂田峠に取り付きました。
恵振山の急坂を知っている我が身にも、“金時坂”は登るたびに試練の連続の急登なのですが、その坂はいつも以上に私を苦しめました。
今回は、「とにかく辛い。。。」
17キロ近い荷物は肩にズシリと重く、「帰りたい。。。」
それでもどうにか小野さん達には遅れ遅れながらも、坂田峠下の歩き初めから4時間程でようやく白鳥小屋に辿り着くことが出来ました。
そして実は、出発前の日記で「初日に一気に栂海山荘まで行く予定」と書きましたが、26日は早々と午前中に行動を中止し、5人で白鳥小屋に泊まりました。
初日はどうにか雨こそ降らなかったものの、私など歩行に支障が出るほどかなりの強風が吹き荒れました。午後からの天候に回復の兆しが見られなかったこともあって、白鳥小屋以南の犬ヶ岳までの行程を考えると、遅足の私が同行していたのでは到着がかなり遅れるだろうという判断になり、予定を変更することになりました。小野さん達にはご迷惑をかけたことになりましたが、山行全体を終わってみれば、賢明な判断だったと言えるかもしれません。
ちょうど白鳥小屋で、後ろから登って来た高校のパーティーと一緒になりました。
「あれっ!?」…そう、我が地元朝日町の泊高校山岳部・男子パーティーのみんなでした。4月に入った新人の歓迎山行だそうです。付き添いの先生の顔を見れば私のご近所の先生で、またいつもお世話になっているお肉屋さんのご主人や、娘の同級生もOBとして同行していたり。(とてもローカルな話でした・笑)
お天気も悪かったので、ゆっくりお昼を食べてからはゴロゴロしました。私は徳本峠へ行って来てから間なしの参加でしたし、また森下さんも夜行列車での移動でしたので、疲れていたのでしょうか、明日に備えて鋭気を養うにはちょうど良かったかもしれません。
白鳥小屋周辺は、小野さんによると残雪は例年並み。3月に何度か降雪があって、もっと雪は多いのかと思いましたが、私達の山行直前には雨などの影響でかなり融けた様子でした。
しかし、積雪量は少ないという訳ではなく「トイレ」は未だ頭も出していないという状態ですし、“シキワリの水場”(未だ雪に覆われている)から上部では天候の悪い時にはくれぐれも道迷いに注意して下さい。
白鳥山ではイワウチワやカタクリも一斉に咲き始め、連休後半は好天に恵まれれば沢山の人たちが上山されると思います。“芽吹きの春”を感じ、また北アルプスを間近かに見るとてもステキな山ですから。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/05/d20030501a.html
好天に恵まれ、栂海山荘まで
2003-05-01
さわがに山岳会・小野 健さん
そのしっかりとした足取りと、栂海新道にかける情熱に敬服 03.4.27
白鳥小屋で一晩ゆっくり休んだら栂海山荘まで歩く元気も戻ってきたようで、27日は私達の行く手で迎える犬ヶ岳が残雪にキラキラと輝く素晴らしい好天に恵まれました。
しかし。。。昨年も除雪山行に参加させてもらっている私は、この先の行程がどんな大変かを知っているだけに(苦笑)、好天と山並みの素晴らしさに感激しているばかりではすみませんでした。
「とにかく、今日は皆さんの足を引っ張らずに頑張って歩かなくっちゃ!」そんな不安に満ちた“悲壮”なまでの思いを(チョッと大袈裟?・笑)隠して、栂海山荘までの今日の行程が始まりました。
昨年同様、とにかく登っては下り、下ったと思ったらまた登る…。
『栂海新道』は、皆さんご存知の通り「朝日岳直下・蓮華温泉との分岐・吹き上げのコル〜親不知・日本海」です。
その全行程の中で、何処が一番大変で辛いかと言えば、季節や天候を問わずそれは「犬ヶ岳〜白鳥山」だと私は思っています。もちろん白鳥山〜親不知も、標高が低いだけに夏の間は暑さとの闘いを強いられます。がしかし、道のり自体の大変さは、やはりいくつものピークの登り降りを繰り返す「犬ヶ岳〜白鳥山」ではないでしょうか。朝日岳から来た場合も、親不知から登った場合も。
