北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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春を見つけました!

2001-03-19

 春の使者「ふきのとう」を見つけました!!

 つい先週には春の嵐が吹き荒れて結構積もった雪も、ぽかぽか陽気であっという間に土が見えてきて、ふきのとうがそこここに顔を見せ始めました。ふきのとうを見つけると春だなあと実感します。田舎ではちっとも珍しくはないのですが、それでも毎日車で往来するだけの生活をしていると、気をつけて探さないとなかなか見ることは出来ないかもしれませんね。

 ところで、ふきのとうはどうやって食べますか? 天ぷらにして食べるのが一番ポピュラーだと思いますし、美味しいですね。苦味が何ともいえず自然の恵みを感じさせてくれます。

 でも、沢山採れた時には「ふきのとう味噌」を作るのが最高です!少し多めの油を引いたフライパンに、細かく刻んだふきのとうを入れて、砂糖・味醂・味噌などで味付けします。温かい出来立てのご飯にのせて食べると、う〜ん‥‥。ご飯がすすみます。

 昔、高校・大学とアルバイトに通った小谷村のスキー場で、3月末になると宿のおやじさんが雪の中からふきのとうを摘んできて、「おーい、"ちゃんめろ味噌"にしてくれ!」と嬉しそうに台所に入っていらっしゃったのを今でもよく覚えています。

 待ちに待った春です。大きく深呼吸をして春の匂いをたっぷり吸い込んで、また頑張りましょう!

写真家の森下 恭さんとお会いしました

2001-03-21

 デジカメで撮った我家の庭のクロッカスの写真です。夏に向けてデジカメの使い方の練習中なのであしからず…(笑)

 さて写真といえば、朝日岳は高山植物の宝庫ですから沢山の写真家の方がお見えになられますが、昨日はその中のお一人、森下恭さんとお会いしました。宇奈月の友学館で写真展をと考えていらっしゃる森下さんが打合せにおいでになったので、同席させていただきました。

 実は森下さん、いつからだったかご本人も忘れる位随分長い間朝日岳から遠ざかっておられましたが、前管理人の下澤三郎が亡くなった事を伝え聞いて「不義理をしていました」と連絡して来られ、昨年の小屋閉いにひょっこり顔を見せられたんです。また先日の「偲ぶ会」にも出席くださいました。

 活動としては、昨夏に約19年ぶりとなる写真展を東京で開催されたそうですが、その時のテーマが「源流−黒部にて−」。写真展に飾った写真を見せていただきましたが、"水"をモチーフにしていろいろな想いを込めて撮った写真がとてもステキでした。

 写真ももちろん感性の世界ですから人それぞれの見方があるのでしょうが、奥黒部といわれる薬師岳や黒部源流を撮ったそれらの写真は、「いつか行ってみたいな」という憧れを誘う以上に、ふっと自分が今そこで同じ瞬間を過ごしているような雰囲気を抱かせるようなそんな存在感で迫ってきました。

 無口な…というのは私の思い込みで、いろいろ聞くと気さくにおしゃべりしてくださいました(笑)

 朝日岳を撮った写真は次回に見せていただく事になりましたが、「やっと、朝日岳を捉えられる時がきたのかもしれません」とはご本人の弁です。今シーズンからは時々朝日岳周辺で森下さんの姿を見掛けることがあるかも。

ラジオミュー生出演より…私にとっての「朝日岳の魅力」

2001-03-23

 生放送を終えて。ナビゲーターの本村さんとアナウンサーの下澤。

 昨晩はラジオミューの番組「風のたより〜山川野遊びのススメ」に生出演しました。「そこらへんの山への憧れ」‥‥ふるさとの憧れの山の一つとして朝日岳がテーマでした。

 アナウンサーの下澤弥生は、実は私の末妹で、放送開始直前まではなんだかとても気恥ずかしかったのですが、始まってみると結構楽しくおしゃべりさせて頂きました。ナビゲーターの本村さんは、「わんぱく探検隊」で子ども達を朝日岳に連れて来てくださる方です。

