北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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「海の日」には、大勢のお手伝いさん

2012-07-17

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下山の朝  12.7.16

 小屋開けのスケジュールが例年と違っていたりして、ドタバタと何となく慌しく過ぎていく毎日。

 そんな中、あっという間に「海の日」3連休がやって来ました。

 アルバイトのみんなも、そして私自身も、どんなことになるやら、トラブルはないだろうか、ドキドキ感のほうが強くて迎えた当日でした。

 14日は、朝からのどしゃ降り。50名様以上あったご予約も、結局は10名様ちょっと。

 15日は、この日も朝から雨降りでしたが、その雨の中を80名近くのお客様が登って来て下さいました。お陰様でした。有難うございました。

 そして心強かったのは、いつも顔を出してくれる地元の人、そして遠方からも応援に来てくれた皆さん。
 今年は地元の北又ルートが通行止めのため、県境を越えて車を走らせ、新潟県側の蓮華温泉から登って来てくれました。

 配膳や皿洗い、お客様の誘導や売店、そして掃除等など、アルバイトや私だけでは目いっぱいの作業量のところを、いろいろと手伝って下さいました。有難うございました。

 「お手伝いさん」「助っ人の皆さん」「エプロン部隊」の皆さん、いつも本当に助かっています。

 たとえ大勢のお客様がいらっしゃっても、いつもと変わらぬメニューで手を抜くことなく、朝日小屋が登山者の皆さんに食事の面から「快適で安全な登山」の応援が出来るのも、そんなボランティアの精神を発揮して小屋をバックアップしてくれる人たちがいるからこそ、です。

 「掃除が行き届いていて、清潔感があって、気持ちよく過ごせました。有難う」そんなお客様の声があるのも、週末に皆さんが手伝ってくれるから。

 「応援団」の皆さん、蓮華温泉からの上・下山は時間も掛かり予想以上に大変だと思いますが、今シーズンもよろしくお願いします。

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富大ワンゲルのみんな

2012-07-17

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蓮華温泉~白馬岳~朝日岳を縦走してきた、富大ワンゲルのみんな  12.7.16

 富大ワンゲル3年のアッキーは、昨秋の3週間、朝日小屋でアルバイトしてくれました。

 昨シーズンの夏山合宿で朝日岳を訪れ、その時に朝日平のテント場で“ゲット!”された縁でした。

 そのアッキーが、後輩を連れ縦走して、朝日小屋にやって来てくれました。
 しかも、重たい重たい大きなスイカをザックに詰めて。
 しかもしかも、蓮華温泉~白馬岳テント場~朝日小屋をずっと担いだままで。

 そして、小屋のみんなと一緒に夕食をしたり、皿を洗ってくれたりと、可愛いワンゲル新人の一年生も朝日小屋の雰囲気に触れていってくれました。

 優しく逞しく、そして頼もしい「山ヤ」に成長してほしいものです。

 ちなみに、今年の富大ワンゲルは、部員が40名以上いるそうです。
 みんな、頑張って!!!

 若いって、素晴らしい!!!

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逞しく、素敵になったアッキー 顔付きも先輩らしく  12.7.15

待っていました、梅雨明け!!!

2012-07-19

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日暈(ひがさ・にちうん)…太陽の周りに光の輪ができる現象  12.7.18

 関東甲信越地方に続き、新潟地方気象台は昨日、北陸地方の梅雨が明けたもようと発表しました。
 平年より6日早く、昨年より9日遅い梅雨明けだそうです。(昨年は、異常に早かったので)

 昨日の朝日岳周辺は、朝方のガスもお昼前にはすっかり上がり、夏っぽい陽射しが照りつけながらも、爽やかな気候の一日でした。

 いよいよ夏山シーズンも、本番です。

 「梅雨明け10日」の言葉通り、明日からも朝日岳周辺では期待の持てる週間天気予報が出ています。

 山の上のことですから、平野部のお天気と少し違う場合もありますが、それでも先週末の悪天を思うと、心浮かれるような晴れマークが「朝日町」には並んでいます。

 朝日平のミズバショウが、やっと一株だけ咲き始めました。もう7月も下旬になろうというのに、やっぱり遅れていますね。

 でも、なんといっても、お花はこれから。

 昨日の日中は、珍しい日暈現象も見ることが出来ました。

 里は、とっても暑いようですね。
 ある方のブログには、「暑いでなくて、熱い」と書いてありました。

 山の上は、今朝の気温で12℃。日中でも20℃あるかなし。涼しいです。

 猛暑を避けて、北アルプスの最北端・朝日岳にいらっしゃいませんか。

 

