北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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台風10号の影響

2003-08-09

風が強くなる前に、大急ぎで全部の囲いを    03.8.8

 風が強くなる前に、大急ぎで全部の囲いを    03.8.8

 大型の台風10号の影響は全国的に被害甚大だったようですが、皆さんの地方では如何でしたか?
 心配した皆さんからも、お電話やメールを頂き有り難うございました。
 只今の時刻、午後5時半。午後からは強い雨がずっと降り続いていますし、今は風もかなり強くなって来ました。
 台風が直撃した北陸地方ですが、朝日岳周辺の山岳地帯では昨晩からかなり強い風が吹き荒れました。
 昨日は午前中からいろいろと「台風対策」を施しましたが、夜7時前の気象情報を聞いているうちに「ゆかりさん、小屋閉め用の囲いした方がいいんじゃないですか!?」ということになり、それから男子総出で2時間近くかけて小屋と向かいのセンターに冬(夏?)囲いをしました。
 お陰様で、昨晩は夜から真夜中・朝方にかけて私なんか吹き飛ばされそうな強風が吹いたのですが、自炊室をはじめ飛ばされそうな箇所は全部補強してありましたので、“被害”はありませんでした。
 
 でも、正直言って営業的にはかなりの“打撃”を受けました(苦笑)。
 ちょうど週末でお盆前の賑わいも予想されましたが、早くから「直撃」の予報もありましたし、昨日・今日・明日と3日間の分はキャンセルが続出でした。
 まあしかし、このお天気ではやむを得ないですね。やっぱり自然の力には勝てません。

 この後、「台風一過」で青空がやってくることを願っています。

小屋の中でも気を付けて!!

2003-08-10

今年の大好評!  朝日小屋オリジナルバンダナ

 今年の大好評!  朝日小屋オリジナルバンダナ

 実は。。。
 台風10号が富山県地方に最接近していた、昨日のちょうどお昼前。朝日小屋では大変な事態が起こっていました。
 8日に白馬岳からかなり遅い時間にご到着の5人パーティーがあったのですが、9日は台風が来ていたので朝日小屋で“沈殿”。県内が今まさに暴風雨域に入っていたその頃。。。
 「ゆかりさん!お客様が!!」
 見ると、足を踏み外して階段から滑り落ちたお客様の、左手の掌がぱっくり口を開けて血が出ているではありませんか!
 詳しいことは余り書けませんが、とにかく前日長時間歩いていらっしゃった疲れから、ご本人はかなり足がフラフラで踏ん張りが利かなかったようです。昨日は台風対策で冬囲いをしていたので小屋の中はただでさえ薄暗く、また日中発電機が止まっているので、かなり足元が見え難かったのもあったのですが…。
 とにかく電話で整形外科のY先生の指示を受けながら、他のお客様の協力で止血をしました。しかし、70歳を越えた年齢、朝の話し合いの時点からすでに自分の荷物も自分で持てないような状況にあって、小屋にサポートを要請されていた事を考えると、翌日の自力での下山はかなり難しいのではないかと判断されました。
 その後、県警山岳警備隊との話し合いで、風雨が少し沈静している一瞬の隙を狙って、県警ヘリ「つるぎ」が出動しました。
 今なら大丈夫と思っていたのも束の間、あっという間にガスが湧きあがり雨も強くなって来て、「いくら県警のヘリでも、もう飛べないのでは…」という悪天候の中、「つるぎ」が朝日平のヘリポートに着陸しケガ人を収容していきました。
 まさか、小屋の中で事故が発生するとは。。。
 もちろん、小屋の管理人としてはこちらの責任も免れないかもしれませんが、とにかく小屋の中でもいろいろありますから、十分気を付けて頂きたいと思います。
 行動中はもちろんのこと、特に小屋に到着されてからはホッとして身体の疲れがドッと出るのかもしれません。
 小屋の中では、ちょっとした段差があったり急な階段だったり、決して“バリアフリー”になっているわけではありませんから、私たちも出来る限りの善後策は考えていくようにしたいと思いますが、くれぐれも注意されますようお願いいたします。

青空の下

2003-08-10

台風一過の青空が広がり、雪倉岳・白馬岳・旭岳がくっきり

 台風一過の青空が広がり、雪倉岳・白馬岳・旭岳がくっきり

 今朝は早朝の時間帯はガスッていたのですが、掃除を始めた7時頃からはご覧のような雲ひとつない青空が広がり、まさに「台風一過」。
 台風で待たされたお客様も順調に足を運んで下さいました。
 孝太とひろクンが明日の“ボッカ”の為に午後から北又へ下り、またしばらく“居候”して手伝ってくれたメグちゃんも下山しました。夕方遅くには飛び込みのお客様があって、少しバタバタしたりもしましたが、今日の仕事もようやく終わりました。
 やっぱり、青空が一番です!!