 管理人を決意するまでの思いや、山小屋での生活の話、そしてHPの「管理人の日記」も褒めて頂いたりして…。30分があっという間でした。

 最後に「ありきたりの質問だけど」と言いながら、「ゆかりさんにとっての朝日岳の魅力は?」と聞かれました。最近よく聞かれるんですよ。でもとても一言では答えられないです。

 遠くからいらっしゃる登山者の皆さんとは、少し感じ方が違うかもしれませんね。

 小さい時から朝日岳に登っている私達姉妹にとって、朝日岳はその山容そのものにどっしりとそして穏やかに構えてくれて、いつも目の前にありました。そしていろいろな人達と出会える場所として、私にとっては「当たり前の山」として存在し続けました。

 北又から登って5合目あたりのブナの林が近づくと、何とも言えない「深い山の匂い」がします。いつも「また来たんだ…、帰ってきたんだ…」という思いが湧いてきます。

 質問の答えにはなっていないかもしれませんが…、私にとって朝日岳はそんな山です。

広告に偽りあり…

2001-03-26

 つくし…去年アルバイトに来てくれた「陽子ちゃん」の家の前で。

 いつの間にか春真っ盛り。花たちも競って咲き始めました。でも3月に入って結構降ったせいもあって、やはり奥の山はまだまだ深い雪です。

 先日大蓮華山保勝会(朝日小屋の所有団体)の役員会でも、残雪の具合と山開き参加者の安全面を考慮の上で、山開きの日程を決定するという話が出ました。

 それでも春本番、書店に行くと熱心に山岳雑誌に見入る人が見受けられ、朝日小屋でも某山岳雑誌の4月発売号に求人広告を載せるべく、今朝メールで原稿を送ったところです。

 ところで…、「広告」というと私には20数年前の記憶が蘇って来ます。思わず赤面しそうなあの思い出が…。

 確か大学生の頃、某「山と…」という雑誌に広告を載せる事になり、父からその役目を仰せつかった私は、「何か面白くて、印象に残るようなキャッチコピーを考えよう」と張り切りました。在り来たりではなく、今年の夏はぜひ朝日小屋へ行ってみたくなる様なそんな文句がないかなあ…と。

 そして雑誌にそのキャッチコピーが載りました。あっと驚くような内容で…。

 『娘四人は美人ぞろい…』 

 当時確かに管理人の下澤三郎には四人の娘がいた事は事実ですが、長女は大学生、次女は高校生、三女・四女はなんとまだ小学生…。夏山のある日、受付に顔を出した登山者の方に、「美人の娘さん達は、どこに?」と言われて小さくなっていたのは他でもない私で、「ゴメンナサイ!」と謝ったのはもちろんです。

 登山者の安全のため(!?)、山小屋は絶対にウソの広告を載せてはいけませんネ。

『山を想えば人恋し、人を想えば山恋し』

2001-03-30

 春の雪‥‥赤く蕾を膨らませた庭の「ボケ」、白い雪とのコントラストが鮮やか。

 4月を目の前にしての春の雪。待ちこがれた暖かさが少し遠ざかってしまいましたが、すぐには届かないから手に入れた時の喜びが大きいのかもしれませんね。

 先日の日記の中で、「私にとっての朝日岳の魅力」について書きましたが、何か言い足りないような気がしてなりません。

 他の山を訪れる機会の少なかった私にとって、やはり「山といえば朝日岳」なのですが、実は昨秋日帰りで剣岳の早月尾根を早月小屋まで往復してきました。

 馬場島からの登り始めは、北又からの恵振の急坂と同じような雰囲気がありましたが、段々と標高を稼いでゴツゴツした岩肌を行くうちに、「何かが違う」という気持ちが起こってきました。朝日岳へのいつもの山道で私が感じるのとは全く違う想い。

