北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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「復活」…

2003-12-15

“100万ドルの夜景”よりステキだった、

 “100万ドルの夜景”よりステキだった、

         負釣山から見た、夜の黒部扇状地  photo by shun

 まっさらな新雪を踏みしめて…
  
 深深と降る粉雪に心を動かされ…
  
 風の冷たさに頬を打たれ… 
    
 深い闇夜の静けさに抱かれて…
     
 街の灯かりに勇気付けられ…


 「復活」できるかもしれない…そう、思った
 がんばらなくては…そう、心を決めた

「温泉」

2003-12-16

湯気の向こうには、山並み    蓮華温泉・内湯     03.9.29

 湯気の向こうには、山並み    蓮華温泉・内湯     03.9.29

 真夏の縦走なら、何日もお風呂に入っていない疲れた身体を勢いよく解き放つ為には、下山口の温泉にザブンと飛び込むのが一番です。何より、その汗の匂いが勲章だった山中から“下界のヒト”にいち早く戻る為にも、必要不可欠な「儀式」であるかもしれません。
 秋の山歩きなら、紅葉の下でゆっくりと浸かる露天風呂がやっぱりイイですねぇ…。少しぬるめの湯加減で、山の想い出を大切にしながら時間を忘れてぼーっとしたいものです。
 雪の山から下山口に辿り着いたら、寒さに震えて凍えている身体を、少々汗が流れていたら尚のこと、少しでも早く温めてやりたいものですネ。
 どちらにしても、山を下りてからの「温泉」には、最近とっても興味があります。
 
 シュンちゃん・堀クンと行った雪の負釣山。その山麓の入善町舟見周辺にも、山懐に抱かれた温泉がいくつかあります。今回も、その冷え切った身体を「バーデン明日(あけび)」のお湯が温めてくれました。
 実は私、何度か館内を訪ねてはいたものの、明日の温泉に入ったのは今回が初めて。ちょっとぬるぬるしたお湯の柔らかさと、庭園風にしつらえてあった露天風呂の解放感がとっても気に入りました。

 上の写真は、シーズン中の9月末に朝日小屋から一人で往復した蓮華温泉の内湯です。私は、この蓮華温泉の内湯がかなり気に入っています。お邪魔するのがいつもちょっと時季の外れた平日だからでしょう、朝日岳や雪倉岳の山々を眺めながらゆっくりお風呂に入るのが楽しみです。
 山に「温泉」はツキモノですね。若い頃は(今でも“気持ち”だけは若いつもりだけど・苦笑)温泉には全く興味がなかった私でも、今なら、山から下りた後に温泉は欠かせません。

 そういえば、ナンダカンダと今年もいろんな温泉に入りました。
 蓮華温泉、祖母谷温泉、阿曾原温泉、宇奈月温泉、高瀬渓谷・渋温泉、雨飾温泉、舟見の湯…。
 もちろん、朝日岳から北又へ下山の折には、地元小川温泉にゆっくりと浸かって「ふーっっ!!」と、手も足もぐーんと大きく伸びをしてから家に帰ります(微笑)。
 
 「温泉」は、疲れた身体にゆっくりと効くだけではなく、少し傷んだ心さえもすっぽり包み込んでじんわりと温めてくれる効用も持っているのかもしれません。
 皆さんの大好きな山里の温泉は、何処ですか!?

