北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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2003-07-31

水平道の様子  その1

 水平道の様子  その1

 哲也達が撮って来たデジカメ写真を見てみると、昨年と比較した雪の残り具合・融け具合は、『約2週間程は遅れているのではないか』と思われます。しかし、この後晴天も続くようですので、夏の暑い陽射しが戻ってくれば、一気に雪も融けるのではと思いますが、白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳〜蓮華温泉のコースを予定しておられるお客様は、詳しいことは朝日小屋にお問い合わせください。
 ただ7月中旬以降、数百人のお客様がこのコースを通っていらっしゃいますので、決して「危険で通れない」ということはありませんし、その都度小屋からも登山道の点検に行きますので、万全の対策を立てられた上での通行に関しては何ら問題ない事も、重ねてお知らせしておきます。

水平道の様子  その2

2003-07-31

これは、水平道の鎖場付近に残っている雪の状況です。

 これは、水平道の鎖場付近に残っている雪の状況です。

 様子を確認後、雪をカッティングし歩き易いようにしました。
 しかし、通行にあたってはくれぐれも慎重に渡っていただくよう、お願いいたします。

事故発生!!

2003-08-01

朝日平のヘリポートで古崎分隊長をピックアップし、

 朝日平のヘリポートで古崎分隊長をピックアップし、

        そのまま現場に急行する富山県警ヘリ「つるぎ」

 今日の午前中朝日岳周辺で事故が発生し、小屋の関係者も半日バタバタしました。
 昨日朝日小屋にお泊りになった5人グループの女性リーダーが蓮華温泉へ下山中、八兵衛平から五輪尾根の下り、樹林帯の中の木道で足を滑らせて転倒、同行の方が携帯電話の通じる場所まで移動して連絡して来られて、朝日小屋に第一報が入りました。
 すぐさま入善警察署と連絡を取り、現場に向けて哲也と孝太が出動。週末の警備の為上山中の古崎分隊長(その時は未だ恵振山5合目を通過中)も、大急ぎ(本当に走って登って来られました)で朝日小屋に向かって駆けつけ、その後現場へ急行するという態勢が取られました。
 ガスで周りの視界が50〜100mという中、人力での搬送も予想されましたが、一瞬の晴れ間をついて県警ヘリ「つるぎ」が出動。そして昨年まで朝日岳方面遭対協の隊員だった哲也の的確な誘導や、偶然居合わせた長野遭対協の常駐隊員の方の協力などもあり、間一髪ヘリコプターでの吊り上げ(金山式バンドを使用)に成功しました。
 現場では捻挫だと思われた負傷者の怪我でしたが、病院に収容後全治2ヶ月の骨折と判明しました。
 
 哲也と孝太がパーティーの残りのメンバーに付き添って小屋に戻ったのは、午後の3時前。哲也と孝太が抜け、他のメンバーも大変だったと思います。私は私でずっと無線や電話での連絡に追われ、週末の混雑と重なって、小屋の中はしばらくバタバタしました。
 
 昨シーズンは7月中に木道での転倒事故が続発しましたが、今年は事故や遭難がなく(正確には2件ほどいろいろありましたが)安心していた矢先の今回の事故です。
 ホンの少しの不注意や油断も、山では大きな事故に繋がる場合があります。注意しても、し足りないということはないのかもしれませんネ。

