北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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田植えの頃

2001-04-29

 田植えが始まった水田の遥か遠くに…朝日岳・雪倉岳・白馬岳

 我家でも田植えが始まりました。今は大型の機械が導入され作業も効率化・省力化されていますので、大きな農家でも機械植えは僅かの間で終わって、いろいろ後始末をしても連休後半は休みも取れるようになりました。非農家から来た私は、結婚当初田んぼに入ると100m先の端まで行き着くのが気が遠くなる位苦しかったのを、今では懐かしく思い出します(笑)

 いつも田植えの頃になると、そろそろ山の雪解け具合も気になり始めます。

 4月4日の「日記」の写真は、まだまだ真冬を思わせる真っ白な朝日岳でしたが、ここ数日の山は確実に春の姿を見せてくれています。何となく花曇りを思わせる陽気でハッキリ写ってくれないのが残念ですが、朝日岳の北西の斜面(朝日町側)はずいぶん雪が溶けて黒く見えてきました。

 今年は3月にも結構積もりましたし4月にも山は雪が降っていますので、残雪はかなり多いのではないかと予想されましたが、立山辺りの話を聞くと「平年並み」という事です。高い山ではそれ程ではないが、低い山・里山等では割合残雪が多いという話しもあります。

いよいよ5月に入りますので、いろいろ情報が届き次第皆さんにもお伝えできると思います。

 それにしても、…下から見上げる朝日岳も大好きです。最近は常にデジカメでチャンスを窺っていますので、どこから見るとどんな風に朝日岳が写るのか、今まで以上に気をつけるようになりました。今日の写真は、白馬岳も入れたかったので入善町から写してみました。手前に見える負釣山もずい分春山らしくなって来ましたね。では、また。

立山M山荘へ行ってきます

2001-05-01

 定植の終わったナス苗 … 我家の畑で

 義母自慢の畑にて。これからどんどん大きくなって、夏には美味しいナスが食べられます。きっと山の上にもボッカさんが上げてきてくれる事でしょう。お客さんの夕食にも出るかもしれませんね。

 さてとりあえず田植えも一段落し、今日明日と立山M山荘へ行ってきます。「修行」に…(笑)これから出掛けますので、詳しい報告はまた帰ってから。では、行ってきます。

行って来ました!!立山へ … その(1)ボッカの気分で

2001-05-03

 立山M山荘前にて  右側の白く見えるのは、もちろん「雪」の壁です。

 1〜2日と、立山へ行って来ました。快晴に恵まれ(下から山は見えなかったようですが)とりあえず観光客気分も味わって来ました。事前情報の通り今年の立山、標高2400m以上では平年より雪は少ないようです。

 妹が居る立山M山荘は室堂のバスターミナルから一番近い山小屋で、シーズン中は老若男女問わず多くのお客様で賑わいます。また、撮影機材を運び入れる事が容易な為各種マスコミに登場する機会も多く、アルペンルート開通の朝には某「ズームイン○」への生出演もあったそうです。

 今のM山荘は新築されていますが、それまで営業していた隣接する「室堂小屋」は日本最高所にあり、江戸時代に建てられた最古の山小屋で、国の重要文化財に指定されています。およそ300年の風雪に耐えたそれは、立山に寄せられた信仰の歴史を刻む小屋と言えるでしょう。

 そのM山荘で奮闘する我が妹、一緒に朝日小屋で頑張った時もありますが、山小屋生活においてはかなりの先輩です。いろいろ聞きたい事や教えてもらいたい事もあり、今回「電話で話していてもナンだから、来ればいいのに…」と誘われて『修行』に行って来ました。

アルバイトのみんなに喜んでもらえるようにと(山にいると何がうれしいかといえば下界からのお土産)、いろいろ持って行こうと準備をして出掛けました。

 ケーブルの立山駅に着き、車の中から背負子と荷物を下ろしパッキング。缶ビール1ケース、魚の昆布〆、家のタケノコ…etc。ヨイショと担ごうとしても、肩まで上がらない。そんな何キロもあるはずないのに、「やっぱり冬の間何もしていなかったからか、ダメだなぁ。ちょっと情けない」等とブツブツ言いながら膝を着いて担ぎ上げて歩き出し、観光客に混じって雲上の人になりました。バスターミナルから10分余りの雪道を「重いなあ、情けないなあ」をくり返しながら、また途中その姿を見た何人もの方から「どこまでですか?スゴイですねェ」と言われながら、M山荘に到着しました。