「管理人日記」のアクセス数が、270,000件を超えて

2003-12-17

 オヤマリンドウ    八兵ェ衛平付近   03.9.29

オヤマリンドウ    八兵ェ衛平付近   03.9.29

 2001年3月に立ち上げたこの朝日小屋のHP、そしてそれから、2年と10ヶ月余り。朝日小屋HP、特に「日記」とともに歩んできた私の管理人生活も、3年目のシーズンを無事に終えることができました。
 朝日岳と朝日小屋のことを中心に、自然の話し、日々感じたこと、私の歩いた山のこと…、何とはなしに当初からいろいろと綴ってきた私の「管理人日記」ですが、今日の午前中にその日記のアクセス数が延べ270,000件を超えました。
 朝起きてパソコンのスイッチを入れてすぐに「管理人日記」をチェック、出勤してすぐ何食わぬ顔で会社のパソコンをのぞき見し、お昼時間ともなれば食事の後のお茶を啜りながらパソコンをいじくり、夕方ちょっと疲れた頃の時間帯にも「日記」を確認し、そして一日の仕事を終え自宅に帰って寝る間際にその日の最終チェック。多い人は、一日5回は「管理人日記」や「掲示板」を点検してくださっているとか…(微笑)。
 たくさんの方々が、北アルプスの最北端の小さな山小屋で管理人生活を始めた私の拙い文章を、毎日のように楽しみに読んでくださっているということは、応援してくださる多くの皆さんに感謝し、改めてこれからの私の大きな励みにしていこうと思います。

いろいろと、ご心配をお掛けしました…

2003-12-17

自身の山歩きと同じく、一歩づつ

 自身の山歩きと同じく、一歩づつ

    ゆっくりでもいいから前へ前へ   負釣山の急登で  03.12.13

 3週間近くの長い間、日記も書かず、掲示板の書込みに返事もせずに、ぴたりと“音信不通”のような状態を続けてしまい、皆さんには大変ご心配をお掛けしました。
 その間、心配した皆さんから、メールやらお電話、掲示板の書き込み等などで「どうしたの?」という声掛けを頂いたにも関わらず、何のお返事もしなかったこと、本当に申し訳ありませんでした。

 私の中では未だ全てが解決したというわけではありません。しかし、とにかくこのままではいけない、がんばらなくては…という「腹が決まった」「腹を決めた」(大袈裟ですが)状態までに何とか戻す事が出来たので、やっと再び日記を書くことが出来ました。

 「復活」したということは、「落ち込み」があったということで…。

 いろいろ経過もあり、また大小の悩みや問題を抱えつつも、前を見据えて問題解決に向かっていられるうちは良かったのですが、今回はちょっとしたきっかけで、まるで『プチ・鬱(うつ)』のような状態に陥ってしまったのです。

 人に会うのが嫌。
 買い物はもちろん、大事な用事があっても外に出たくない。
 メールには返事が書けない。
 電話は怖くて出られないので無視する。
 自分自身を責める。
 
 いくつかの要素が複雑に絡み合って問題解決の糸口が見つからないまま、まるで“デフレ・スパイラル”の如くどんどん下を向いてしまっていました。

 昨年9月初めにも、“起き上がれない…”という事態になってしまったことがありました。その時はある方から「ゆかりちゃん、初心忘れるべし!」という温かい助言を頂いて、様々な重圧に押しつぶされそうな自分を解き放してやることが出来ました。
 そんな中、今回は、「初心に帰れ!」「原点に立ち戻れ!」と励ましてくれた方がいました。
 私の中で、山と山小屋を預かる管理人として『忘れてはいけないもの』『なくしてはいけないもの』『最初の気持ち』は何だったんだろう…そう考える日々が続きました。

 負釣山の雪の上を「初心は、原点は…」と考えながら歩き、新雪の上に張ったテントの中でぼーっとしながら「山のこと」だけを想いました。
 そのうち、「何とかしたい」という気持ちがやっと自分自身の中に湧いてきました。

 今回「落ち込んだこと」で、いろいろと勉強することが出来ました。
 解決していない問題も抱えていますが、再び「前を向いて」がんばろうと思っています。
 ご心配をお掛けした皆さん、ご迷惑をお掛けした方々、本当にゴメンなさい。
 これからもよろしくお願いします。

切り替えが上手くいかなくて。。。

2003-12-21

オオバタケシマラン    03.9.13

 オオバタケシマラン    03.9.13

 管理人になって3年目。
 まだまだ、「上」での生活と「下」での生活の切り替え(頭も行動も)がどうにも上手くいかず、そのことが今回のような「プチ・鬱(うつ)」状態の遠因であったり、ある時は直接の引き金だったりするような気がします。
 
