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こんな時間を大切にして
2004-03-10
眼下に広がる日本海や街並みをバックに
下界でお仕事をしていらっしゃる皆さんには本当に申し訳ないくらい、贅沢でしかも幸せな時間でした。
泉さんにしても大仏さんにしても、そして私にしても、シーズンが始まり小屋に入れば、超多忙な毎日が続きます。遭難や事故などを心配しながら、大勢のお客様をお迎えする日々が続きます。
「みんなが働いている時に、こんなところで…本当に贅沢だね」と言いながら、お昼ご飯を食べました。
でも、山の話、小屋の話、仕事の話…いろいろ情報交換をしながらのひと時、山小屋関係者にとって今はもうしばらく『充電』の時間なのです。
泉さん達は、あとひと月もしないうちに土方仕事が始まり、6月になれば小屋建ての準備になります。ナンダカンダ言っていた私も、あとちょうど3ヶ月ほどで小屋開け・シーズンの始まりとなります。
「山」を感じ、身体を鍛えて、気持ちを充実させて、そして夏山シーズンを迎えようと、山小屋関係者それぞれが思っています。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040311b.html
「重たさ」を実感
2004-03-10
重たくて、“腐った”雪
上の写真から、雪の状態が想像していただけるでしょうか?もちろん、かんじきを着けていてもこんな様子でした。
今日の富山県地方は、各地で18℃前後まで気温が上がったそうです。
「腐った」という形容がピッタリの重たい雪に、3人共かなり苦しみました。
しかし。。。『重たさ』を実感したのは、もしかしたら雪だけでなく、冬の間ゴロゴロしていたツケが回ってきている泉さん、大仏さん、そして私、それぞれの身体の状態だったのかも!!
笑いごとじゃぁなくて、結構深刻デス…。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040311c.html
「ゆかり応援団」のこと
2004-03-11
満面の笑み 負釣山にて 04.3.10 photo by izumi
一昨日の掲示板に、吉村さんから「ゆかり応援団」についての書き込みがありました。
先日、吉村さんや茜パパ、山の歌さんからお電話があり、その時に「“ゆかり応援団”を正式に立ち上げたいと思っているんだけど」というお話を頂きました。本当に有り難いお話であると思いますが、今日はひと言ご挨拶を兼ねて、私からも自分の想いをお話させて頂きたいと思います。
朝日小屋の管理人となって3年目、この夏には4年目のシーズンを迎えます。
昨年中に「ゆかり応援団」のお話があった時には、小屋閉めの後のシーズンオフでボーっとしていたり、ちょうど“プチ・鬱”の状態であったりしていましたので、正直言って自分自身の中には戸惑いもありました。
私はまだまだ「山小屋管理人」としては経験不足ですし、人間的にも未熟だし、とてもそんな「ファンクラブ」だとか「応援団」を作っていただくことに値する人間ではないという思いが、今も私自身の中にはずっとあるのです。
せっかくのお申し出も、昨年末の私には「どうしたものか…」という迷いもありました。
昨日まで“ふつうのオバサン”だった私が、山小屋の管理人になりました。私にとっては、小さい頃からの父の手伝いの延長であったわけですし、自分が好きなことだからやっているという意識と、あとは少しだけ「他人様(ひとさま)に喜んで頂ける仕事」をやっているという自己満足が殆どで始めた管理人生活だったのです。
だからということもあり、表立っての「ゆかり応援団」には面映い気持ちや戸惑いもたくさんありました。
しかしいろいろ考えて、今回はせっかくのお申し出をお受けして、話を進めていただくことにしました。
一年に何度も登れない北アルプス、その最北端の山小屋でお客様をお迎えするという仕事をし、皆さんとの「一生に一度の出逢い」を演出し「夢を売る」仕事をしている者としては、少し背伸びをすることになるかもしれませんが、ごく素直に、『応援』されることをこれからの自分自身の励みにしようと思いました。
ただ、「ゆかり応援団」について吉村さんにお願いしたことは、
1. 私自身はかなり“ズボラ”な人間なので、本当に申し訳ないが周りの皆さんで勝手に盛り上がってもらいたいということ