忙中閑あり…「食事」編

2003-08-02

夕陽を見ながら、外で楽しく夕食の時間    03.7.31

 夕陽を見ながら、外で楽しく夕食の時間    03.7.31

 『ゆかりさん、今日の夕食は外でしてもイイですか!?』
 7月31日の夕方、その日はみんなが頑張って早目にお客様のお夕食が全て終わり、お弁当も作り終えて明日の朝食の用意も整って、さあそろそろ身内のご飯…と思っていた頃、厨房から誰かが私に聞きに来ました。
 「えーっ!?」と言いつつも、ソワソワしているみんなの様子に私も即答・OKせざるを得なくなりました・笑。
 そうなんです、ピクニック気分での外での食事は誰だって楽しみですし、特に夕焼けを眺めながら外でみんなで食べる食事は、そんなにご馳走がなくたって、嬉しくてしょうがないのでしょう。
 31日は、北又から山ちゃんとひろクンがそれぞれ30キロ近い荷物を“ボッカ”して来ましたし、哲也とひとほが鉢ヶ岳の巻き道まで行って一日掛かりで作業をして夕方やっと戻って来たのです。そして残ったメンバーも、留守を預かってそれぞれの持ち場で大奮闘しました。
 そんなことがいろいろあって、アルバイトのみんなのチームワークも良くなり、仕事もスムーズに捗るようになって来ました。つい2週間前までは全く知らなかった者同士が、狭い小屋の中で一緒に働きながら、寝起きを共にし、そして同じ食卓を囲んでいます。その連帯感は、ホント見ていて気持ちがいいですネ。
 私達がワイワイとやっているのを見ていたお客様が、「いいねぇ、若い子達の嬉しそうな顔は!」と話していらっしゃいました。
 この若い力で、朝日小屋は8月も頑張りたいと思います!!

忙中閑あり…「遊び」編

2003-08-02

今日の午前中、休み時間に

 今日の午前中、休み時間に

 今朝は、お客様の朝食を早朝4時半からお出ししました。
 昨日は週末で人数も少し多目でしたし、皆さん早くから食堂前に並ぶということでしたので、みんなが話し合って朝は3時半に起き、朝食はいつもより30分早く始まりました。
 そんな疲れているだろう中でも、今日の午前中の休み時間には誰が言い出したのか『朝日小屋大縄跳び』を決行。パトロールに入山中の古崎分隊長も加わって、それはそれは楽しそうでした。
 山の上では、「何でも遊びに換えてしまう」そんな不思議な力が必要なのかも!?…笑

『雪倉岳避難小屋』の利用についてのお願い

2003-08-04

雪倉岳避難小屋のトイレ・新品の便器    03.7.31

 雪倉岳避難小屋のトイレ・新品の便器    03.7.31

   
 先日、哲也とひとほが鉢ヶ岳まで作業に行った時に、雪倉岳避難小屋のトイレの便器を新しい物と交換して来ました。利用される方々には、くれぐれもキレイに使って頂くことをお願いいたします。
 
 さて、雪倉岳避難小屋の利用について登山者の皆さんにお願いいたします。
 
 この避難小屋は、建てたのも所有しているのも富山県であり、私(朝日小屋管理人)がその管理を委託されているものです。その昔には、アルバイトの学生を交代で“派遣”していたこともあります。
 そこでこの建物の利用についてですが、もちろん公の建物で避難小屋ですから、登山者の皆さんには有効に活用していただく事を希望します。実際、白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳の長い縦走路の途中に、あのような避難小屋があることは、登山者の皆さんにとっては誠に有り難いことだと思いますし、万が一の緊急避難の場合には大変心強いのではないかと思っています。
 雪倉岳避難小屋は、その宿泊についての利用目的としては『あくまで、緊急避難用の建物である』ことを強調しています。
 一方で近年この建物を、『初めから、簡易宿泊所として利用する目的で泊まる。あるいは、初めからその予定で山行計画を立案する』登山者の方がいらっしゃる事を耳にします。時々電話でのお問い合わせを頂くこともあります。
 しかし、ご存知の方も多いと思いますが、雪倉岳避難小屋はそれ程大きな建物ではありません。入口に1畳程の土間があって、半畳程度のトイレがすぐ奥にあります。勿論、小屋の中に水場はありません。寝泊りできる場所としては板の間が2つありますが、それ程広いとはいえません。
 その狭い避難小屋を、初めから宿泊施設として利用する目的でいらっしゃる方達が数パーティーもいたとして、もしもの場合に緊急避難してきた登山者の皆さんと一緒になった時には、狭い小屋の中が混雑し大変なことになるのは明らかです。
 