みんな、スゴイ!!

2003-08-11

今日の『ボッカ組』は、孝太とひろクン   

 今日の『ボッカ組』は、孝太とひろクン   

           雨の中、卵その他を担いで頑張りました!
 今でも山小屋に「ボッカ」は“つきもの”だと思っている(私を含めた)朝日小屋関係者、でも昨今の各山小屋では諸々の事情からヘリコプターでの荷揚げが頻繁に行なわれているようです。
 しかし悲しいかな、あまり規模の大きくない朝日小屋では、荷揚げは(基本的には)6月中旬の小屋開けの時と、7月上旬の本格荷揚げの2回が予定されているだけです。
 昨年のように好天が続き、計算が合わなくなって(一応、全てに於いて私なりの計算はしているのですが…苦笑)いろいろ足りない物資が次々に出てきた場合には予定外にヘリを飛ばすこともありますが、そんなシーズンは稀ですね。
 今年は天候が不順で、今現在やはりお客様はかなり少な目です。でも、それなりに足りなくなってきた荷物も出て来ました。卵はもちろんのこと、自家製野菜や生鮮食品、天ぷらの材料や調味料類などなど。
 う〜ん、でもヘリを飛ばすほどではないし。。。
 昨年は7月の最盛期に遭難や事故が続発して、男の子達はそれの対応に追われてボッカどころではなく、そのうち足りない物資も次々出てきて7月末にも一度ヘリを飛ばしたのですが、今年は『朝日小屋・ボッカ組』のみんながスゴク頑張ってくれています。
 7月末の山ちゃんとひろクンのボッカを手始めに、よっしー(単独)、哲也とひとほ組、哲也の7合目途中からのボッカと続き、今日は孝太と“リベンジ”ひろクンの組が頑張ってくれました。
 北又からのボッカはかなりキツイので、いつも私としては20キロそこそこの荷物で、と思っているのですが、今年の『朝日小屋・ボッカ組』はみんな30キロ前後の荷を担いでくれています。
 8月6日には、哲也が40キロ、ひとほが35キロの荷物を担いで登って来て、みんながビックリしました。
 もちろん若いからといっても身体が一番大切ですから、管理人としては無理をさせるつもりはありませんが、でも若いからこそ頑張れるのでしょう。みんなボッカして小屋に着いた時の顔は本当に晴ればれしていますし、小屋で待っているみんなも、驚きと尊敬の笑顔で迎えています。
 
 実は…
 今日は急遽、祥慈が北又へ下がって、明日の午後からボッカして来ることになりました。今回、お客様の夕食にお出ししているデザートの「オレンジ」の傷みが早く、どうしてもお盆で忙しくなる前にボッカする必要が出てきたからです。
 少々不安そうな顔をしながらも、ひろクンから「ボッカの極意」らしき諸々をいろいろ伝授してもらって、今日の午後から彼は一人で北又への道を走り下りて行きました。
 
 苦しくて辛い「ボッカ」。でも朝日小屋の若者達は、その大変さを通して、きっと何かを掴んでくれているように思います。
 祥慈も、明日はきっと頑張ってくれることでしょう。みんなが待っています。

今日はみんなで「ピクニック」!

2003-08-13

とってもひょうきんな3人組  

 とってもひょうきんな3人組  

     左から よっしー・ひろクン・祥慈    

      よっしーが持っているのは、草刈り機  山頂にて
 北アルプス最北端・朝日岳の夏はとても短く、立秋を過ぎて朝晩は肌寒い風が吹いている今日この頃です。
 小屋が混雑するのも、7月「海の日」辺りから8月お盆まで。本当に一ヶ月間だけの、短い短いシーズンです。
 そんな中、そろそろアルバイト(短期)のみんなが下山する日が近づいて来ました。
 お盆の14・15日を過ぎてしまうと17日には哲也・祥慈・ひとほ、18日にはあやかが下山。そしてその他のメンバーも、最後まで残る孝太と山ちゃん以外はボチボチと山を下りる予定です。
 そこで今日は、みんなで恒例の「ピクニック」に出掛けることに。
 昨日26キロのボッカをして登って来た祥慈や、昨夜遅くなってもお着きにならないお客様を迎えに行って夜9時頃やっと小屋に戻って来て疲れているはずの山ちゃんとよっしーも参加。全員で“照葉の池”まで遊びに行きました。
 みんなで頑張って部屋の掃除を済ませ夕食の準備も少しして、おにぎりを作りラーメンを持って、さぁ出発!!
 夕食の準備に間に合うように、午後2時にはみんな小屋に戻って来ました。
 残念ながら、今日私はお留守番。。。チョッと淋しかったけれど、若いみんなの楽しそうな喜ぶ顔が見られて嬉しかったです。
 忙しい間は、どこへも遊びに出掛けられないのは、山小屋生活の“哀しい定め”でしょうかしら…私も早く歩きた〜い!!(何しろ、今年はまだ山頂へも行っていないのですから・苦笑)
 みんな、ひと夏の楽しい想い出ができたでしょうか。