2. あまり難しいことにしないで、例えば一年に一度朝日小屋へ行こうとか、一年に一度くらいみんなでどこかで顔を合わせる機会を作りましょうとか、チャンスがあったら山へも登って楽しみましょうとか、そんな風に楽しく気軽に集まれる会にしてほしい
つまりは、「あくまで、ゆかりをダシ」にして周りでワイワイと盛り上がりましょうという感じでやって頂けたらと思っています。
もちろん、静かに静かに朝日小屋を愛してくださる方達はおいでになるわけで、言葉や行動には出さなくても私を応援してくださる方達もいらっしゃいます。各人の気持ちも、その気持ちの表し方もそれぞれですので、あくまでも都合がついて賛同してもらえる方達に集まって頂けたらと思います。
吉村さんは、もの凄く面倒見の良い方です。昨年高岡にお邪魔した時にも、心からそして最高のおもてなしをして下さいました。
きっと「ゆかり応援団」を結成した折には、県内外の皆さんに喜んで頂けるような会の運営を心がけられることと思っております。
そういえば以前、阿曾原温泉小屋の佐々木 泉さんがおっしゃっていました。
『俺ら山小屋の人間の仕事は、山と自然を守ること。そして、山を楽しみに来てくれるお客さんや自然とのふれ合いを大切に山へ登って来てくれる登山者の皆さんの、安全に気を配り、そして“手助け”をすること』
私自身、泉さんに教えてもらったような謙虚な気持ちをいつまでも忘れずに、皆さんにずっと応援して頂けるようなそんな山小屋管理人に少しでも近付けるよう、これからも頑張っていきたいと思っています。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040311d.html
アルバイト、大募集!!
2004-03-12
朝日小屋は、若い力を待っています!! 03.8.15
この日記の場をお借りして、04シーズンのアルバイトを大募集させて頂きます。
興味のある方、ぜひご連絡ください!!
1.長期アルバイト
・募集は、男子2名。
・年齢は、30歳くらいまで。
・期間は、小屋開け(6月13日)〜小屋閉め(10月13日)までの4ヶ月間です。
・できれば、来シーズンも続けて働いていただける方を希望します。
2.短期アルバイト
・募集は、男女若干名。
・年齢は、30歳くらいまで。
・期間は、7月上旬〜8月中旬頃まで。
最近の山小屋アルバイト事情ですが、大学生の夏休みが概ね8〜9月に集中していることもあり、「海の日」辺り〜旧盆までの短期間に登山者の皆さんが殺到し夏山シーズン繁忙期を迎える山小屋では、どこもアルバイトの確保に頭を悩ませているのではないでしょうか。
朝日小屋も例外ではありません。大学生の皆さんからの応募は殆どが8月に入ってからを希望しますが、お花を楽しみに登山者の皆さんがおいでになる朝日小屋では、どうしても7月上中旬からのアルバイトをお願いしたいと思っています。
(アルバイトを募集しておいて、こんなことを書くのはどうかとも思いますが…苦笑)
山小屋の仕事は、今も昔も「キツイ」ことに変わりはないかもしれません。
主に食事の準備など厨房の仕事、部屋の掃除、お客様の応対、時に「電気屋さん」、時に「配管屋さん」、…等など小屋の中の仕事の他にも、登山道整備がありますし、朝日小屋では「ボッカ」も何度か経験します。そして緊急時には、登山者の救助活動に加わらなければいけないこともあります。
昔と比べれば設備も良くなりましたから、真夜中まで仕事をするということも余りありませんが、それでもどんな突発的な出来事があるか分かりませんから、時間通りに休める保障はありませんし、朝はもちろん特別早いのです。
朝日小屋では、大きな山小屋と違ってアルバイトのみんなの個室はありませんから、ワイワイと仲良くできる反面、プライバシーは守られないというのが現実です。
精神的にも肉体的にも、若いみんなにはハードだろうなぁと想像できます。
それでも山小屋のアルバイトのみんなは、ひとつ屋根の下で、朝から晩まで一緒に仕事をし、語り合い、泣いたり笑ったり…かけがえのない時間を過ごします。
下界でのアルバイトでは味わうことのできない貴重な経験を積んで、笑顔で山を下りて行きます。
朝日小屋は、若いアルバイトのみんなが集まります。高校生から大学生、フリーターまで。頼りない管理人を助けて、みんな頑張ってくれます。
健康で、体力に自信のある方。誠実な方。山が大好きという方。
詳細は、お電話にてご連絡ください。
ぜひ、皆さんの応募をお待ちしています!!