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朝日平から見る「日暈」、そして飛行機雲  12.7.18

笑える?笑えない?…こんな噂??(苦笑)

2012-07-19

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今シーズン、朝日小屋『定番のお夕食』  新メニューも加えて

 昨日、県内のある方から、仕事絡みでお電話がありました。
 官公庁の方なのですが、8月に仕事で登っておいでになる予定があります。

 その方から伺った、笑えるような、笑えないような、こんな話。

 Iさん・・・
 「清水さん、ちょっと聞いてみるんですけど。
 。。。今シーズンの朝日小屋は、北又からのボッカが出来ないので、食材なんかを登山者が自分で担いで行かなきゃならないとか、かんとか。
 そんな話をちょっと聞いたのですが、本当ですか??」

 私・・・
 「そんなこと、あるわけないじゃないですかぁ。
 50年も前の時代じゃあるまいし。お米やジャガイモなんかを、登山者自らが担いで小屋に持っていったなんて、もう昔話ですよぉ」

 そんな噂が、流れていた(!?)…あぁ、恐るべし。

 笑い話、にもならないです。

 今シーズンの朝日小屋は、北又からのボッカが出来ないのは事実です。
 でも、そのようにヘリコプターで食材を荷揚げしてきてあります。

 そして、生野菜がボッカで届かなくても、お客様に喜んで頂けるような「新メニュー」も考えました。

 これまで何十年もずっと続けてきた「新鮮野菜の天ぷら」、最近評判の良かった「鶏のから揚げ」を、野菜も入った「鶏肉の甘酢あんかけ」に。
 鶏肉が少し苦手な方でも食べられるよう、国産鶏肉のムネ肉を使ってあります。
 これまでも好評だったから揚げを、美味しい甘酢のさっぱりとした酸味でまとめてあり、疲れた身体に優しい味となっていて、お客様にも好評です。

 また、お客様が少ない日には、相変わらずいろんな日替わりのメニューで対応しています。
 里では猛暑の日でも、少し涼しい昨日などは、『お鍋』をして喜んで頂きました。

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これは今日の夕食 お煮しめや、カレイの揚げ煮なども

 お客様が少なかった今日の夕食には、「笹川産の孟宗竹」や「復興支援・宮城県の油麩」「地元の山菜」などの食材も使ってあります。

 そんな朝日小屋です。
 食材を担いで行かないと泊まれないかも、なんて噂、絶対に間違いですので、しっかり訂正させて頂きます(苦笑)。

 スタッフが心をこめて作る、美味しくて「明日、また頑張れる!」、そんな山歩きに嬉しいお食事を提供できるよう、一同頑張っていますから、どうぞご安心を!!!

現在の登山道の状況

2012-07-22

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7月19日の様子 八兵衛平方面から吹上のコル方向

 現在の、登山道の状況と注意点です。

 朝日岳周辺では、この数日間でかなり融雪が進みましたが、雪融けは例年より1週間以上遅いのではないかと思われます。
 各方面の雪の状態ですが、

白馬岳方面では、

 水平道は、7月22日現在、未だ通行止めです。
 鉢ヶ岳のトラバース道では、未だ数ヶ所に雪渓が残っています。

蓮華温泉方面では、

 朝日岳山頂直下に、急傾斜の雪が残っています
 吹上のコル~八兵衛平付近に、長い雪渓が残っています。

 ただし、上の2ヶ所については、
 雪切りがしてありますので、慎重に通過してもらえばよいと思います。

栂海新道方面では、

 黒岩平と、アヤメ平の急斜面には、未だ雪が残っています。
 くれぐれも、ルートを誤らないよう、地図・コンパス・GPSなどを装備して下さい。

 ここ数日おいでになっているお客様については、軽アイゼンとストックを携行されて、雪渓通過に使用されている方が多いようです。

 高山の気温の低い場所での残雪は、往々にして、ぐっと硬く締まっていきながら雪融けが進みます。
 今は、雪面が「スプーンカット」になっているような状態が見られます。
 雪融け直前で、氷化している箇所も多くなっています。