 「上」に居る間は、4ヶ月。わずか一年の3分の1の期間でしかありません。しかし、その4ヶ月以外にも準備や後始末にかかる期間があり、事務仕事をする時間や、時には会合や打ち合わせなども続きます。
 管理人生活も3年目となると、今私の生活の殆どは『山』を中心に廻っています。
 
 今年は10月15日に小屋閉めをして山を降りて来てから、10月中・下旬、そして11月いっぱい忙しい日が続きました。
 祖母谷温泉・阿曾原温泉への研修登山、遭対協訓練、烏帽子岳・野口五郎岳山行、島々の環境省事務所へ出掛け、佐伯友邦さんのパーティー出席、雨飾山山行、白鳥山山行、三県遭難対策連絡会議出席(新穂高温泉)、写真家・中西俊明さんを励ます会(東京)。
 そしてその間にも、会合やら頼まれた講演やら。飲み会やひと足早い忘年会もありました。忙しくても充実した時間と空間があり、忙しいからこそ何でもパパッと片付けて動くエネルギーが充満していた私でした。
 ところが、東京から帰って12月に入ったとたん、パタッといきなり「ヒマ」になったのです。もちろんやらなくてはいけないコト、やろうと思えば諸々用事はないわけではないのです。
 でも「上」での生活と「下」での生活は、余りに違いすぎます。
 忙しくても、毎日毎日登山者の皆さんのお世話をしている小屋の生活の充実感が消え、この冬の間はポカンとしている日々が続きます。
 
 こんなこと書くと、まるで私がすごく「働き者」のように聞こえるかもしれませんが、決してそうでは無いんですョ・苦笑。
 毎朝仕事に出掛けて、人と話して働いて、疲れて帰って来て、休日には余暇を楽しむ…という生活が今は出来ないのです。時間があっても「縛り」がないと動けない、怠け者の性格もついつい顔を出してきます。
 
 「いいじゃない、遊んでいられるんだから。贅沢だわ!」
 「何か、趣味を持てば!?」
 「どこかへパートにでも出れば」
 「夏の間忙しいんだから、“充電期間”だと思ってゆっくりすれば??」
 
 皆さん、とても親切にアドバイスしてくださいますが、どうもなかなか。。。上手く時間を使えないし、ただの“貧乏性”なのでしょうネ。
 平日に山歩きができる「贅沢な身分」だと言われますが、今の時期はさすがに一人では出掛けられず、悶々としていたりして。

 最高8人家族。兼業農家の主婦として、勤めながら農家の手伝いをし4人の娘の子育てに追われていた日々。バレーボールやビーチボールや和太鼓のチームで活動し、PTAのやその他諸々の役員を引き受け…、とにかく毎日24時間では足りないという生活をずっと続けていた私。
 でも、今我が家は4人家族。子どもは末娘しか家に居ません。家族の為に使う時間もぐ〜んと減りましたし、家事などすぐに終わってしまいます。(…実際は手抜きしているだけなんだけど)夕食の片付けが終わった後などは、今までに味わったことの無いくらいのんびりと過ごしています。  
 そんな時間を少々持て余し気味の贅沢な悩みを抱える私ですが、新年になったら何処か冬の高山へ初挑戦したいと、今は本を読んだりいろいろ考えたりと、ちょっとづつ考えることが出来るようになりました。

 12月の初め、北陸地方はどんよりとした曇り空が続きました。鉛色のそんな季節の中で、私の気持ちと身体はどんどん下を向いていったのでした。
 「山」へ行くとあんなに元気なのに、ネ!!

夕方の朝日岳

2003-12-21

今日の夕方は、朝日岳がとてもきれいに見えました。

 今日の夕方は、朝日岳がとてもきれいに見えました。

 残念ながら、デジカメ写真では上手くその感じが出ませんでしたが、真っ白に雪を被ったその様子は神々しい雰囲気を漂わせていました。

03年・最後の山行は、南保富士(727.1m)へ!!