連絡先 朝日小屋・清水ゆかり
(自宅)0765−82−0795
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040312a.html
明日から、遭対協の春山訓練
2004-03-12
元気です!! 04.3.11
上の写真は、元バイトの陽子とさやか。朝日小屋では、いつも私を助けてしっかり働いてくれた二人です。昨晩、某所にて久し振りに顔を合わせました。
旅立ちの春、二人とも元気で頑張っています!!
さて、明日から1泊2日の日程で、朝日岳方面遭対協の春山訓練が行なわれます。
大地(おおち)〜初雪山のルートで、県警山岳警備隊の古崎分隊長、谷口隊員を講師にお招きして、各隊員が技術の習得と研鑚に励み、チームワークを磨き親睦を図ることが目的です。
私も同行させて頂くことになりましたので、明日の日記はお休みです。明後日も下山予定は夕方ですので、日記は書けないかもしれませんネ。
私にとっては、結構ハードな山行になるかもしれません。
明朝の集合が早いので、今夜のうちにお知らせします。 気を付けて行って来ます。では。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040312b.html
朝日岳方面遭対協の春山訓練・一日目
2004-03-15
訓練 大地直下のテント場付近にて 04.3.13
13(土)・14日(日)の両日、朝日岳方面遭対協の春山訓練が大地山(1,167m)〜初雪山(1,610m)一帯で行われました。
今回は、富山県警山岳警備隊から古崎分隊長と谷口隊員、朝日岳方面遭対協から谷口邦夫隊長以下4名の隊員、そして理事の私、同行を許可された写真家の森下 恭さんの8名が参加しました。
13日朝役場前に集合、ビデオにて雪崩のメカニズムについての事前学習をし、各自最新式のビーコンを装着しました。共同装備を分配するなどの準備をした後、小川ダムへと車で移動しました。
今回のルートは“夢創塾”からのコースではなく、小川ダムから相又谷を入った先の杉林途中から取り付きました。
未だ雪の残る杉林の中をほぼ直登に上がります。急登には違いありませんでしたが、以前何度か登ったことのある“夢創塾”からの激しい急坂に比べると、登り始めの林道で少し足慣らしができる分だけ楽かなぁと思いながらも、他の皆さんにあまり遅れないように付いて行くのが精一杯です。
標高800mを少し過ぎた辺りで、“夢創塾”からの登山道と合流しました。
13日は「晴れのち、夜になって雨」の予報でした。午前中は時折青空も見えるまずまずのお天気でしたが、正午近くになって小雪がちらちらと舞い出しました。「ちょっと、天気の崩れが早いなぁ」「未だもう少し持つだろう」と話しているうち、みるみる天気が崩れてきました。
昼食をとる頃には急激に天候が悪化し、もう周りの景色は全く見えないようなホワイトアウト状態に。細い谷筋に迷い込んだりしないように、地図とコンパスで慎重にルートを確認しながら帰路の為にマーキングをし、あまり長い休憩も取らないようにして歩きました。
小さなアップダウンを繰り返しながら、大地山へと向かいます。翌日には初雪山までどうしても行こうという計画がありましたので、全員の体調や所用時間などを計算しながらも、とにかく大地山を越えて行けるところまで行き適当なテン場を見つけようということになりました。
大地山山頂を越えた直下まで来ると、もはや10m先もよく見えないような状態です。無理をしてでも翌日のことを考えて、夕方まで行動し当初予定した1,247m付近のテン場を目指すか。それとも一寸先の様子も分からない中で雪庇を踏み抜く危険性もあるので、今日はここまでの行動とし早めに就寝し翌朝の出発に備えるか、全員で協議しました。
「今日は、此処まで!」…そう決めてからテントの設営、積雪期の救助訓練、救助用具の使い方の講習等などを行ない、夕方近くなって気温も急激に下がり始めましたので、早々とテントに入り『狭いながらも、楽しい…』となりました。
少々頑張った(!?)私は、早々と“沈没!”