 私の姿を見た妹やアルバイトのみんなからもビックリされ、「何キロあるか量ってみよう」とヘルスメーターに荷物を載せてビックリ。22キロもありました。その上片手には20個のシュークリームまで…。やっぱり重たかったわけだ。

 でもほんのしばらくの時間とはいえ何十年振りに20数キロの荷物を担いでみて(事情があって、最近荷物は思い切り軽くしているので)、恵振山を「ボッカ」してくれるアルバイト始めみんなの辛さを味わう事が出来てよかったと思いました(もちろん辛さの比較にはなりませんが)。

 ある方が「ゆかりさん、ヘリコプターで山に入るのは仕方ないとしても、辛い思いをして山道を歩いて小屋に辿り着く登山者の皆さんの気持ちを絶対忘れたらいけないヨ」と話して下さいました。…本当にそうですね。「いらっしゃいませ、お疲れ様でした!」そしてボッカのみんなには「ご苦労様!!」と声を掛けてあげられる管理人でなくては。

 立山M山荘での『修行』の目的とその様子は、次回に。 

行って来ました、立山へ!!… その(2)おいしいご飯

2001-05-06

 2日・雄山頂上を背に、M山荘…右に屋根だけうっすら見えるのが「室堂小屋」

 昨日5月5日は「こどもの日」そして暦の上では「立夏」、もう初夏の雰囲気ですね。今年の大型連休はどうでしたか?私は「山関係」の山また山を一歩一歩登る毎日でした(笑)。本物の立山行きもありましたし。

 今回の立山M山荘での『修行』…山小屋でいかに「おいしいご飯」を炊くかについての"勉強"と情報収集をして来ました。

 朝日小屋は標高2150mの高所にありますが、実はずっと普通のガス釜でご飯を炊いて来ました。もっと高い所にある小屋ではもちろん圧力釜を使っている所が殆どですが、今まで朝日小屋は普通の釜で炊いていたのです。が、どうにも「半分めっこ飯」のようで気になっていました。う〜ん、何とかしたい、何とかしよう!そこで高圧釜を使っているM山荘の妹の所で使い方を教えてもらい、2日間「飯炊きおばさん」をしてきたという訳です。もちろんおいしく炊けましたョ。

 ただし、今はなかなか"スグレモノ"の炊飯器も登場してきたようで、他にも役立つ情報もバッチリ仕入れる事ができ、本当に今回の立山行きは有意義でした。

 また長らく立山へはご無沙汰していて今回13年振りで訪れたのですが、時間を見つけて知り合いの"R荘"へも散歩がてら御挨拶に出掛け、オーナーの志鷹定義さんに数年前に新築されたという喫茶室と談話室も見せていただきました。

 朝日小屋は談話室も喫茶室もありませんから、登山者の皆さんがゆっくりくつろげる雰囲気がとても羨ましかったのですが、実は今私なりにいろいろ考えている事があるんです。その中味についてはまだ「ヒ・ミ・ツ」なのですが、来てよかったなあと思ってもらえるような山小屋とは、お客さんに喜んでもらえるサービスとは…、毎日頭の中は「朝日小屋」の事で一杯です。

 いよいよ後一ヶ月余りで「山の上の人」になります。なんだか「ゆかりの壮行会」をやってくれるという友人達もいて、うれしいようなちょっぴりさみしいような…複雑な心境です。昨日も富山市内まで買出しの下見に行って来ました。役に立つ情報もありましたら、お寄せください。お待ちしています。では、また。

29年前の想い出と、昔の小屋…

2001-05-09

 我が家の庭で、「えびね」の一種 もっと細かい花の様子はなかなか難しい

 今日はまるで梅雨のようなお天気。朝方濃い霧が辺りをつつみ、まるで山の上にいるような雰囲気でした。

 昨日も何人もの方からメールを頂いたのですが、その中で思いもかけない方からのメールに驚きました。朝日町のご出身で、今は転勤で仙台にお住まいだというNさんです。私が中学3年生、夏休みに「アルバイトの真似事」をした時に朝日小屋でご一緒したのですが、その後一度もお会いすることもなく、朝日町関連のHPで見て「もしかしたら…」とメールを送って下さいました。