 「私の山じゃない…」

 馬場島の登山口に建つ大きな石碑には『試練と憧れ』の文字が刻んであります。岩と雪の殿堂・剣岳はそういう山なのだと思います。では、朝日岳はどんな山なのでしょうか。もしそれを文字にするとしたらきっとこんな言葉が似合うのではないでしょうか。

 『山を想えば人恋し、人を想えば山恋し』

 …大らかな山容と同じく、黙って私達を受け入れてくれる、包み込んでくれる。山の持つ大きさや深さをまた別の意味で感じさせてくれながら、そこで出逢った人達の事もまた忘れさせない。もしかして朝日岳の持つ魅力は、そんなところにあるのかも…。私にとっての朝日岳は、いつもそんな山です。 

山行には「トイレットペーパー」を!?

2001-04-03

 4月2日夕方の朝日岳眺望 ここ数日の寒さで、また白くなったよう…

 さて、新米管理人の私はこのオフシーズンにも様々な仕事及び雑用をこなしているのですが、実際に「山小屋の管理人」という立場で会議に参加したり、あるいは本を読んだりすると、つくづく自分の認識不足を思い知らされます。

 先日「日本トイレ協会」という団体から、「全国山岳トイレシンポジウムin松本」を開催するという案内状を受け取りました。5月に各種団体や関係省庁の参加を得て、「望ましい山でのトイレ・し尿処理について具体的・実践的提案を全国に向け情報発信したい」という内容でした。

 昔から山では「キジヲウツ」と教えられてきた私は、正直言って、山行途中のトイレ事情や山小屋のトイレ問題について今やこれほど真剣に議論が高まっているとは思ってもいなかったのです。 

 長野県山岳総合センターのアンケート調査では、「これからの10年間はトイレ、ゴミなどの環境問題でしょう」とどの小屋も、し尿、雑排水の処理、生ゴミ焼却に高い関心を持っていると報告しています。

 あまりに問題が大きすぎて、もちろんこの「管理人の日記」の中だけでは到底書ききれるものではありませんが、確かに朝日小屋でも相当頭を悩ませているのが現状です。でもそれを各山小屋だけの問題として捉えるには、もう限界があるに違いありません。

 そういえば、2月の「北アルプス三県山小屋協会」の総会でも、山小屋の従業員が登山者の皆さんの残していった汚物および使用済みペーパーを拾って歩いている、という笑えない話も出ていました。

 『せめて、山行中は溶けるトイレットペーパーを使いましょう!!』‥‥気付いた事から徹底してみてはいかがでしょうか。

安曇野にて

2001-04-05

 長野県・松川村  いわさきちひろ美術館前  photo by yukuo masumura

 3日、長野県大町市へ出掛けました。写真家の増村征夫さんにお会いする為に。4月だというのに安曇野の春はまだ遠く、しきりに雪が舞っていました。

 …次から次へとおしゃべりしてしまいました。そういえば朝日小屋で、そして何かの折に増村さんにお会いすることはあっても、いつも私はドタバタしていて、もしかしたらゆっくりお話したのは初めてかもしれません。

 亡くなった父・下澤三郎のこと、朝日岳と朝日小屋のこと、安曇野とその自然へ寄せる想い、もちろん写真のお話‥‥。

 お昼ご飯をご一緒したお洒落でちいさなレストランからは、残念ながら北アルプス後立山の主峰は見えませんでした。

 それでも安曇野の景色は、なんだかすーっと私の中に飛び込んできました。

 いつも2000m級の山々を身近に感じているはずなのに、もしかしたら「安曇野」は何か特別なのかもしれません。

 以前から、ぜひ一度訪ねたいと思っていた松川村の「いわさきちひろ美術館」も案内していただきました。最近少しゆとりを無くしているかな…と感じていた私には、ちひろの絵とゆっくりした時がとても大切に思えました。