 「アイゼンは要りますか?」というご質問をよく受けますが、それも各人の技術や経験によります。アイゼンなしでも全く問題なく通過される方もいれば、泣きそうになっている山ガールもいらっしゃいました。

 しかし、しばらくは今のような状態が続くとすれば、軽アイゼンは装備して来られたほうが無難でしょう。

 いずれにしましても、雪上を歩く時は慎重に一歩一歩ステップを刻んでください。

 雪の下から次々とお花たちが咲き始めています。

 咲き出したばかりの花を楽しみに、いらしてくださいね。

 以下の写真は、先週19日に、週末に向けてアルバイトのトモと浜ちゃんが「雪切り」をして来てくれた様子です。

 かなり時間をかけて、またとても丁寧に雪を切って来てくれました。

 これも、登山者の皆さんに安全に登山して頂きたい、そんな気持ちで頑張ってくれました。

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7月22日現在、水平道は通行止め

2012-07-22

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水平道と頂上廻りの分岐点付近  12.7.19

7月22日現在、水平道は通行止めです。

 申し訳ありませんが、
 今しばらくは、分岐点~朝日岳山頂廻り~朝日小屋でお願いします。

 今シーズンは例年より雪融けが遅れていて、その影響で、未だ危険箇所が数ヶ所残っています。

 踏み抜き、滑落などの危険が予想されますので、
 今しばらく、水平道には入り込まないようお願い致します。

 以下写真は、全て7月19日現在の水平道の様子です。

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 なお、小屋のスタッフも出掛けて行って、雪消しなどの処置も行いますが、何分雪がかなり硬く締まってきて、人力での作業にも手間取ることもあります。

 もう少し雪が解けて、安全が確保されるようになりましたら、通行禁止を解除したいと思いますので、今しばらくご容赦願います。

 なお、くれぐれも、
 水平道に、崩落して通行不能のような箇所はありません。
 あくまでも、残雪があり、危険な状態であるということです。
 夏道が露出すれば、全く問題はありません。

 以下の写真は、水平道の朝日小屋寄りにある、水谷付近です。

 雪壁の傾斜が、例年以上に急になっていて、滑落の恐れがあります。

 ステップを切ることも試みましたが、雪を切る云々の問題より、かなりの恐怖感がありスリップ・滑落すれば大事故に繋がることから、もう数日様子を見ることになりました。

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水平道が、通行できるようになりました!!!

2012-08-10

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分岐には、「通行可能」の看板が  12.8.9

水平道が、通行出来るようになりました。

 残雪が多く、危険箇所があって通行禁止となっていた「水平道」ですが、
 8月9日の夕方より『通行可能』となりました。

 例年なら7月中に通行可能になるはずの水平道も、今シーズンは雪が遅くまで残ったため、危険な箇所が何箇所もあり、登山者の皆様にはご迷惑をお掛けすることは承知で、山頂廻りでご協力を頂いていました。

 昨日までに、連日実施していた危険箇所の点検と整備が終わり、草刈りも完了して、ようやく通って頂けるようになりました。

 水平道では、未だ登山道脇に雪が残り、そのためまだまだ初夏の花たちが咲いています。
 昨日通って来られたお客様も、「キヌガサソウが綺麗に咲いていて、びっくりしました」と話していらっしゃいました。

 今シーズンの朝日岳周辺ではこの後、雪融けの直後の場所で咲き出す夏の花と、一足早く咲き始める秋の花が、どちらも一度に楽しめるという、百花繚乱のお花たちの競演が私たちを待っていてくれることでしょう。

 

無題

2012-08-24

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今朝の朝日平から 雪倉岳・白馬岳・旭岳を望む 12.8.24