 当時の管理人は父の前任のKさんでした。まさかその次の年に父が管理人になるなど夢にも思っていない私は、大好きな山でひと夏を過ごせる事がうれしくて、何人ものお兄さんやお姉さん達に可愛がられて働かせてもらったのを覚えています。

 もちろん現在のような立派な小屋ではありませんでしたが、その後の何年かを父と一緒に過ごした小屋です。…今見取り図を描かせてもすぐに思い出して全部描ける位、隅から隅まで覚えているから本当に不思議ですね。

 部屋数は大きい部屋が2、小さい部屋が3、「カイコ棚」と呼ばれる仕切りをした部屋もありました。食堂の定員は32名、最高200人以上の夕食を出した記憶があります。(最後のお客さんの夕食はたしか8時過ぎていたはず)トイレはもちろん今のような水洗式ではなく、まあその管理やウラ話のネタはつきません。

 アルバイト部屋などはまるで「タコ部屋」のように狭くて薄暗い、屋根裏だから高さもなくてすぐに頭をぶつける、台所の真上なのでオチオチ寝ていられない、おまけにお客さんの部屋とベニヤ一枚で仕切られているのでちょっと話していると「うるさいですョ!」と注意される始末…、でもなんと楽しかったことか。あの時代があったからこそ、管理人を引き受ける決心もついたのかもしれません。

 Nさんのメールには、その頃の思い出が綴ってありました。小屋の裏では、ドラム缶を切って下から薪を焚くようにして「お風呂」も作ってありました。今考えると私も入ったんだ、周りに何も遮る物もなかったはずなのに…!!。あの頃はお風呂なんてそんなに頻繁に沸かしてもらえず、多分アルバイト達の自衛策だったのだと思いますが、○歳になった今なら余計恥ずかしいですね、ハ・ハ・ハ…。

 お兄さんやお姉さんと一緒に満天の星空に魅せられた当時の中学生は、それから29年の歳月を経て、今年から小屋番をすることになりました。今度は登山者の皆さんの心に残る山行を演出する側で。…Nさん、山の上でお待ちしています。

足慣らしに「南保富士」へ登って来ました

2001-05-11

 南保富士にて  登山道わきの"チゴユリ"が可憐でした

 毎日〈山関係〉の「雑用の山また山」を登る日々が続いていましたが、これは少し小屋開けに向けて何とかしなくては…と思い、今日はDさんご夫妻と「南保富士」へ登って来ました。「南保富士」は標高727.1mの里山、でも地形図を見てもその名前はありません。二王山の北西にある三角点の山ですが、朝日町にあるまことにマイナーな富士山なのです。

 大したトレーニング無しにいきなり毎年6月の「朝日岳登山会」に参加する私でしたが、これからは少し心を入れ替えて(!)低山からの足慣らしも必要と痛感している"新米管理人"。しかし恥ずかしい話ですが地元の山には今まであまり行く機会がなく、「南保富士」も初めて登りましたが、私の知り合いの皆さんは山開きに登る為のトレーニング等にもよく登っていらっしゃるようです。

 南保の登り口から約1時間足らず、シーズン初めにはもって来いの山でしたし、可憐な花たちが咲き疲れ知らずに頂上まで登る事ができました。チゴユリ、イカリソウ、イワウチワ、タムシバ、ミツバツツジ、ヤブツバキ、何種類ものスミレ、ササユリ(まだ蕾でした)etc…、新緑がそろそろ濃くなりかけて目にも鮮やかでした。

 標高が低い割には頂上からの眺めは素晴らしく、眼下に広がる黒部川扇状地は見事でした。残念ながら朝日岳はちょうど二王山がすっぽり邪魔をして見えないのですが、僧ヶ岳を始めとした近隣の山々は所々雪を残し間近にありました。

 それなりに心地よい汗をかいたので、頂上でのビールがなんとも美味しかった!!(…実はホンのひと口のビールで真っ赤になる私、それ以上飲むと「南保富士」でビバークしなくてはいけませんから、本当にひと口だけ…)

 わずか半日の里山歩きでしたが、心地よい山の風に吹かれて木々の中を歩いて、「さぁ、また明日から頑張ろう」とエネルギーを蓄えることのできた時間でした。

追伸;実は13日に大蓮華山保勝会主催の「登山研修会」が越道峠付近で行われます(雪上訓練あり)。新米管理人も参加する予定で、いきなりはキツイので今日はちょうどよいトレーニングでした。その様子もまたお知らせします。

緊急広告…アルバイト大募集中!!