 また私が一番懸念するのは、避難小屋を初めから利用する目的の方々の山行計画です。
 中部山岳国立公園内及びその周辺地域においては、各利用に当たっての厳しい制限がされていることは皆さん周知のことですが、特にキャンプは、指定されたテント場以外での「指定地外幕営」を厳禁しています。
 それは、貴重な高山植物をはじめとする「自然の保護」を目的としてはっきりと定められています。
 しかし、どうも雪倉岳避難小屋を初めから宿泊予定地として行動されている方々の中には、指定地外での幕営を“平気”“許される”と思っていらっしゃる方もいるのではないかと思われるような節が時々あります。
 例えば、白馬連山を縦走し栂海新道で親不知までを貫ける場合、村営天狗山荘付近で幕営した場合、次は白馬岳のキャンプ場ではなく雪倉岳避難小屋泊まり。するとその次は、時間的にも短いので朝日小屋のテント場まで降りて来なくても、そのまま朝日岳山頂を通過して黒岩平付近での「指定地外幕営」となります。
 栂海新道の黒岩平付近はもちろんのこと、白馬岳・雪倉岳・朝日岳周辺には、大変貴重な高山植物が何処と言うことなく一帯に残っていますので、「指定地外幕営」はくれぐれも厳禁です。
 
 また時々お問い合わせの中で、「白馬岳から朝日小屋は長いでしょ!?だから途中で泊まりたいと思って計画しているんだけど…」というようなお話もあります。
 しかし、“1泊2食お弁当付き”の小屋泊まりのお客様が、行程が長いというだけの理由で避難小屋に宿泊される場合、シュラフの他にも、ガスやコッヘルなどの燃料や道具、食料等など、一式を担いで行動するというのは初めから無理ではないでしょうか。
 それなら、夜明けと共に行動し、コースタイムの1.5倍位の行動時間をみていらっしゃるのが賢明だと思います。それでも白馬岳を早朝5時前に出発すれば、皆さん(遅くとも)大体3時過ぎ〜夕方4時には朝日小屋に到着されているのですから。
 
 また、雪倉岳避難小屋の前及びその付近では、幕営は禁止されています。ですから、「小屋が人でいっぱいだったから、その前でテントを張りました」ということが無いよう、重ねて「初めから宿泊場所として予定する」ということがありませんよう、よろしくお願いいたします。

 最近の山岳雑誌の中で、「避難小屋利用で、快適な山歩きを」というような記事を見かけて、雑誌社の方に“文句”を言ったことがあります(苦笑)。 
 ハイシーズンの山小屋での超混雑を避けたいのは、誰だって同じです。でも、避難小屋はあくまで緊急避難用として利用されるよう、お願いいたします。
 朝日小屋から雪倉岳避難小屋は遠いので、頻繁に行って清掃したりということはかなり難しいのですが、出来るだけ管理も徹底したいと思っていますので、登山者の皆様のご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

「蓮華鉱山道」について

2003-08-05

鉱山道の鉢ヶ岳分岐点    02.9.10  

 鉱山道の鉢ヶ岳分岐点    02.9.10  

 3日(日)に蓮華鉱山道を歩いたシュンちゃんから電話が掛かって来ました。「ゆかりちゃん、鉱山道行って来たよ!」…そういえば、山の歌さんからも掲示板に書き込みがありましたネ。
 昨年秋にこのルートを歩いている私ですが、この時期の、お花が咲き始めたばかりの静かな鉱山道を歩いてみたいとの想いは強く、正直言って、近くに居るのに(?)行けない私にはとても羨ましかったです・笑。
 
 ところで、蓮華鉱山道についての現在の情報がシュンちゃんから入りましたので、少しお知らせしておきます。
 元々このコース(蓮華温泉〜鉢ヶ岳分岐)は、歩かれるお客様が極端に少ないルートです。昨年9月の管理人日記にも書きましたが、いわゆる一般ルートではあるかもしれませんが、しかし誰でもが行けるコースではないように思われますし、「健脚向き」であり、また雪融け直後にはルートが不鮮明な箇所もあります。
 今回シュンちゃん達が歩いた日曜日は、お天気も良く視界良好、ベンガラなどでマーキングしてなくても道に迷う事もなく歩けたとのことでした。
 シュンちゃんと一緒に何度か他の山を歩いている私、彼がどれ程の“実力の持ち主”であるかは、一応分かっているつもりです。もちろん地図も読めれば、コンパスを頼りに歩く事も出来るシュンちゃんの話に拠るところの、現時点での鉱山道の様子及び彼の感想ですが、
※ 20〜30mの距離での雪渓のトラバースが、3〜4箇所残っている。
※ 好天で視界が良好の場合は残雪があっても大丈夫だが、ガスったり雨が降ったりした場合には道迷いの不安も。
※ トラバースする箇所の斜面がかなり急に切れ落ちていて、尚且つ登山道の地盤が軟弱であり、また道幅が極端に狭い。
※ 行程がとにかく長い。健脚のシュンちゃん、山の歌さん、茜パパ・ママその他のメンバー(実はこのメンバー、とにかく強い!)でも、蓮華温泉〜鉢ヶ岳分岐までの往復だけで9時間以上かかっている。
※ 特に今の時期は、単独での行動は避けたほうが無難。