蓮華温泉方面の残雪状況

2003-08-13

吹き上げのコルから蓮華温泉方面にかけて

 吹き上げのコルから蓮華温泉方面にかけて

 「ピクニック」の帰り道、蓮華温泉方面の残雪状況をチェックし、整備をしてくるよう頼みました。
 8月のこの時期に未だこんなに雪が残っているのは、本当に珍しいことです。
 雪もかなり堅く締まってきています。朝早い時間帯や、お天気の悪い日などでは、雪が氷のようになっているようです。
 雪渓上を歩かれる場合には細心の注意を払って、くれぐれもスリップによる転倒や滑落に気をつけられますよう、お願い致します。

今年は、まだまだお花が楽しめます!!

2003-08-14

雨に濡れて、ニッコウキスゲ

 雨に濡れて、ニッコウキスゲ

 旧盆に入ってからも何となくぐずついたお天気で、スッキリした青空が望めない予報が続いていますネ。本当に、今年は「夏」が来ないままにシーズンが終わってしまいそう。。。
 
 でもでも…朝日岳周辺では、今もいろんな花が登山者の皆さんを楽しませてくれています。
 いつもの年なら、雪融け直後から百花繚乱に咲き乱れる花たちも8月中旬になるとそろそろサミシクなってきて(もちろん、何時いらっしゃってもいろんな花に出逢えるのですが)、そのうちに初秋の花が私達の目を楽しませてくれるようになるのですが、今年はいつもの年とかなり様子が違っていて、お客様たちもビックリされています。
 お客様が口々におっしゃるのは、「本当に、未だ花はイイですねぇ。今の時期縦走路を歩いて、こんな夏の初めの花や盛夏の花、そして秋の花が一緒に見られるなんて!本当に感激しました!!」
 小屋の周りでは、今も未だチングルマやハクサンコザクラ、コイワカガミが咲いているんですョ。
 それから、イワショウブ・ハクサンイチゲ・イワウチワ・クルマユリ
・キンコウカ・シナノキンバイ・ウサギギク・ミヤマキンポウゲ・ミヤマコゴメグサ・ヨツバシオガマ・カライトソウ・シモツケソウ、ハクサンシャジン…ちょっと小屋の周りを歩いてみただけで、本当に沢山の花たちに出逢うことができます。
 前朝日岳の雪渓はこの間からの雨でかなり融けましたが、それでも未だ残っています。いつも同じ場所に咲くヒオウギアヤメは、寒かったせいでしょう、未だ草丈も短くて花も固い蕾のまま。ちょっと淋しい感じがします。
 
 せっかくの旧盆のお休みも、どうやら余りはっきりしないお天気のまま終わってしまいそうで残念なのですが、もし遅い夏休みが取れそうだという方がおいでになりましたら、こんなチャンスに朝日岳を訪れていらっしゃいませんか!?
 山は静か、小屋も静か(微笑)、そしてたくさんの花たちが迎えてくれる…チョッと贅沢な時間が待っているような、そんなワクワクした予感がしてきます。

テント場の横では

2003-08-14

テント場のすぐ横では、今ヨツバシオガマの群落が見事です。

 テント場のすぐ横では、今ヨツバシオガマの群落が見事です。

 
 私も少しですが、やっと小屋の周りの花を眺めてみようという余裕が出てきたようです。(苦笑)
8月15日(金) 小屋開けから2ヶ月、今シーズンの折り返し点
 今朝の朝日平
    未だ、前朝日岳には雪が残っています。
 6月15日に今シーズンの小屋開けをしてから、今日でちょうど2ヶ月。10月13日の営業終了、10月15日の小屋閉めまで、あとちょうど2ヶ月。
 今年の山小屋生活もちょうど半分が過ぎました。
 ナンダカンダ言っても、本当にあっという間の2ヶ月間でした。
 昨日と今日は、お盆休みを利用しておいでになった皆さんで小屋も少し賑わいましたが、朝日小屋の夏山シーズンは、“実質”今日で終わり。明日からは再び、平日はもちろん、週末も殆ど混まない『静かな朝日小屋』です。
 
 今朝、しばらく振りに小屋の周りを少し廻ってみました。「バンザイの丘」から小屋をぼんやりと眺めていました。
 『う〜ん、いいなぁ…(!?)』
 ゴメンなさい、自画自賛です(笑)。
 
 管理人3年目も、折り返し点に来ました。この後の2ヶ月間、まだまだ頑張ります!!