2001-05-12

 家の前で 鉢植えの花の名前は? 蔓になっています

 今日の富山県地方はいいお天気です。朝日岳はもちろん、山々がキラキラ輝いています。

 さて表題のとおり、アルバイトを大募集しています。(「アルバイト募集」のコーナーにもありますが)

 募集人員その他は
(1)  長期アルバイト…男性 1名 年齢30歳くらいまで
        小屋開け(6月12日頃)〜小屋閉め(10月10日頃)まで
        要・普通自動車免許
(2)  短期アルバイト…男女 若干名
        高校生可 年齢30歳くらいまで
期間は相談に応じます。

いろいろご相談に応じます。先ずは電話あるいはe-mailにてご連絡ください。ご連絡お待ちしています。

登山技術講習会で…

2001-05-14

  越道峠で 恵振山、清水岳をバックに(photo by nyama)

 どこまでも続く青い空、残雪の白、そして芽吹いて間もない新緑のまぶしさ、もうこんな幸せがあるだろうか…と思えるような、そんな一日でした。イワウチワ、カタクリ、カモシカにも出会いました。

 昨日は大蓮華山保勝会の「登山技術講習会」が、県警山岳警備隊の古崎隊員(入善署)を講師に尾安谷〜越道峠付近で実施され、管理人の私も初参加して来ました。

 これは、6月23日〜24日にかけて開かれる山開き登山会を安全に行う為に当日のリーダーを中心に、雪渓の歩行方法やピッケルの使い方、ロープワーク等の技術を確実に習得することを目的に行われたものです。もちろんピッケルを使った滑落停止の訓練もありました。

 尾安谷付近に車を止め、いつもは車で通り過ぎるだけの林道を歩き始めました。この道を歩くのは中学の時に学校のキャンプで来た時以来かな…等と思いながら少し行くともう残雪がかなりあります。話には聞いていましたが、やはり今年の雪は標高の低い所で多いようです。倒木や崩れた箇所もかなりあり、役場が除雪を始めるのも例年より遅くなりそうで、管理人としてはいろいろ心配です。

 車道を完全に雪が覆っている箇所で、訓練開始。立ち木や大きな石にザイルを張ったり、雪渓にピッケルを打ち込んでその役目をさせたりする方法をやってみたりと、講師の指示に耳を傾けます。今までは救助隊の人達のやり方を眺めている立場でしたが、今回は私なりに真剣でした。

 ところが古崎隊員、「では、皆さんにやってもらいますが…、この中で一番山を歩く機会が多いと思われる管理人のゆかりさん、初めにどうぞ」キャー、ヤメテ〜!それでなくても緊張して聞いているのに…。でも「えーい、やるしかない!」と、教えられたようにいろいろやってみる。何とかクリア…。もちろん雪渓も小さい時から登っているしスキーもやるので、雪の急斜面はそんなに怖くはないのですが、講師先生のやさしくも厳しいまなざしの方が気になったりして。

 越道峠にて昼食。写真にもあるように、本当に最高のお天気!!その満足度はひと言では表せません。(またまたひと口のビールが美味だった)

 帰りには滑落停止の訓練。わざと滑ってみるという事はナント難しいのか。歩いて降りるにはたいした斜面ではないのですが、雨具を着て滑ると加速度が付きます。本格的にピッケルを使う機会のなかった私ですが、本当に勉強になりました。(山に入ったら、前朝日の斜面でこっそり練習しようっと…フフフ)

 段々「新米管理人」も“意識改革”されてきたのかもしれません。少しづつ「管理人らしく」なっていきたいと、いろいろな事に挑戦する意欲が湧いてくるようで、なんだか昨日の訓練もとても楽しく有意義でした。できない事も確かに多いのですが、私のモットー「前を向いて歩いていきたい」を貫いて頑張りたいと改めて思いました。

 …辛くてもひどくてもまた山へ行きたくなる気持ち、私なりに再確認しました。