- 色付く、コバイケイソウ 12.9.4
好天に恵まれ、久々に夏山らしく登山者の皆さんで賑わった7月8月が過ぎ、ようやく落ち着きを取り戻した朝日岳周辺。
そして、この後小屋閉めまでの9月~10月は、特に平日ともなればご予約もめっきり減ってくる朝日小屋です。ご予約ゼロの日も、珍しくはありません。
当たり前の話ではありますが、これから先の時季は、日の出時刻が遅くなり、また日の入り時刻が早くなる、そんな頃です。
夏の間なら早朝4時から歩き出してもすぐに明るくなりましたが、冷え込みもありますから、どうしてもこの先は、やはり朝も5時を過ぎてでないと歩き始めるのが難しくなってくるのではないでしょうか。
また小屋への到着が少し遅れても気分的に楽だった夏山と違い、今は午後も3時を過ぎれば何となく日暮れが近付いて心細くなるような、そんな秋山の頃となりました。
つまり、当然ながら「楽に歩ける時間」が夏に比べてぐっと短くなってくる、そんな時季がやってきています。
ですから、9月10月にこの山(朝日岳周辺)を歩こうとされる皆さんは、それ相当の『山の力』をお持ちの方々が、静かな北アルプス最北の山を楽しもうと、しっかりとした計画を立てて訪れてくださることが多くなります。
この山域…
白馬岳から朝日岳、また蓮華温泉から朝日岳。
そして栂海新道。そして北又から。
どこを歩いても途中には営業する山小屋がなく、どこへ向かっても、またどこから来ても、次の小屋まで7時間から8時間以上を要するというロングでハードなコースです。
この山域、朝日岳周辺のこの一帯をぐるりと登山するだけであるならば、岩稜を登る登攀の技術や、ザイルワークもさほど必要ではないのかもしれません。
しかし秋から初雪も予想されるこれからの時季、もしかしたら行き交う人もいない、「誰にも出会わない」かもしれないロングなこのコース。
長い距離と時間を、しっかりした足取りで歩く体力と脚力。
そして特にこれからの時季には、
いざという時に必要な、身を守るための山の知識と技術も必要になってくるのではないでしょうか。
楽しむのも山、挑むのも山、そして求めるのも、また山なのでしょうか。
でも、「無理」と「無茶」はいけないと思います。
また、体調管理を怠ったままでの歩き出し、また心配事や考え事を持ったままの山歩き、これは時と場合によってはその判断を誤らせ、重大な事態を引き起こす要因にもなりかねません。
山は、いつも危険と隣り合わせ。
山を舐めてはいけません。
遊び心も大切にしつつ、真剣に山と向き合う時、山もそして自然も、きっと私たちに応えてくれるのだと思うのです。
山や自然の前では「いつも謙虚であるべき」、と私は思うのです。