 そしてシュンちゃんが言いました。
 「このコースを楽しもうと思ったら、時間も掛かるし体力的にも、何処の入・下山ルートに使うというよりも、純粋に蓮華温泉〜鉢ヶ岳(雪倉岳)を歩いたほうがいいんじゃないかなぁ…」
 もちろんいつも話している通り、山は各人の責任ですし、各人の実力次第です。ですから、決して一概に「鉱山道は大変なルートです」とは言えません。しかし各ルートをコースタイム以下で歩くことが出来るような方でなければ、朝日小屋から一気に鉱山道を下りて蓮華温泉まで行ってしまおうか(逆コースも同じ)ということはかなり難しいように思われます。ただし、雪が殆ど融けてしまう秋は状況もまた違うと思いますが、時間が掛かることに変わりはありません。
 
 「静かだって聞いたし、荒らされていないからお花が綺麗でしょ!?」
 …それだけの考えでは、残雪の多い今年の、今の時期の鉱山道はかなり難しいということをご承知願いたいと思います。

茜ちゃん、上高地から日本海・親不知へ!!

2003-08-06

国際基督教大学ワンゲル部のステキな仲間達  朝日平で   

国際基督教大学ワンゲル部のステキな仲間達  朝日平で   

 「ゆかりさ〜ん!」「えッ、茜!?」
 昨日のお昼過ぎ、大学のワンゲル部のみんなと一緒に、去年のアルバイトの茜ちゃんが朝日平のテント場に到着!
 茜ちゃん本人から掲示板への書込みもありましたが、彼女はとうとう日本海まであと2日という朝日小屋までやって来て、陽に焼けたとても元気そうな顔を見せてくれました。
 7月22日に上高地から入山、約2週間かけて縦走して来た国際基督教大学ワンゲル部の面々。
 もちろん、今までにも様々な皆さんが同じルートを貫けていらっしゃいますし、その度に「スゴイなぁ!」と感心するのですが、今回は『あの、茜ちゃんが…』と思うとホントに何だか特別の想いがあります…。
 去年の8月下旬、アルバイトのみんなが2班に分かれて白馬岳まで1泊で遊びに行きました。茜ちゃんは孝太の班だったのですが、強風と激しい雨の中、大変な目に遭いながら白馬岳まで往復して来ました。その時の諸々を思い出すと、今でも彼女がワンゲル部に入ったのは不思議としか言いようがありません。
 とにかくフツウの女の子で、決して“山女”ではなかった彼女が、朝日小屋での経験を生かして(?)今年の3月に大学のワンゲル部に入部したと聞いた時には「エ〜〜ッッ!?」とビックリしました。
 そしてその茜ちゃんが、部の夏合宿で上高地から縦走して来るとの連絡を受けて、まるで本当の親のように心配していたのですが、ここまで立派に歩いた彼女の姿に私自身が感動しました。
 男子4名・女子4名のワンゲル部の仲間も、それはそれは爽やかな若者達ばかり!!今日は一日停滞して、小屋の手伝いもしてくれました。
 縦走中の行動を聞くと、毎日早朝3時起き・4時出発・夜7時就寝というまさに「早発ち早着き」の山歩きの鉄則を守り、全員くたびれた様子もなく元気いっぱいの若者達・8名。
 「ステキな仲間達が支えてくれて良かったネ!最後はチームワークだよ!」と言うと、茜ちゃんも感慨深げでした。
 日本海での“ダイブ”を叶えるべく、残り2日間、頑張って下さい!!