そしてその行程が雪で覆われている今の時期の行動は、雪庇の張り出しや急斜面の歩行を考えると、いつも以上に地形の熟知が要求され、また慎重な歩行や技術などの経験が求められます。この時期、白鳥山へ登る登山者の数に比べて、栂海山荘まで足を伸ばす登山者の数が断然少ないのはそういう困難さもあると思います。私も小野 健さん達が同行して下さるからこそ行ける山なのです。
急斜面の斜度は、一帯どの位あるでしょうか。夏道であればひどくなったら立ち止まることも容易ですが、急な雪面ではそれが叶わない時が間々あります。傾斜の急さに足が止まってしまいそうになりながら、それでも一気に登りきってしまわなければいけません。
雪面を登り降りする際の“キックステップ”は、疲れた足にはかなり堪えます。また急斜面での緊張の連続は、息を呑んだり殺したり、大きく吐いたり…。ふうーっっ…。
それでも昨年の経験が利いたのか、道のりが判っていたので覚悟が出来ていたからか、予定通り無事栂海山荘に到着することが出来ました。
今年の栂海山荘周辺の残雪も、思ったより多くはなく昨年並みでしょうか。「除雪山行」と言いながら、昨年同様、雪の中から小屋を掘り出す作業は皆無。
一日遅れて坂田峠から一気に上って来たのは、伊藤さんとひとみさん。そして“特別参加”は、私の日記の中にも時々登場される「いりやま岳友会」の平石さんと白沢さん。
栂海山荘の夜は、美味しいご馳走を頂きながら楽しい語らいの中、満天の星空と青海町や朝日町の街の灯かりに彩られて、遅くまで更けて行きました。そして翌日の黒岩平までの“お散歩”を楽しみにしながら、日中の布団干しでポンポンと軽くなった毛布で、ぐっすりと〈おやすみなさい…〉
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/05/d20030501b.html
黒岩平まで
2003-05-01
威風堂々、初雪山 03.4.28
「今年も、黒岩平へ“お散歩”に」…前日同様、ぬける様な青空に誘われて黒岩平まで出掛けることになりました。
黒岩平まで行けば、朝日岳も朝日小屋ももうすぐそこ…そんな想いを胸に、歩きました。栂海山荘〜黒岩平までは、前日の行程に比べれば少し気持ちにゆとりが持てるかもしれないので、結構私の中ではルンルン気分(!?)でした。
大きくどっしりと横たわる初雪山や白金の頭、そして僧ヶ岳や毛勝三山、遠くには大日岳に続く立山や剱岳の山並みがキラキラと輝いています。そんな眺めを存分に味わいながら、細尾根・痩せ尾根を上下しつついくつかのピークを越え、さわがに山山頂へ。
自然の造形や雪の造形が、あちらこちらで見られます。
それを眺め、「キレイだねぇ…、ステキだなぁ…」と感心するひとみさんや私。
40年間、栂海新道の自然を記録していらっしゃる小野さんはシャッターを押し続けます。
また、20年以上前に一度訪れて以来、今回久し振りに栂海新道を歩いた写真家の森下さんは、いつになく積極的に(失礼!?)“仕事”をされている様子。
足跡ひとつ無い黒岩平は、まさに「別の世界」を演出して私たちを迎えてくれました。まだまだ芽吹きには早いそこには、風雪に耐えたダケカンバやシラビの姿だけが目立つのみでした。
黒岩平まで行ってしまえば、本当に朝日小屋はもうすぐそこ…。そんな気持ちの昂ぶりと切なさは、ドキドキする鼓動となって他の人に聞こえてしまわないかと思うくらいです。
いつか、黒岩平に一面に咲くというミズバショウの群落を見てみたいのですが、やはり小屋の管理人をしている以上、お花が一番ステキな時期に黒岩平へは行けないだろうというのはとても残念で仕方ありません。でも今の時期に小野さん達に連れて行ってもらえるのも、また小屋を通じて小野さんと知り合えたからと思い直し、後ろ髪を引かれる想いで黒岩平を後にしました。
今年もまた多くの登山者の皆さんがこの地を訪れ、その“楽園”の姿に熱い想いを感じてくださることと思います。そのかけがえのない自然をいつまでも大切に…シーズンを前にして、そう願わずにはいられません。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2003/05/d20030501c.html