「明日は、どうしても初雪山まで行きたい!!」…そんなことを考えながら、どうやら夕方6時半頃にはもう夢の中だったような気がします。
夜中にかなり激しく強い風が吹きました。頑丈にブロックを積んだりしてテント場を整備したのですが、テントの一番隅っこに寝ていた私は、強風でテントが飛ばされるのではないかと思うくらいでした。ご機嫌で寝入っている皆さんはどうやら気付かなかったようなのが、うらやましい(!?)・苦笑。
3月中旬の春山とはいえ、ホワイトアウトのような条件の中での行動。
気温が下がり、前髪がバリバリに凍りつく位の悪天候。
冬山に近い状態での1,000mを越える山での生活。
…救助隊員の皆さんの、真剣な訓練が続きました。
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朝日岳方面遭対協の春山訓練・二日目
2004-03-15
大地から初雪山の稜線 04.3.14
テント場での朝は早く、早朝4時半起床。前日の疲れも見せず、山慣れた警備隊・救助隊の皆さんの行動は起き掛けからすでに迅速です。朝食は、何だか良く分からない(!?)前日のご馳走(キムチ鍋)の残りにうどんを入れて食べました・笑。
初雪山から戻って昼食を済ませてからテントを撤収することになっていましたので、とにかく素早く身支度を済ませて、いざ行動開始。
お天気はまずまず。前日は何も見えなかった初雪山への稜線が、ずっと延びているのが良く分かります。朝はさすがにガチガチに凍っていますので、前日の打合せ通り各自アイゼンとピッケルを装備し、ザイルなどその他必要な装備も携行しました。
いくつかの小ピークを踏みながら、稜線を歩きます。幸い天候が穏やかなので、地形の状態も良く分かりましたが、張り出した雪庇に充分に注意しながら慎重にルートを選んで行動します。
アップダウンを繰り返しながらのなだらかな稜線歩きで高度を稼ぎましたが、途中には切れ落ちた斜面をトラバースする所が何箇所かあったので注意深く通過しました。昨年剱岳や野口五郎岳で経験した『落ちたら、死ぬかもしれない。。。』という思いが、少し頭を過ぎりました。
しかし、凍てついた斜面にアイゼンが利きます。また普段の無雪期の山歩きでは滅多に使用しないピッケルも、その効果を発揮してくれました。
そして、とうとう念願の初雪山へ!!…02年の4月に境川上流の大平(だいら)側から初めて登った初雪山でしたが、今回はどうしても行きたかった大地山からのルートで山頂を踏むことができました。
強風の吹く初雪山では、記念写真を撮ってすぐさま下山開始。初雪山直下の急斜面ではアイゼンを付けたままでしたが、気温も高くなって雪面も緩んできたので帰路は途中からアイゼンを外しましたが、かんじきを装着するほどでもなく“ツボ足”で歩きました。
テント場まで、往復約5時間半。遅足の私が同行していた割りに、予定時間を少しオーバーするくらいの所要時間でしたので、皆さんにあまり迷惑を掛けずに済んだと私なりに少々ホッとしました…。
具沢山のラーメンで昼食を済ませて、テントを撤収。最後にもう一度、立ち木を使ったりピッケルをアンカーにしたりした訓練をした後、下山開始です。
帰りは、山スキー組はそれなりに楽しみながら、かんじき組は緩んだ湿った雪に散々悩まされヘロヘロになりながらも、夕方全員が小川ダムの駐車場に無事下山。
大地山から見る初雪山は、本当にステキでした。そのどっしりとした山容、凛としたその姿は、岳人たちの気持ちを駆り立てるにふさわしいものです。
今回の訓練に参加した全員が、達成感と充実感で満足のいく春山訓練になったと思います。
大地山、そして初雪山一帯は、この春山の時期、最近隠れた人気がある山ではないかと思いますし、週末になると何組かの入山者もあるように聞いています。実際今回も県内の愛好者で3名1パーティー、単独行1組の計4名の登山者に会いました。
そういうこともあって、遭対協の春山訓練地に選んだわけです。
今回の訓練では、私自身がいろいろな経験をし、「山」と「山登り」を深く考えることができました。
里は春でも、山は一瞬にして厳冬期の山のようにその姿を変貌させてしまうこともあります。標高が2,000mに満たない山であっても、その入山にあってはくれぐれも入念な計画と慎重な行動をぜひお願いしたいと思います。
この記事の URL : http://asahigoya.net/diary/2004/03/d20040315b.html
充実の訓練でした!!
2004-03-15
初雪山をバックに、記念撮影 大地にて 04.3.14
写真は
前列左から
古崎分隊長、藤岡隊員、私、清水直樹隊員
後列左から
県警谷口隊員、写真家・森下 恭さん
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