 増村さんは、山に関する写真も数多く撮っていらっしゃいますが、ご本人は「山は自然の一部であって、僕は'山岳写真家'ではなく、'自然に魅せられた写真家'なんです」と。だから晴れた日はもちろん、どんよりと雲が垂れ込めた日でも風の中にも、心ときめく自然を大いに感じると話してくださいました。

 それから、写真集などを見ていただくとおわかりかと思いますが、増村さんの写真に添えられている文章は本当にステキですし、ご本人もそのさり気ない言葉のひとつひとつをとても大切にされています。写真ではどうしても表現が足りないと思われる部分も、そこに添えられた文章で感じて欲しいとおっしゃっていました。

 いろいろな写真を目にする時、「実際に映し出される自然の姿だけでなく、そのもっと奥深くにあるものを感じて欲しい」とは、増村さんの言葉です。青い空だけでなく、可憐な花達だけでなく、もっと奥にあるもの…。

 新米管理人・清水ゆかりは、'自然の奥深さを感じられる'ようなそんな「心」を持ちたい…、そう思いました。そして、できれば私なりの方法でそれを誰かに伝えられたらいいと思います。

 最後に。

 増村さんが数年前に朝日小屋で父・下澤三郎を撮られた写真。…ビックリしました。思わず、声が出ませんでした。生意気な表現になるかもしれませんが、「写真」というのはこういうものか、と思いました。

 そして「安曇野」、私も好きになりました。

書くこと…

2001-04-07

 水の豊富な我が家の庭先で…「春」を通り越して「夏」の雰囲気?

 4月も中旬近くになると、田んぼではトラクターが忙しそうに耕起を始め、田植えに向けた準備が本格化していきます。そんな周りの忙しさを横目に、「これも仕事!」と私は今日もパソコンに向かってこの日記を書いています。

 書き始めてから1ヶ月余り。「よくマメに書いているネ」と感心してくださる方から、半分本気・半分冗談で「日記だから毎日書いてヨ!」と言ってくださる方まで。楽しみに読んでいただいていることを期待しながら、今日も何を書こうかナ、と考える毎日です。

 何しろN高校出版部に所属していた私、書くことは結構好きです。書き出したら止まらない!?…とはいきませんが、自分を表現しそれを相手に伝える手段として「もしかしたら私には書くことがあるかもしれない」と思っています。

 しかし「写真」にしてもあるいは「文章」でも、自分の思いをその通り伝える事は本当に難しいことだと思います。「いいなぁ…」と思った情景がそのまま表現できたらいいのだけれど、感じたまま、見たままの姿ではなかなかプリントされてこないのが普通の写真でしょうし、引き込まれるような文章というのにもなかなか巡り会えません。

 それでも朝日小屋のホームページを立ち上げた時、他のコーナーからの最新情報の発信以上に、この日記を大切にしていこうと思いました。

 忙しいシーズン中には小屋では登山者の皆さんと充分お話もできないかもしれないので、山行の前後にぜひ読んで頂いて朝日岳登山の想い出をより豊かにしていただきたいという私の願いがあります。また、いつの日にか朝日小屋を訪ねてみたいと思ってくださる登山者の方が少しでも増えたらとも思います。

 でもこの「管理人の日記」、一日分を書くにはそれなりの時間がかかります。しかし、超多忙な夏山シーズン中でも書き続けることを前提に練習も兼ねているわけですから、なるべく短時間で書き上げられるようにしています。

 表現が稚拙だったり、文章が未熟な点はどうぞお許しください。写真家の増村さんが「たくさん書いているうちに、きっと文章が洗練されてきますよ」と励ましてくださったので、頑張りたいと思います。

 それにしても…、デジカメは難しいです。思った通りなんて絶対に撮れていませんから。いろいろな方がご自分のHPに山行記録として写真を載せていらっしゃいますが、どうしたら「あるがまま、見えるまま」に写ってくれるんでしょうか…。どなたかぜひアドバイスをお願いします!!