 長い間、日記が書けませんでした。

 “お叱り”に近いお言葉も、頂きました。
 ご本人は、日記を期待されていらっしゃるのでしょう、励ましてくださったおつもりなのでしょうが。

 とても、日記を書けるような状況になく、本当にすみませんでした。

 何とか、水平道の状況や開通の報告だけを載せていましたが、それだけ。

 この夏は、残雪が多くあり、水平道の開通が遅れて8月9日にまでずれ込むという事態になりました。

 小屋の仕事をこなしつつ、毎日のように登山道の点検作業や確認に出掛けなければいけないということで、男子アルバイトのみんなは大変な思いもしました。

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7月24日、病人搬送のため朝日平に飛来した県警ヘリ・つるぎ
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7月29日、怪我をした要救助者を県警ヘリ・つるぎに収容する
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8月12日、骨折の登山者を県消防防災ヘリでピックアップ

 そして7月「海の日」以降、4週間の間に5回もヘリコプターが飛んでくるという、これまた「異常事態」。7月29日・30日には、2日連続でヘリコプターが飛来するということもありました。

 怪我をされた方が4名、発病された方が1名。

 県警山岳警備隊が警備に来てくれる週末時以外の事故ともなれば、その殆ど全てを朝日小屋で処理・解決しなければいけなくなることも、しばしばでした。

 事故発生と同時に小屋から出動 (毎回のように、小屋からの出動も)
 怪我人の搬送、怪我の応急手当 (朝日小屋には診療所がないので、小屋で手当て)
 山岳警備隊・県警本部・所轄署への連絡
 ヘリコプターが来るとなれば、その受入れ準備や連絡調整

 そんなこんなを同時進行させつつ、私は多忙を極める受付・売店をこなしながら、厨房ではアルバイトのみんなが夕食やお弁当の準備を粛々と進めるのです。

 それはそれは、忙しいのです。。。

 ある怪我人の方の時など、事故発生がちょうど午後3時半頃。
 雨が降り出して、受付もてんやわんや。厨房はまさに、夕食やお弁当の準備の真っ只中で、一番忙しい時間帯でした。  

 また、ここ数年続いたお天気の悪い夏とはうって変わって、今年の夏は本当に夏山らしい好天が続き、それに伴ってお客様の出足もまずまずでした。

 しかし、到着の遅いお客様が多く、またどうしても迎えが必要になったという「遭難・一歩手前」の登山者の方々もありました。

 そんな中での、遭難者の「救助活動」への参加・加勢。

 小屋のアルバイトは、男子も女子も、そして私自身も、心身ともにヘロヘロでした。

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気合の入った「杭打ち」  gappaさんはじめ、ガーズの皆さん 12.7.26
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この後、ガーズの皆さんの頑張りで、素晴らしい木道が完成!!

 またこの夏には、朝日小屋周辺の木道改修工事があり、工事の業者さんたちが小屋に宿泊されたので、食事の支度やら何やら、いつもと違ったパターンで時間の過ぎていく毎日も、2週間以上続きました。

 社長のgappaさんには、毎日のように厨房で「賄い食」を作ってもらったり、またケガ人の搬送も手伝ってもらったりして、本当に助かりました。

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中学の登山会に向け、200人分近いカレー作りに精を出す、gappaさん   

 そして、そんなドタバタも、お手伝いに登って来てくれた「エプロン部隊」の皆さんはじめ、いろいろな方たちにお世話になり、ようやく夏のシーズンも何とか終わりを迎えようとしています。
 北又林道が通行止めの中、蓮華温泉からの遠い道のりを、本当に有難うございました。

 小屋の皆んなも、本当によく頑張ってくれました。

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頑張ってくれた仲間たち Gパトも、警備隊も、マキちゃんも有難う! 12.8.16

 私自身このひと月以上、お花の写真も一枚も撮れないまま、結局岳の上では、早い秋が始まりました。

 夏山アルバイトの何人かが下山し、今は残った長期アルバイトのみんなが、夏の疲れを残しつつ、頑張ってくれています。

 ちょっと愚痴っぽくなってしまい、またまた何処かからお叱りを受けそうな気配ですが、今シーズンの朝日小屋のドタバタを少し実感して頂けたらと思い、綴ってみました。ごめんなさい。

 もう少し落ち着いてきたら、またいろいろ日記が書けるよう、ガンバリマス。

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昨日の朝焼け  朝日平から  12.8.23