2003-12-23

南保富士山頂にて   曇り空ながら、最高の眺め!    03.12.22

南保富士山頂にて   曇り空ながら、最高の眺め!    03.12.22

 楽しかった、負釣山での雪中テント泊。「復活」のきっかけとなったその山行を楽しんでも、それでもなお「未だ、今年中に何処か近くの里山へもう一度行きたい!」と密かに目論んでいた“欲張りな”私です(苦笑)。
 
 気忙しい歳の暮れになって、しかも気象の不安定な北陸地方の12月末。
 里山といえども、天候をきちんと見定めてからどうしようかと判断せざるを得ない中、昨日はお天気次第で何処かの山へ行きたいと思っていました。
 22日朝、予想通り天候は曇り。低く雲が垂れ込めてはいるものの、雨は降っていないので、里山行きを決行することになりました。学校へ行く中学3年生の末娘を送って、午前8時半過ぎそのまま出発しました。娘を迎えに行く午後2時までには自宅に戻る予定で。
 行先は、今年一度も行っていなかった「南保富士」に決まりました。

 車で林道を何処まで入ることが出来るか、登山口まで行けるのか、雪がどれくらいあるか…、諸々の条件次第では山頂まで行けないかもしれないというコトも考えていましたが、雪の残る林道は登山口まで車を乗り入れることが出来、朝9時過ぎに歩き始めました。
 夏道を歩くだけでしたら、遅足の私でもホンの1時間少しで山頂まで行ける里山ですが、今回は山頂まで3時間を予定しました。
 ところが…、歩き始めから踏み跡がしっかりしています。そういえば駐車場に車が2台ありましたから、「平日でも、やっぱり登っている人がいるんだ」「でも、昨日の日曜日に何パーティーか登ったのかな」などと考えながら歩きました。
 植林された杉林の中を、ゆっくり歩きます。
 雪の雑木の林も、しーんと静まり返っています。
 少し傾斜の急な斜面もありますが、お陰様でしっかりしたトレースがあったので“かんじき”も着けずに歩くことが出来ました。正直言って、楽し過ぎて少々気が抜けてしまいましたが…。
 登り初めから1時間半足らず。
 山頂に立つと、曇天の中でも黒部川扇状地も富山湾も見事に見えていました。

 トレースの主、誰だったと思いますか?
 実は今年、南保富士の山頂に山域監視カメラ(?)のようなモノが建ち、それを動かす為の発電でもしているのでしょうか(?)プロペラ様のシロモノが建てられていました。今回それが故障したらしく、発注先の元受業者さんと地元の業者さんが4人程、先に登って来ていらっしゃったのです。ご苦労様でした。
 (山頂の建造物には、少々というか、かなり興ざめでしたが…)
 
 山頂の雪は、深い所で約1メートル近くもありました。先の業者さん達の足跡があったから短時間で登れたのですが、これが初めからのラッセルなどを強いられていたら雪もそれなりに湿った重い雪でしたし、やはり3時間は掛かっていただろうと思われます。

 下りはもっと快適で、40分も掛からずに登山口まで戻ってしまいました。少々物足りないかなぁと思いつつ、無理をしない楽しい山行で一年を締めくくられ、本当に有り難いことだと思いました。
 今回の忘年・里山の山行には、山好きの知り合いが同行してくれました。「ゆかりの復活」をホンモノにしようと、付き合ってくれました。

 気のおけない山友達と、雪の里山をゆっくり歩いて、『今年の山・山・山…』に本当に感謝、感謝です!!

「復活!」の笑顔

2003-12-23

今年最後の山行を締めくくる…笑顔が一番!! 

 今年最後の山行を締めくくる…笑顔が一番!! 

 山頂では、半雪洞状態のように雪を掘り、その上にツエルトを張って昼食。
 大したご馳走は無くとも、下界で口にしている同じモノを食していても、山の上で食べるとどうして何でも美味しく感じられるのか、いつもながらの楽しい時間です。